上 下
20 / 58
第2章。「魔族の誤解」

10、呪いの子①②③

しおりを挟む
--呪いの子①--

エジェの再会は、みんな嬉しかった。当然、メディアもである。
しかし、裕也はどうなったのであろう。
エジェは、裕也を連れて来る役目のためだけに、生んだ親から離された。
(あぁ。裕也を助けなきゃ)
エジェはメンディアの目を見る。
メンディアの目はうるんで、「裕也を助けてほしい」と叫んでいた。
その時、彼女の手のひらを痛みが走る。
(いたい。強烈な痛みがする)
「エジェ。痛みの元の呪う子を探しに行きましょう。
 そっちが先!
 まず、それから」
メンディアは、身近なことから解決しようと思った。

「私は、呪う子を知っているよ」
エジェの姉のエナは言った。

--呪いの子②--

エジェら三人は、部屋を出た。
「こっち。こっち。こっち」
エナは2人を誘導する。

彼女らは、部屋を出て右に曲がる。
黒い洞窟どうくつが続く、岩肌に緑のこけがついている。
そして、鍾乳洞しょうにゅうどうが上から突き出ていた。
水が落ちてくる。
「ポタ。ポタ。ポツン」
暗く暗く、地底に入って行く感じがする。
その奥にほのかな灯りが見える。
「誰かいる」エジェが言う。
「ここが呪う子の部屋よ」エナは答えた。
その中には3人の黒い影がある。
彼女らは、左手に光るものを持っている。
「キラ。キラ。キラ」彼女らの手が光る。
彼女らは段々近づいて来る。
真ん中の子の右手には、2つの足の人形を重ねて持っている。
右側の子は、右手の人形を持っている。
左側の子は、左手の人形を持っている。
人形に見えたものは茶色の像である。
光るもの。それは、短刀であった。
「エジェ。お帰りなさい」

--呪いの子③--

「エジェ。無事に良く家に帰り着いたね」呪いの子は挨拶した。
彼女は、右手の形の像に剣で突きたてた。
「ギリギリ」
「うぅぅ」メンディアがうなる。
「像が傷つかない。
 う。
 なぜ、像は傷つかないの?」
呪いの子は、必死で像を突きさす。

「イエス様は、呪いなんかに負けないわよ。
 うう」
メンディアは応戦するが、痛みは消えない。
「なぜ。なぜ。
 小娘に痛みを与えても、そのぐらいではしかたない」
呪いの子は、殺意に満ちていた。
「エジェ。
 あなたなら出来るはずよ。
 像を突き刺して、傷つけてよ。
 これは、聖なる試練なのよ。
 そうするのが、私たちの役目」
エジェは、考えた。
(少し前の私と同じ)
(そう、前までの己の姿。彼女らは運命を恨んでいる)
(そうだ。私と血の縁を結べば変わるかもしれない)
「分かった。私が聖なる試練を達成する。
 ただ、儀式に参加するには、あなたたちは、私の血を飲まんければいけない」
「うふ。美味しそう。分かった」呪いの子は了承した。


エジェは、呪いの子から剣を受け取って、小指を少し傷つけた。

彼女は、呪いの子らの口に血を垂らし念じる。
(裕也。私に力を貸してください。そして、彼女らに私と血の縁を結ばせてください)

「あ ぁ ぁ グォォ」
呪いの子の体が青い炎に包まれる。
(ジュワー)体全身が蘇生する感覚が走る。
「エジェ。何をしたの?」
呪いの子の体は、肌色の皮膚に覆われ、
普通の肌にもどり、目の光が収まった。
「解放の時が来たのよ」エジェは言い放った。
呪いの子は、普通の肌になり笑顔がこぼれる。
「私たちは解放されたのですか?
 試練の役目は達成されたのですか?」
「あなた方の役目は終わりよ」エジェは宣言した。
青い3つの光が浮かび上がり、エジェの右手に着いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

天狗と骨董屋

吉良鳥一
キャラ文芸
高校生だった少年、高住真尋は大学進学に伴い住む場所は何処がいいかなど散策していた。 そこでとある掛け軸が目に止まり骨董屋へと足を踏み入れた。 しかし、その骨董屋の壺を不注意で壊してしまう。 そこで骨董屋の主人からここでバイトするよう提案され、更にここに住めばいいと言われ断れるわけもなく住む所が決まった。 だが、その骨董屋は普通とは違う店だった。 そして真尋自身も普通ではなかった___

許し方を知らず~Barter.5~

志賀雅基
キャラ文芸
◆隠すな/忘れるな/Need to know/全て知りたいのは私の驕りか◆ キャリア機捜隊長×年下刑事のバディシリーズPart5[全47話] 一発必中のスナイパーによる連続射殺事件発生。高性能ライフルと残弾数、被害者の共通点も割れる。カウンタースナイプを要請されたSAT狙撃手は、普段は機動捜査隊に所属する刑事・京哉。バディのスポッタ(観測手)を務めるのはキャリア機捜隊長で京哉のパートナー・霧島。京哉は霧島に殺人をさせたくない思いで単独を条件に任務を受けるが……。 ▼▼▼ 【シリーズ中、何処からでもどうぞ】 【全性別対応/BL特有シーンはストーリーに支障なく回避可能です】 【Nolaノベル・小説家になろう・ノベルアップ+・ステキブンゲイにR無指定版/エブリスタにR15版を掲載】

冷静半妖少女と賑やかな妖怪達 時々怪奇

Ray
キャラ文芸
冷静な少女にまきこまれる妖怪達との物語 *誤字、脱字が多いかも… *何でも許せる広い心を持つ人向け *基本的に会話文 分かりにくかったらごめんなさい *時々別シリーズの人達が出てきます

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~

ma-no
キャラ文芸
 某有名動画サイトで100億ビューを達成した忍チューバーこと田中半荘が漂流生活の末、行き着いた島は日本の島ではあるが、韓国が実効支配している「竹島」。  日本人がそんな島に漂着したからには騒動勃発。両国の軍隊、政治家を……いや、世界中のファンを巻き込んだ騒動となるのだ。  どうする忍チューバ―? 生きて日本に帰れるのか!? 注 この物語は、コメディーでフィクションでファンタジーです。登場する人物、団体、名称、歴史等は架空であり、実在のものとは関係ありません。  ですので、歴史認識に関する質問、意見等には一切お答えしませんのであしからず。 ❓第3回キャラ文芸大賞にエントリーしました❓ よろしければ一票を入れてください! よろしくお願いします。

新訳 軽装歩兵アランR(Re:boot)

たくp
キャラ文芸
1918年、第一次世界大戦終戦前のフランス・ソンム地方の駐屯地で最新兵器『機械人形(マシンドール)』がUE(アンノウンエネミー)によって強奪されてしまう。 それから1年後の1919年、第一次大戦終結後のヴェルサイユ条約締結とは程遠い荒野を、軽装歩兵アラン・バイエルは駆け抜ける。 アラン・バイエル 元ジャン・クロード軽装歩兵小隊の一等兵、右肩の軽傷により戦後に除隊、表向きはマモー商会の商人を務めつつ、裏では軽装歩兵としてUEを追う。 武装は対戦車ライフル、手りゅう弾、ガトリングガン『ジョワユーズ』 デスカ 貴族院出身の情報将校で大佐、アランを雇い、対UE同盟を締結する。 貴族にしては軽いノリの人物で、誰にでも分け隔てなく接する珍しい人物。 エンフィールドリボルバーを携帯している。

侯爵様と私 ~上司とあやかしとソロキャンプはじめました~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 仕事でミスした萌子は落ち込み、カンテラを手に祖母の家の裏山をうろついていた。  ついてないときには、更についてないことが起こるもので、何故かあった落とし穴に落下。  意外と深かった穴から出られないでいると、突然現れた上司の田中総司にロープを投げられ、助けられる。 「あ、ありがとうございます」 と言い終わる前に無言で総司は立ち去ってしまい、月曜も知らんぷり。  あれは夢……?  それとも、現実?  毎週山に行かねばならない呪いにかかった男、田中総司と萌子のソロキャンプとヒュッゲな生活。

こちら、あやかし移住就職サービスです。ー福岡天神四〇〇年・お狐社長と私の恋ー

まえばる蒔乃
キャラ文芸
転職活動中のOL菊井楓は、何かと浮きやすい自分がコンプレックス。 いつも『普通』になりたいと願い続けていた。ある日、もふもふの耳と尻尾が映えたどう見ても『普通』じゃない美形お狐様社長・篠崎に声をかけられる。 「だだもれ霊力で無防備でいったい何者だ、あんた。露出狂か?」 「露出狂って!? わ、私は『普通』の転職希望のOLです!」 「転職中なら俺のところに来い。だだもれ霊力も『処置』してやるし、仕事もやるから。ほら」 「うっ、私には勿体無いほどの好条件…ッ」 霊力『処置』とは、キスで霊力を吸い上げる関係を結ぶこと。 ファーストキスも知らない楓は篠崎との契約関係に翻弄されながら、『あやかし移住転職サービス』ーー人の世で働きたい、居場所が欲しい『あやかし』に居場所を与える会社での業務に奔走していく。 さまざまなあやかしの生き方と触れ、自分なりの『普通』を見つけていく楓。 そして篠崎との『キス』の契約関係も、少しずつ互いに変化が…… ※ 土地勘や歴史知識ゼロでも大丈夫です。 ※ この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません

処理中です...