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異界を渡るマレビト
異世界③
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「……この世界には魔物がいるのか」
近くから聞こえた緊張した声に私は隣を見る。
いまだに慣れないカッコ良すぎる兵士姿のアキラ先輩だけれど、そんな先輩に緊張する余裕もなくなって叫んだ。
「魔物って、あれ、なんですか!? それにさっきから世界って、ここはお母さんの前世の時代ってだけじゃないんですか!?」
「あっ……」
すごい剣幕だったのかもしれない。
一瞬たじろいだアキラ先輩は今気づいたみたいにハッとして申し訳なさそうに眉を寄せる。
「ごめん、話した気になってた。……ここはね、俺たちが住んでいる世界とは違う――いわゆる異世界なんだ」
「いせかい……?」
大きな魔物を見て動揺していた私はすぐには理解出来なくて、ただアキラ先輩の言葉を繰り返した。
「人の魂はね、色んな世界を巡っているんだ。だから人の前世がみんな同じ世界とは限らない」
「色んな世界を巡ってる……」
これまでは前世といったら同じ世界――っていうか、地球のどこかの国の別の時代だと思ってた。
その固定概念が崩されてただただ驚く。
でも、そういうものだって思ったら逆に納得しちゃった。
前世の記憶があるって話の記事をいくつか見たことはあるけど、たまに実際にあったこととずれてたりしてた。
体験したっていう有名な事件や災害が記録とは時期がずれてたりとか。
もしかしたらそういうのは、私たちの世界と似た世界で起こったことだったのかも。
そう考えればむしろつじつまが合う気がした。
「……つまり、お母さんは前世でこの異世界で生きてたってことですね?」
ちゃんと理解したってことを伝えるために確認するように聞く。
すると、アキラ先輩の方がすごく驚いた顔をした。
「そうだけど……もう受け入れられたの? さすがだね……」
ふつうもっと混乱するよって言われたけど、私からしたらそうかな?って感じ。
誰だって納得さえすれば受け入れられるものなんじゃないの?
でも、それを伝えると苦笑いされて頭をポンポンされた。
「すごいことだよ。順応性が高いってのは、ちゃんと周りを見て必要な情報を取得して受け入れてるからだ。なかなかできることじゃない」
「う……ありがとうございます」
手ばなしでほめられて、しかもカッコイイ状態のアキラ先輩に頭ポンポンされて照れた。
異世界に来たって驚きで忘れかけていたアキラ先輩へのドキドキを思い出しちゃったよ。
ブオォォォ!
そのまま顔が熱くなりそうだと思ったけれど、またさらに周りが騒がしくなったことでハッと現実に戻された。
そうだよ、悠長に恥ずかしがってる場合じゃないって!
あの魔物とか、どうなったの!?
さっき見たときはまだ距離があったけれど、もしかしたらこっちの方に向かって来てるかもしれないのに!
あわてて視線を戻すと、そこにはまた予想外の光景があった。
近くから聞こえた緊張した声に私は隣を見る。
いまだに慣れないカッコ良すぎる兵士姿のアキラ先輩だけれど、そんな先輩に緊張する余裕もなくなって叫んだ。
「魔物って、あれ、なんですか!? それにさっきから世界って、ここはお母さんの前世の時代ってだけじゃないんですか!?」
「あっ……」
すごい剣幕だったのかもしれない。
一瞬たじろいだアキラ先輩は今気づいたみたいにハッとして申し訳なさそうに眉を寄せる。
「ごめん、話した気になってた。……ここはね、俺たちが住んでいる世界とは違う――いわゆる異世界なんだ」
「いせかい……?」
大きな魔物を見て動揺していた私はすぐには理解出来なくて、ただアキラ先輩の言葉を繰り返した。
「人の魂はね、色んな世界を巡っているんだ。だから人の前世がみんな同じ世界とは限らない」
「色んな世界を巡ってる……」
これまでは前世といったら同じ世界――っていうか、地球のどこかの国の別の時代だと思ってた。
その固定概念が崩されてただただ驚く。
でも、そういうものだって思ったら逆に納得しちゃった。
前世の記憶があるって話の記事をいくつか見たことはあるけど、たまに実際にあったこととずれてたりしてた。
体験したっていう有名な事件や災害が記録とは時期がずれてたりとか。
もしかしたらそういうのは、私たちの世界と似た世界で起こったことだったのかも。
そう考えればむしろつじつまが合う気がした。
「……つまり、お母さんは前世でこの異世界で生きてたってことですね?」
ちゃんと理解したってことを伝えるために確認するように聞く。
すると、アキラ先輩の方がすごく驚いた顔をした。
「そうだけど……もう受け入れられたの? さすがだね……」
ふつうもっと混乱するよって言われたけど、私からしたらそうかな?って感じ。
誰だって納得さえすれば受け入れられるものなんじゃないの?
でも、それを伝えると苦笑いされて頭をポンポンされた。
「すごいことだよ。順応性が高いってのは、ちゃんと周りを見て必要な情報を取得して受け入れてるからだ。なかなかできることじゃない」
「う……ありがとうございます」
手ばなしでほめられて、しかもカッコイイ状態のアキラ先輩に頭ポンポンされて照れた。
異世界に来たって驚きで忘れかけていたアキラ先輩へのドキドキを思い出しちゃったよ。
ブオォォォ!
そのまま顔が熱くなりそうだと思ったけれど、またさらに周りが騒がしくなったことでハッと現実に戻された。
そうだよ、悠長に恥ずかしがってる場合じゃないって!
あの魔物とか、どうなったの!?
さっき見たときはまだ距離があったけれど、もしかしたらこっちの方に向かって来てるかもしれないのに!
あわてて視線を戻すと、そこにはまた予想外の光景があった。
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