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異界を渡るマレビト
アキラ先輩の事情④
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朝食を食べ終えた私とアキラ先輩は、街を自由に見て回りたいって言ってルミルたちとは別行動を取った。
鏡で見た広場の確認とか、他の聖女にも話を聞いてみたり。
そうして明日に備えて情報を集めた。
あとは二番目に大事な用事、髪を洗うのももちろん忘れてない。
でも、聞いてみたらお風呂もないけどシャワーもないらしい。
じゃあ体洗うときはどうするの!?って驚愕しながら聞いたら川で水浴びするんだって。
寒くなってきたら昨日私がやったみたいに手拭いをお湯でしぼって体を拭くだけだとか……。
正直、ムリ!って思った。
そりゃあ気候もちがうんだから毎日体を洗う必要はないのかもしれないよ?
でも水浴びか拭くだけなんてっ!
私、べつにお風呂好きってわけじゃなかったけれど、ここまで完全にお風呂がないってなると恋しくなるものなんだね。
仕方なく川でアキラ先輩と服がぬれないように髪を洗ったけど……。
冷たい水じゃあちゃんと洗えた気がしない。
何より、シャンプーとリンスがない!
せっけんはあったけど、体を洗うものと同じらしいし。
「……アキラ先輩、鏡にたのんでシャンプーとか出せませんか?」
「ごめん、さすがにそれは無理……俺も切実に欲しいけど」
不満そうな顔をおたがいに見ながらそろって『ハァ……』ってため息をついた。
服も変えられて便利な鏡って思ったけれど、細かいところには手が届かないみたい。
万が一また異世界に来ることがあったら、着がえ以外の宿泊セット用意した方がいいかもしれないって思った。
そんなこんなでも一応はサッパリした私たち。
一通りやることを終えたころにはもう夕方になっていた。
明日の準備のためか街の中には白い花がたくさんあって、夕日色に染まった花々の中私たちは神殿にもどる。
礼堂の横を通って宿舎に向かうとちゅうで、ラミラとマーガレットさんを見つけた。
もう一組聖女と護り手がいたけど、ルミルとクルトじゃなさそう。
なんだかお話してるみたいだったから近くに行くまで声をかけないでいたけど、近くに来たら相手が誰かわかった。
「じゃあ、明日はがんばってね」
「はい、ありがとうございますクレアさん」
ちょうど話が終わったみたいで、クレアさんとその護り手の人がはなれて行く。
クレアさんとは目が合ったから、軽く会釈しておいた。
「あ、ラナ。街はどうだった?」
「え? あ、うん。明日の準備でにぎわってたよ」
ワクワクしたって感想を伝えて、ふとラミラが手に持っていた小さな包みが気になった。
「それどうしたの? かわいいね」
「え? ああ、さっきクレアさんからもらったの。お守りの効果がある香袋なんですって」
手のひらに乗せるようにして見せてくれる。
キレイな模様が入った赤い布に包まれた香袋。
包まれてるだけかと思ったら袋状になってるらしい。
「……ちょっと失礼」
そこにスラリと長い指が入って来て、香袋が取られてしまう。
「あ、マーガレット!」
「大丈夫、中を確認するだけだから」
言葉にした通り袋状の口を開き中を見て、匂いをかいでみたりするマーガレットさん。
一通り確認したら元にもどしてラミラに返した。
「もう、これをくれたのはクレアさんなのよ? 変なものわたすわけないじゃない」
「だとしても、護り手の私はうたがわなきゃならないのよ。……あなたをちゃんと守りたいの」
「うっ、ううぅ……わかったわよ」
文句を言うラミラに、マーガレットさんはやさしくただした。
正論なこともあって、ラミラは渋々うなずいてる。
そのやり取りを見ていた私はちょっとビックリしてた。
ラミラを守りたいって言ったときのマーガレットさんの眼差しにお母さんと似たものを感じたから。
外見はまったく似てないけど、私を見るお母さんの目がこんな感じだったのを思い出す。
本当にお母さんの前世なんだなって思った。
お母さん、会いたいな……。
さびしさが胸の中を通って行ったけど、すぐに思い直す。
会いたいけど、お母さんを助けるためだもん。
そのために異世界になんて来たんだから!
アキラ先輩は同じ世界の同じ時間にねらってくることは出来ないって言った。
つまり、今回のチャンスを逃したらお母さんを助けることはできないってことだ。
うん、明日ちゃんとラミラとマーガレットさんを守らなきゃ!
改めて気を引きしめた。
鏡で見た広場の確認とか、他の聖女にも話を聞いてみたり。
そうして明日に備えて情報を集めた。
あとは二番目に大事な用事、髪を洗うのももちろん忘れてない。
でも、聞いてみたらお風呂もないけどシャワーもないらしい。
じゃあ体洗うときはどうするの!?って驚愕しながら聞いたら川で水浴びするんだって。
寒くなってきたら昨日私がやったみたいに手拭いをお湯でしぼって体を拭くだけだとか……。
正直、ムリ!って思った。
そりゃあ気候もちがうんだから毎日体を洗う必要はないのかもしれないよ?
でも水浴びか拭くだけなんてっ!
私、べつにお風呂好きってわけじゃなかったけれど、ここまで完全にお風呂がないってなると恋しくなるものなんだね。
仕方なく川でアキラ先輩と服がぬれないように髪を洗ったけど……。
冷たい水じゃあちゃんと洗えた気がしない。
何より、シャンプーとリンスがない!
せっけんはあったけど、体を洗うものと同じらしいし。
「……アキラ先輩、鏡にたのんでシャンプーとか出せませんか?」
「ごめん、さすがにそれは無理……俺も切実に欲しいけど」
不満そうな顔をおたがいに見ながらそろって『ハァ……』ってため息をついた。
服も変えられて便利な鏡って思ったけれど、細かいところには手が届かないみたい。
万が一また異世界に来ることがあったら、着がえ以外の宿泊セット用意した方がいいかもしれないって思った。
そんなこんなでも一応はサッパリした私たち。
一通りやることを終えたころにはもう夕方になっていた。
明日の準備のためか街の中には白い花がたくさんあって、夕日色に染まった花々の中私たちは神殿にもどる。
礼堂の横を通って宿舎に向かうとちゅうで、ラミラとマーガレットさんを見つけた。
もう一組聖女と護り手がいたけど、ルミルとクルトじゃなさそう。
なんだかお話してるみたいだったから近くに行くまで声をかけないでいたけど、近くに来たら相手が誰かわかった。
「じゃあ、明日はがんばってね」
「はい、ありがとうございますクレアさん」
ちょうど話が終わったみたいで、クレアさんとその護り手の人がはなれて行く。
クレアさんとは目が合ったから、軽く会釈しておいた。
「あ、ラナ。街はどうだった?」
「え? あ、うん。明日の準備でにぎわってたよ」
ワクワクしたって感想を伝えて、ふとラミラが手に持っていた小さな包みが気になった。
「それどうしたの? かわいいね」
「え? ああ、さっきクレアさんからもらったの。お守りの効果がある香袋なんですって」
手のひらに乗せるようにして見せてくれる。
キレイな模様が入った赤い布に包まれた香袋。
包まれてるだけかと思ったら袋状になってるらしい。
「……ちょっと失礼」
そこにスラリと長い指が入って来て、香袋が取られてしまう。
「あ、マーガレット!」
「大丈夫、中を確認するだけだから」
言葉にした通り袋状の口を開き中を見て、匂いをかいでみたりするマーガレットさん。
一通り確認したら元にもどしてラミラに返した。
「もう、これをくれたのはクレアさんなのよ? 変なものわたすわけないじゃない」
「だとしても、護り手の私はうたがわなきゃならないのよ。……あなたをちゃんと守りたいの」
「うっ、ううぅ……わかったわよ」
文句を言うラミラに、マーガレットさんはやさしくただした。
正論なこともあって、ラミラは渋々うなずいてる。
そのやり取りを見ていた私はちょっとビックリしてた。
ラミラを守りたいって言ったときのマーガレットさんの眼差しにお母さんと似たものを感じたから。
外見はまったく似てないけど、私を見るお母さんの目がこんな感じだったのを思い出す。
本当にお母さんの前世なんだなって思った。
お母さん、会いたいな……。
さびしさが胸の中を通って行ったけど、すぐに思い直す。
会いたいけど、お母さんを助けるためだもん。
そのために異世界になんて来たんだから!
アキラ先輩は同じ世界の同じ時間にねらってくることは出来ないって言った。
つまり、今回のチャンスを逃したらお母さんを助けることはできないってことだ。
うん、明日ちゃんとラミラとマーガレットさんを守らなきゃ!
改めて気を引きしめた。
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