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異界を渡るマレビト
神秘学研究部②
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スッと切れ長な目に、通った鼻すじっていうのかな? キレイな鼻の形。
薄いくちびるに、顔の輪郭までカンペキな涼し気な雰囲気のイケメンさん。
黒い髪はボサボサでぴょんぴょんはねているけど、それはそれでかわいい気がする。
男子生徒はその焦げ茶の目で私を見て何度か瞬きすると、形の良いくちびるを開いた。
「……入部、希望?」
「え? あ、はっはい!」
確認されてあわてて返事をしたら、ちょっと目を見開いて驚かれる。
その後、ちょっとだけふわって笑ったように見えてドキッとしちゃった。
すぐに涼しい顔に戻ったから見間違いかもしれないけれど。
「そうか、歓迎するよ」
入っておいで、って手まねきされて部室に入ってドアを閉める。
こんなイケメンな人と二人っきりなんて!ってドキドキしちゃったけど、彼が手に持っていた眼鏡をかけた瞬間キョーガクでドキドキも吹き飛んじゃった!
こっこの人、説明会で壇上に上がってた部長さんじゃない!?
大きな眼鏡をかけたとたん、ぴょんぴょんはねている髪もやぼったく見える。
普通眼鏡をかけただけでここまで変わる!?
その眼鏡、何か呪いでもかかってるんじゃないの!?
ここは神秘学研究部だし、それもありうるかも……なんて本気で考えているとイスをすすめられた。
「まあ座って。今入部届出すから」
部室の真ん中に集めた机のところにうながされて座ったけど、まだ信じられなくてまじまじと彼を――冬見アキラ先輩を見る。
こうして見ると初めの印象通りオタクっぽい感じ。
さっきの素顔は見間違いなんじゃないかって思うほど。
やっぱりあの眼鏡、呪われてるんじゃないかな?
外したら絶対モテるのに、って考えてからハッとした。
そっか、モテてこの部に女の子がさっとうしたら困るからだ!
そういう子ってオカルトっぽいこととか全く興味ないのに冬見先輩目当てってだけで入るんだよね?
純粋に不思議なことが好きでこの部に入ってるのに、そういう子は邪魔になりそうだもんね。
この考察案外いい線いってるんじゃないかな?
自分の推理に満足してうなずいてると、目の前に紙と鉛筆が置かれた。
「じゃあこれに名前とクラス書いて」
簡単に指示されて、言う通りに書いていく。
1-Aと、秋野ラナっと。
「秋野……季節の名前入るんだ? おそろいだな」
書き終えてすぐに書くのを見ていた冬見先輩がつぶやいた。
顔を見ない状態で声だけ聞くとすっごいイケボでびっくりしたよ!
ちょっ、不意打ちでこの声はヤバいって!
しかもおそろいとか……ドキドキしちゃうじゃん!
順応性が高い私だけど、このイケボやさっき見たキレイな顔には慣れる事ができるかわからないよ!?
ドキドキどころかバクバクしはじめた心臓。
でも書いた紙を渡すために見上げると、そこにはやっぱりやぼったい先輩の姿。
激しくなってた心臓が一気に落ち着いていって何だかホッとしちゃった。
うん、冬見先輩は地味な格好が一番なのかも知れない。
「……うん、ありがとう。これで大丈夫だ」
入部届を手にうなずいた冬見先輩は、顔を上げると私に気まずそうな表情を向ける。
「その……ちなみに聞くけど……」
「はい」
なんだろう?
言いづらいことかな? 視線が泳いでる気がする。
「この部は俺ともう一人二年生がいるんだ。そいつ、ちょっと変わったやつなんだけど……」
「はあ……」
「そういうやつって平気かな?」
「えっと……会ってみないとなんとも……」
変わってるって言ってもどの程度かはわからないし。
どういうタイプかもわからないんじゃ平気かどうかもわからないよ。
「あ、そうだよな」
悪い、って後頭部をかいて冬見先輩があやまると……。
ガラッ!
突然、ドアが開いた。
「アーキ! 説明会おっつー!」
陽気に現れたのは、ゆるくウェーブがかったミルクティー色の髪をした男子生徒だった。
薄いくちびるに、顔の輪郭までカンペキな涼し気な雰囲気のイケメンさん。
黒い髪はボサボサでぴょんぴょんはねているけど、それはそれでかわいい気がする。
男子生徒はその焦げ茶の目で私を見て何度か瞬きすると、形の良いくちびるを開いた。
「……入部、希望?」
「え? あ、はっはい!」
確認されてあわてて返事をしたら、ちょっと目を見開いて驚かれる。
その後、ちょっとだけふわって笑ったように見えてドキッとしちゃった。
すぐに涼しい顔に戻ったから見間違いかもしれないけれど。
「そうか、歓迎するよ」
入っておいで、って手まねきされて部室に入ってドアを閉める。
こんなイケメンな人と二人っきりなんて!ってドキドキしちゃったけど、彼が手に持っていた眼鏡をかけた瞬間キョーガクでドキドキも吹き飛んじゃった!
こっこの人、説明会で壇上に上がってた部長さんじゃない!?
大きな眼鏡をかけたとたん、ぴょんぴょんはねている髪もやぼったく見える。
普通眼鏡をかけただけでここまで変わる!?
その眼鏡、何か呪いでもかかってるんじゃないの!?
ここは神秘学研究部だし、それもありうるかも……なんて本気で考えているとイスをすすめられた。
「まあ座って。今入部届出すから」
部室の真ん中に集めた机のところにうながされて座ったけど、まだ信じられなくてまじまじと彼を――冬見アキラ先輩を見る。
こうして見ると初めの印象通りオタクっぽい感じ。
さっきの素顔は見間違いなんじゃないかって思うほど。
やっぱりあの眼鏡、呪われてるんじゃないかな?
外したら絶対モテるのに、って考えてからハッとした。
そっか、モテてこの部に女の子がさっとうしたら困るからだ!
そういう子ってオカルトっぽいこととか全く興味ないのに冬見先輩目当てってだけで入るんだよね?
純粋に不思議なことが好きでこの部に入ってるのに、そういう子は邪魔になりそうだもんね。
この考察案外いい線いってるんじゃないかな?
自分の推理に満足してうなずいてると、目の前に紙と鉛筆が置かれた。
「じゃあこれに名前とクラス書いて」
簡単に指示されて、言う通りに書いていく。
1-Aと、秋野ラナっと。
「秋野……季節の名前入るんだ? おそろいだな」
書き終えてすぐに書くのを見ていた冬見先輩がつぶやいた。
顔を見ない状態で声だけ聞くとすっごいイケボでびっくりしたよ!
ちょっ、不意打ちでこの声はヤバいって!
しかもおそろいとか……ドキドキしちゃうじゃん!
順応性が高い私だけど、このイケボやさっき見たキレイな顔には慣れる事ができるかわからないよ!?
ドキドキどころかバクバクしはじめた心臓。
でも書いた紙を渡すために見上げると、そこにはやっぱりやぼったい先輩の姿。
激しくなってた心臓が一気に落ち着いていって何だかホッとしちゃった。
うん、冬見先輩は地味な格好が一番なのかも知れない。
「……うん、ありがとう。これで大丈夫だ」
入部届を手にうなずいた冬見先輩は、顔を上げると私に気まずそうな表情を向ける。
「その……ちなみに聞くけど……」
「はい」
なんだろう?
言いづらいことかな? 視線が泳いでる気がする。
「この部は俺ともう一人二年生がいるんだ。そいつ、ちょっと変わったやつなんだけど……」
「はあ……」
「そういうやつって平気かな?」
「えっと……会ってみないとなんとも……」
変わってるって言ってもどの程度かはわからないし。
どういうタイプかもわからないんじゃ平気かどうかもわからないよ。
「あ、そうだよな」
悪い、って後頭部をかいて冬見先輩があやまると……。
ガラッ!
突然、ドアが開いた。
「アーキ! 説明会おっつー!」
陽気に現れたのは、ゆるくウェーブがかったミルクティー色の髪をした男子生徒だった。
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