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◆菫《すみれ》の少年◆
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……びやく……?
「困った人もいたものですね。この香りは……依存性や害はないものですけれど」
ローザの足の付け根に鼻を寄せて、リリィがささやく。
「さあ、もう少しお水を飲んでください。早く流してしまいましょう」
彼女が浴室に持ち込んでいた水筒を渡される。冷たい水が、のぼせかけていたローザの喉を潤す。
それを小さな台に置くかどうかという時に、リリィはふたたびローザのスリットに顔を近づけて、優しく舐めた。
「ひゃんっ」
「ふふ、まだ残っていますね。いつもより反応が素直です」
「や……」
舌が襞をたどり、隙間へと入ってくる。
「あっ、あっ、あっ」
じゅるっと音を立てて吸われる。
「わたし、四人目は従兄のヴィクトルさんを選ぶのかと思いました」
「ふぇ?」
「たまに、目で追っているので。それに、初恋なのでしょう? 小さな頃はよくまとわりついていたって聞きましたよ」
目で追うのは……後ろめたいだけだ。
前世の自分が目覚めたことで、『我が儘で傲慢なちいさなお姫様』の恋心を潰してしまった。
素敵な人だとは思う。ひときわ長身でたくましい体格に、明るくて頼りになる性格。朗らかで、とても強い人。――しかし、それは今のローザの好みではない。
はしたないぬめりをこぼすスリットに、リリィの指が入り込んできた。
「ふっ、うっ、あっ」
前のほうのザラザラしたところを引っかくかのようにかき混ぜてくる。
「それともディーノさん? 爆発事件のときに彼を手当てしたのだと聞きましたが?」
「そ、そんな大した……ことはしていない……のよ」
ディーノ・オルテンシア。本当ならばニコではなく彼が書記補佐になるはずだった、利発な二年生。
旧王家の血をひくほどの高位貴族だが、すっかり没落して世捨て人のように社交界に関わってこない家系だ。
しかし彼はのちに大発明家として大陸中で知られた存在になる。実験素材を使い放題という環境に惹かれて、特待生としてこの学園にいるのだ。
とはいえ、彼がなぜか生徒会にいない以上はとくに交流するつもりは無かったのだけど、学園の部室棟で大爆発を起こして、行き会ったローザがあわてて治療する羽目になった。水を運んで火事を消したり、大変だった。
リリィの指で何度もいかせられ、ローザはあえいだ。
「わたくし……四人目を決めたほうがよろしいのです、よね?」
「そうですね。ローザさまは色々な男に狙われていますから」
第一婚約者であるエドアルドの行動を思えば、あきらかだった。彼は、ローザを守るために婚約者を増やそうとしている。
そして、このリリィも。
ローザはリリィの柔らかな身体を抱き締めた。
→次章に続く
※※※
書記補佐予定だった少年の名前を変更しました。
ディーノです。よろしくお願いします。
「困った人もいたものですね。この香りは……依存性や害はないものですけれど」
ローザの足の付け根に鼻を寄せて、リリィがささやく。
「さあ、もう少しお水を飲んでください。早く流してしまいましょう」
彼女が浴室に持ち込んでいた水筒を渡される。冷たい水が、のぼせかけていたローザの喉を潤す。
それを小さな台に置くかどうかという時に、リリィはふたたびローザのスリットに顔を近づけて、優しく舐めた。
「ひゃんっ」
「ふふ、まだ残っていますね。いつもより反応が素直です」
「や……」
舌が襞をたどり、隙間へと入ってくる。
「あっ、あっ、あっ」
じゅるっと音を立てて吸われる。
「わたし、四人目は従兄のヴィクトルさんを選ぶのかと思いました」
「ふぇ?」
「たまに、目で追っているので。それに、初恋なのでしょう? 小さな頃はよくまとわりついていたって聞きましたよ」
目で追うのは……後ろめたいだけだ。
前世の自分が目覚めたことで、『我が儘で傲慢なちいさなお姫様』の恋心を潰してしまった。
素敵な人だとは思う。ひときわ長身でたくましい体格に、明るくて頼りになる性格。朗らかで、とても強い人。――しかし、それは今のローザの好みではない。
はしたないぬめりをこぼすスリットに、リリィの指が入り込んできた。
「ふっ、うっ、あっ」
前のほうのザラザラしたところを引っかくかのようにかき混ぜてくる。
「それともディーノさん? 爆発事件のときに彼を手当てしたのだと聞きましたが?」
「そ、そんな大した……ことはしていない……のよ」
ディーノ・オルテンシア。本当ならばニコではなく彼が書記補佐になるはずだった、利発な二年生。
旧王家の血をひくほどの高位貴族だが、すっかり没落して世捨て人のように社交界に関わってこない家系だ。
しかし彼はのちに大発明家として大陸中で知られた存在になる。実験素材を使い放題という環境に惹かれて、特待生としてこの学園にいるのだ。
とはいえ、彼がなぜか生徒会にいない以上はとくに交流するつもりは無かったのだけど、学園の部室棟で大爆発を起こして、行き会ったローザがあわてて治療する羽目になった。水を運んで火事を消したり、大変だった。
リリィの指で何度もいかせられ、ローザはあえいだ。
「わたくし……四人目を決めたほうがよろしいのです、よね?」
「そうですね。ローザさまは色々な男に狙われていますから」
第一婚約者であるエドアルドの行動を思えば、あきらかだった。彼は、ローザを守るために婚約者を増やそうとしている。
そして、このリリィも。
ローザはリリィの柔らかな身体を抱き締めた。
→次章に続く
※※※
書記補佐予定だった少年の名前を変更しました。
ディーノです。よろしくお願いします。
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