34 / 41
異界を渡るマレビト
アキラ先輩の事情⑦
しおりを挟む
「でもこの世界に来てから、ラナさんたまに俺から目をそらすだろ? きらわれたんじゃないかって……やっぱり異世界なんて連れて来たからおこってるのかなって……」
「え!? きらってなんかいませんよ!?」
目をそらしちゃうのはカッコ良すぎるアキラ先輩の顔を直視できないからだ。
それがまさか、きらってるからだって思われてたなんて……。
「じゃあどうして? 俺、地味に傷ついてたんだけど」
「え!? そ、それは……」
傷つけるつもりなんてなかったからビックリする。
でも、カッコイイ顔に緊張してたからだなんて言うのはずかしいし……。
「話せないってことはやっぱり良くは思ってないってことだよね……」
シュンと落ちこむ様子に私は「あーもう!」ってちょっと投げやりになった。
「アキラ先輩がカッコイイから悪いんですよ!?」
このまま誤解されるのだけはいやだ。
照れるとかはずかしいとか、言ってられないよね?
「……は? カッコイイ?」
予想外の言葉だったのかおどろくアキラ先輩に、私はおさえていたフタを開くみたいに続ける。
「いつもはボサボサ頭で似合わないメガネかけて地味でオタクっぽいのに、素顔はすっごいイケメンなんだもん! それがこっちに来て服装変えたらメガネはないし髪型もスッキリしてるし!」
「……」
「イケメンな顔ずっと見てる状態ですよ!? 何度息が止まると思ったか! カッコ良すぎてもはや凶器です!」
「凶器……」
ポカンと、あっけにとられたみたいな顔をするアキラ先輩。
さすがに凶器は言い過ぎだったかなって思って、私は冷静さを取りもどした。
「……すみません」
「あ、いや……まさかそんな風に思われてたなんて思ってなくて」
口を手で覆いながら私から目をそらすアキラ先輩。
夜で暗いけど、神殿の方では夜通し明かりがついてる場所があるからこの辺りも少し明るい。
だからアキラ先輩の耳が赤いのはしっかり見えた。
アキラ先輩、照れてるの?
「アキラ先輩、自分がイケメンだって自覚ありますか?」
つねづね不思議に思っていたことを聞いてみた。
いつもは地味な見た目だけど、今まで素顔を誰にも見られたことがないなんてことはないはずだ。
だから、カッコイイって言われるのだって初めてじゃないはずなのに……。
なんか、すっごい照れてない?
「へ!? じ、自覚?……いや、言われたことがないわけじゃないよ? 小学生のころは結構言われてたし」
「じゃあどうして……」
どうしてそんなに照れてるんだろう?
「母さんが亡くなってるからさ、小さいころから身だしなみとか姉さんが気をつかってくれてたんだ。でも姉さんも寝たきり状態だろ? 身だしなみとかはどうでもいいかなって思ってたし……」
「……」
「だから自覚がないってわけじゃないんだけど……カッコイイなんて言われるのも久しぶりで……ちょっと照れる」
「アキラ先輩……」
さすがにあきれた。
たしかに身だしなみとかどうでも良いって思ってたならあの地味なカッコウもわかるけど……。
でもさ、せめてピョンピョンはねる髪だけでもなおしたらいいのに。
まあ、あの髪も別にきらいじゃないんだけどさ、私は。
なんて思いながらあらためて見た照れ顔のアキラ先輩。
照れてるアキラ先輩は、カッコイイっていうよりちょっとかわいい。
知りたいと思っていたアキラ先輩のことを少し知った。
それにこんなかわいいアキラ先輩を見れてちょっと得した気分になる。
お母さんの病気のこととか、アキラ先輩のお姉さんのこととか。
まだ解決していないことはあるけれど、今はちょっとうれしいなって思った。
「え!? きらってなんかいませんよ!?」
目をそらしちゃうのはカッコ良すぎるアキラ先輩の顔を直視できないからだ。
それがまさか、きらってるからだって思われてたなんて……。
「じゃあどうして? 俺、地味に傷ついてたんだけど」
「え!? そ、それは……」
傷つけるつもりなんてなかったからビックリする。
でも、カッコイイ顔に緊張してたからだなんて言うのはずかしいし……。
「話せないってことはやっぱり良くは思ってないってことだよね……」
シュンと落ちこむ様子に私は「あーもう!」ってちょっと投げやりになった。
「アキラ先輩がカッコイイから悪いんですよ!?」
このまま誤解されるのだけはいやだ。
照れるとかはずかしいとか、言ってられないよね?
「……は? カッコイイ?」
予想外の言葉だったのかおどろくアキラ先輩に、私はおさえていたフタを開くみたいに続ける。
「いつもはボサボサ頭で似合わないメガネかけて地味でオタクっぽいのに、素顔はすっごいイケメンなんだもん! それがこっちに来て服装変えたらメガネはないし髪型もスッキリしてるし!」
「……」
「イケメンな顔ずっと見てる状態ですよ!? 何度息が止まると思ったか! カッコ良すぎてもはや凶器です!」
「凶器……」
ポカンと、あっけにとられたみたいな顔をするアキラ先輩。
さすがに凶器は言い過ぎだったかなって思って、私は冷静さを取りもどした。
「……すみません」
「あ、いや……まさかそんな風に思われてたなんて思ってなくて」
口を手で覆いながら私から目をそらすアキラ先輩。
夜で暗いけど、神殿の方では夜通し明かりがついてる場所があるからこの辺りも少し明るい。
だからアキラ先輩の耳が赤いのはしっかり見えた。
アキラ先輩、照れてるの?
「アキラ先輩、自分がイケメンだって自覚ありますか?」
つねづね不思議に思っていたことを聞いてみた。
いつもは地味な見た目だけど、今まで素顔を誰にも見られたことがないなんてことはないはずだ。
だから、カッコイイって言われるのだって初めてじゃないはずなのに……。
なんか、すっごい照れてない?
「へ!? じ、自覚?……いや、言われたことがないわけじゃないよ? 小学生のころは結構言われてたし」
「じゃあどうして……」
どうしてそんなに照れてるんだろう?
「母さんが亡くなってるからさ、小さいころから身だしなみとか姉さんが気をつかってくれてたんだ。でも姉さんも寝たきり状態だろ? 身だしなみとかはどうでもいいかなって思ってたし……」
「……」
「だから自覚がないってわけじゃないんだけど……カッコイイなんて言われるのも久しぶりで……ちょっと照れる」
「アキラ先輩……」
さすがにあきれた。
たしかに身だしなみとかどうでも良いって思ってたならあの地味なカッコウもわかるけど……。
でもさ、せめてピョンピョンはねる髪だけでもなおしたらいいのに。
まあ、あの髪も別にきらいじゃないんだけどさ、私は。
なんて思いながらあらためて見た照れ顔のアキラ先輩。
照れてるアキラ先輩は、カッコイイっていうよりちょっとかわいい。
知りたいと思っていたアキラ先輩のことを少し知った。
それにこんなかわいいアキラ先輩を見れてちょっと得した気分になる。
お母さんの病気のこととか、アキラ先輩のお姉さんのこととか。
まだ解決していないことはあるけれど、今はちょっとうれしいなって思った。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
地味男はイケメン元総長
緋村燐
青春
高校一年になったばかりの灯里は、メイクオタクである事を秘密にしながら地味子として過ごしていた。
GW前に、校外学習の班の親交を深めようという事で遊園地に行くことになった灯里達。
お化け屋敷に地味男の陸斗と入るとハプニングが!
「なぁ、オレの秘密知っちゃった?」
「誰にも言わないからっ! だから代わりに……」
ヒミツの関係はじめよう?
*野いちごに掲載しているものを改稿した作品です。
野いちご様
ベリーズカフェ様
エブリスタ様
カクヨム様
にも掲載しています。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
時間泥棒【完結】
虹乃ノラン
児童書・童話
平和な僕らの町で、ある日、イエローバスが衝突するという事故が起こった。ライオン公園で撮った覚えのない五人の写真を見つけた千斗たちは、意味ありげに逃げる白猫を追いかけて商店街まで行くと、不思議な空間に迷いこんでしまう。
■目次
第一章 動かない猫
第二章 ライオン公園のタイムカプセル
第三章 魚海町シーサイド商店街
第四章 黒野時計堂
第五章 短針マシュマロと消えた写真
第六章 スカーフェイスを追って
第七章 天川の行方不明事件
第八章 作戦開始!サイレンを挟み撃て!
第九章 『5…4…3…2…1…‼』
第十章 不法の器の代償
第十一章 ミチルのフラッシュ
第十二章 五人の写真
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる