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異界を渡るマレビト
マレビト②
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道中どういうことなのか話を聞こうとしたけど、アキラ先輩はついたら話すからとしか言ってくれない。
しかたなくついて行ったら、なんだか和風な昔ながらの家って感じのところについた。
広い庭が見える縁側とかありそうな雰囲気。
「ただいまー……さ、ラナさん、入って」
「は、はい……お邪魔します」
うながされてちょっと緊張しながら入る。
誰かが出迎えてくれたりってことはなかったけれど、玄関のカギは開いていたみたいだったから他に人はいるはずだよね。
アキラ先輩と二人きりじゃないことに安心して家に上がらせてもらった。
「アキラ先輩って何人家族なんですか?」
家には誰がいるのかなって思って家族構成を聞くと、アキラ先輩は私を奥に案内しながら教えてくれる。
「んー、一応四人家族かな? 俺と姉さんと、父さんとばあちゃん。母さんは俺が小さい頃に亡くなったんだ」
「あ、そうなんですか」
家族構成を聞いて、お母さんは?って聞く前に話してくれる。
先まわりして言うってことは、きっといつもお母さんのこと聞かれてるんだろうな。
それが分かったから、私はそれ以上は聞かないことにした。
とりあえず、その家族構成で今家に誰かいるとしたらおばあさんかお姉さんってところかな?
そんな見当をつけていると、ふすまで仕切られた和室に案内された。
「ばあちゃん、ただいま。昨日話した子連れて来たよ」
「そう……入っておいで」
ふすまの向こうからちょっと低めの落ち着いた女の人の声が聞こえる。
アキラ先輩がふすまを開けると、タタミの部屋の真ん中に上品そうなおばあさんが正座していた。
「お帰りなさい、アキラ。そしてラナさん、いらっしゃい」
「あ、お邪魔します」
「どうぞ、座ってちょうだい」
おだやかな声にうながされて、私はアキラ先輩と一緒におばあさんの前に用意されてあった座布団に座る。
「はじめまして、ラナさん。私はアキラの祖母のミチというの」
「あっ、初めまして。秋野ラナです」
アキラ先輩から私のことは聞いてたみたいだけれど、ていねいに自己紹介されたから私もちゃんと名のった。
白いものが多めの髪をスッキリとまとめて後ろでお団子にしているミチさんは、おだやかな笑顔を浮かべている。
けど、背すじがシャンと真っ直ぐのびていて凛とした雰囲気があった。
そんな人の前に座ったから、私も自然と背すじがのびる。
「そんなに緊張しないで、楽にしてちょうだい」
「あ、はい」
フフッと笑ったミチさんはなんだか可愛くて、私は言われた通り肩の力をゆるめた。
「あら、本当に適応するのが早いのね。これなら他の世界でもかなりの力を得られるかもしれないわ」
「は?」
言われた通り楽にしただけなのに、ミチさんは何を言ってるんだろう?
っていうか、他の世界? 力を得るって何のこと?
まったく意味が分からなくて首をコテンって傾けた。
「ああ、ごめんなさい。まずは説明が先よね」
おだやかにほほ笑みながら謝ったミチさんは、アキラ先輩に視線を向ける。
「そうだね。まずはこの鏡について説明するよ」
アキラ先輩はカバンから巾着袋を取り出して、中から鏡を出した。
渡り鏡って言ったっけ?
朝、アキラ先輩が難しい言葉を口にしたら光った鏡。
青銅っぽいワクで囲まれた円形の鏡が私とミチさんの間に置かれた。
ミチさんはその鏡に手をそえて口を開く。
「この鏡はね、特定の人の前世の時代に行くためのカギなの」
しかたなくついて行ったら、なんだか和風な昔ながらの家って感じのところについた。
広い庭が見える縁側とかありそうな雰囲気。
「ただいまー……さ、ラナさん、入って」
「は、はい……お邪魔します」
うながされてちょっと緊張しながら入る。
誰かが出迎えてくれたりってことはなかったけれど、玄関のカギは開いていたみたいだったから他に人はいるはずだよね。
アキラ先輩と二人きりじゃないことに安心して家に上がらせてもらった。
「アキラ先輩って何人家族なんですか?」
家には誰がいるのかなって思って家族構成を聞くと、アキラ先輩は私を奥に案内しながら教えてくれる。
「んー、一応四人家族かな? 俺と姉さんと、父さんとばあちゃん。母さんは俺が小さい頃に亡くなったんだ」
「あ、そうなんですか」
家族構成を聞いて、お母さんは?って聞く前に話してくれる。
先まわりして言うってことは、きっといつもお母さんのこと聞かれてるんだろうな。
それが分かったから、私はそれ以上は聞かないことにした。
とりあえず、その家族構成で今家に誰かいるとしたらおばあさんかお姉さんってところかな?
そんな見当をつけていると、ふすまで仕切られた和室に案内された。
「ばあちゃん、ただいま。昨日話した子連れて来たよ」
「そう……入っておいで」
ふすまの向こうからちょっと低めの落ち着いた女の人の声が聞こえる。
アキラ先輩がふすまを開けると、タタミの部屋の真ん中に上品そうなおばあさんが正座していた。
「お帰りなさい、アキラ。そしてラナさん、いらっしゃい」
「あ、お邪魔します」
「どうぞ、座ってちょうだい」
おだやかな声にうながされて、私はアキラ先輩と一緒におばあさんの前に用意されてあった座布団に座る。
「はじめまして、ラナさん。私はアキラの祖母のミチというの」
「あっ、初めまして。秋野ラナです」
アキラ先輩から私のことは聞いてたみたいだけれど、ていねいに自己紹介されたから私もちゃんと名のった。
白いものが多めの髪をスッキリとまとめて後ろでお団子にしているミチさんは、おだやかな笑顔を浮かべている。
けど、背すじがシャンと真っ直ぐのびていて凛とした雰囲気があった。
そんな人の前に座ったから、私も自然と背すじがのびる。
「そんなに緊張しないで、楽にしてちょうだい」
「あ、はい」
フフッと笑ったミチさんはなんだか可愛くて、私は言われた通り肩の力をゆるめた。
「あら、本当に適応するのが早いのね。これなら他の世界でもかなりの力を得られるかもしれないわ」
「は?」
言われた通り楽にしただけなのに、ミチさんは何を言ってるんだろう?
っていうか、他の世界? 力を得るって何のこと?
まったく意味が分からなくて首をコテンって傾けた。
「ああ、ごめんなさい。まずは説明が先よね」
おだやかにほほ笑みながら謝ったミチさんは、アキラ先輩に視線を向ける。
「そうだね。まずはこの鏡について説明するよ」
アキラ先輩はカバンから巾着袋を取り出して、中から鏡を出した。
渡り鏡って言ったっけ?
朝、アキラ先輩が難しい言葉を口にしたら光った鏡。
青銅っぽいワクで囲まれた円形の鏡が私とミチさんの間に置かれた。
ミチさんはその鏡に手をそえて口を開く。
「この鏡はね、特定の人の前世の時代に行くためのカギなの」
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