9 / 14
9 助けてあげたいよ
しおりを挟む
side メル
「アレックス、、、。」
リーシャと共に去っていくアレックスを見ていると胸が苦しかった。
まるで、昔の私みたいだ。お前のせいだと責められ、それでもなにも言えずに最後は殺されてしまった。私の夫も恐らく心の病だった。
(助けてあげたい。)
どうしても、そう思わずにはいられなかった。誰のことも愛したくないし、愛されたくない。だから、誰とも深く関わりたくなかった。
だけど、アレックスはもう私の大切な友達だ。それに、あまりにも過去の自分に似すぎていて、放っておくなんてできなかった。
(助けてあげたいよ、アレックス。)
その日の夜、私は久しぶりに前世、城川ひろみだった頃の夢を見た。
◇◇◇
「お前のせいだ!!ひろみ!!お前のせいで俺はアルコール依存症になったんだ!!」
夫であるトモヒロの口癖だった。
常に罵詈雑言を浴びせられ、友人との外出も全て制限された。さらに、トモヒロはアルコール依存症で、お酒を飲むと手がつけられなくなった。今から思うとさっさと逃げ出していれば良かったんだと思う。
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
だけど、当時はもう洗脳されていて、なぜだが自分が悪いと思いこんでいた。そして、私は暴れるトモヒロを止めようとしてそのまま殺されてしまったのだった。
私には負い目があった。トモヒロが一番辛いときに側にいれなかったという負い目。彼の母が事故で突如亡くなってしまったのは、大学受験の一ヶ月前のことだった。勉強になにも手がつかなくなってしまったトモヒロに、私は構ってられず、ひたすら勉強をしていた。
その当時、もうトモヒロと付き合っていたのに私は自分の受験を優先したのだ。結局トモヒロは立ち直ることができず、大学受験に失敗しフリーターになった。そこから、トモヒロの人生はおかしくなり始め、アルコールに逃げるようになったのだった。
「お前のせいだ!!」
その言葉は、呪いだった。
私をビール瓶で殴り倒したトモヒロは、死にかける私を抱きしめて叫んだ。
「こんなつもりじゃなかった、、、!死なないでくれ!!ひろみ!!俺はお前を愛してるんだ!!」
愛してる?
愛してるなら、何をしてもいいの?
それなら私は、二度と愛されたくないし、誰のことも愛したくないわ。
◇◇◇
「アレックス、、、。」
リーシャと共に去っていくアレックスを見ていると胸が苦しかった。
まるで、昔の私みたいだ。お前のせいだと責められ、それでもなにも言えずに最後は殺されてしまった。私の夫も恐らく心の病だった。
(助けてあげたい。)
どうしても、そう思わずにはいられなかった。誰のことも愛したくないし、愛されたくない。だから、誰とも深く関わりたくなかった。
だけど、アレックスはもう私の大切な友達だ。それに、あまりにも過去の自分に似すぎていて、放っておくなんてできなかった。
(助けてあげたいよ、アレックス。)
その日の夜、私は久しぶりに前世、城川ひろみだった頃の夢を見た。
◇◇◇
「お前のせいだ!!ひろみ!!お前のせいで俺はアルコール依存症になったんだ!!」
夫であるトモヒロの口癖だった。
常に罵詈雑言を浴びせられ、友人との外出も全て制限された。さらに、トモヒロはアルコール依存症で、お酒を飲むと手がつけられなくなった。今から思うとさっさと逃げ出していれば良かったんだと思う。
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
だけど、当時はもう洗脳されていて、なぜだが自分が悪いと思いこんでいた。そして、私は暴れるトモヒロを止めようとしてそのまま殺されてしまったのだった。
私には負い目があった。トモヒロが一番辛いときに側にいれなかったという負い目。彼の母が事故で突如亡くなってしまったのは、大学受験の一ヶ月前のことだった。勉強になにも手がつかなくなってしまったトモヒロに、私は構ってられず、ひたすら勉強をしていた。
その当時、もうトモヒロと付き合っていたのに私は自分の受験を優先したのだ。結局トモヒロは立ち直ることができず、大学受験に失敗しフリーターになった。そこから、トモヒロの人生はおかしくなり始め、アルコールに逃げるようになったのだった。
「お前のせいだ!!」
その言葉は、呪いだった。
私をビール瓶で殴り倒したトモヒロは、死にかける私を抱きしめて叫んだ。
「こんなつもりじゃなかった、、、!死なないでくれ!!ひろみ!!俺はお前を愛してるんだ!!」
愛してる?
愛してるなら、何をしてもいいの?
それなら私は、二度と愛されたくないし、誰のことも愛したくないわ。
◇◇◇
35
お気に入りに追加
593
あなたにおすすめの小説
私を捨てるんですか? いいですよ、別に。元々あなたのことなんて、好きじゃありませんので【完結】
小平ニコ
恋愛
「ローラリア、すまないが、他に好きな人ができた。おまえとはここまでだ」
突然そんなことを言い出したブライアンに、私はごく自然な態度で「はあ、そうなんですか」とだけ答えた。……怒りも、悲しみも、ほんの少しの嫉妬心もない。だって元々、ブライアンのことなんて、好きでも何でもなかったから。
落ち着き払った私の態度が気に入らないのか、ブライアンは苛立ち、その日のうちに婚約破棄は成立する。しかし、ブライアンは分かっていなかった、自分のとった行動が、どんな結末を招くかを……
聖人な婚約者は、困っている女性達を側室にするようです。人助けは結構ですが、私は嫌なので婚約破棄してください
香木あかり
恋愛
私の婚約者であるフィリップ・シルゲンは、聖人と称されるほど優しく親切で慈悲深いお方です。
ある日、フィリップは五人の女性を引き連れてこう言いました。
「彼女達は、様々な理由で自分の家で暮らせなくなった娘達でね。落ち着くまで僕の家で居候しているんだ」
「でも、もうすぐ僕は君と結婚するだろう?だから、彼女達を正式に側室として迎え入れようと思うんだ。君にも伝えておこうと思ってね」
いくら聖人のように優しいからって、困っている女性を側室に置きまくるのは……どう考えてもおかしいでしょう?
え?おかしいって思っているのは、私だけなのですか?
周囲の人が彼の行動を絶賛しても、私には受け入れられません。
何としても逃げ出さなくては。
入籍まであと一ヶ月。それまでに婚約破棄してみせましょう!
※ゆる設定、コメディ色強めです
※複数サイトで掲載中
せっかく家の借金を返したのに、妹に婚約者を奪われて追放されました。でも、気にしなくていいみたいです。私には頼れる公爵様がいらっしゃいますから
甘海そら
恋愛
ヤルス伯爵家の長女、セリアには商才があった。
であれば、ヤルス家の借金を見事に返済し、いよいよ婚礼を間近にする。
だが、
「セリア。君には悪いと思っているが、私は運命の人を見つけたのだよ」
婚約者であるはずのクワイフからそう告げられる。
そのクワイフの隣には、妹であるヨカが目を細めて笑っていた。
気がつけば、セリアは全てを失っていた。
今までの功績は何故か妹のものになり、婚約者もまた妹のものとなった。
さらには、あらぬ悪名を着せられ、屋敷から追放される憂き目にも会う。
失意のどん底に陥ることになる。
ただ、そんな時だった。
セリアの目の前に、かつての親友が現れた。
大国シュリナの雄。
ユーガルド公爵家が当主、ケネス・トルゴー。
彼が仏頂面で手を差し伸べてくれば、彼女の運命は大きく変化していく。
婚約者に初恋の従姉妹といつも比べられて来ましたが、そんなに彼女が良いならどうぞ彼女とお幸せに。
天歌
恋愛
「シャティならもっと気の利いたことを言ったのに」
「お前といると本当に退屈だ。シャティといればいつでも心躍るのに」
「シャティの髪は綺麗な金色で花も霞んでしまう程なのに、お前の髪は本当に地味だな」
「シャティは本当に優しくて美しいんだ。それに比べてお前は氷のように冷たいな!」
私の婚約者であるエルカルト・ルーツベットは、毎度毎度顔を合わせる度に私をこのように彼の初恋の相手である彼の従姉妹のシャティ様と比べては私を卑下するような事ばかり言う。
家の為の結婚とは言え、毎度このように言われては我慢の限界を迎えつつあったある日。
「あーあ。私は本当はシャティと結婚したかったのに!お前のせいで思い合う二人が引き裂かれた!!悪魔のようなやつめ!!」
そこまで言うならばお好きにどうぞ?
ただし…どうなっても知りませんよ…?
旦那様は離縁をお望みでしょうか
村上かおり
恋愛
ルーベンス子爵家の三女、バーバラはアルトワイス伯爵家の次男であるリカルドと22歳の時に結婚した。
けれど最初の顔合わせの時から、リカルドは不機嫌丸出しで、王都に来てもバーバラを家に一人残して帰ってくる事もなかった。
バーバラは行き遅れと言われていた自分との政略結婚が気に入らないだろうと思いつつも、いずれはリカルドともいい関係を築けるのではないかと待ち続けていたが。
完結 振り向いてくれない彼を諦め距離を置いたら、それは困ると言う。
音爽(ネソウ)
恋愛
好きな人ができた、だけど相手は振り向いてくれそうもない。
どうやら彼は他人に無関心らしく、どんなに彼女が尽くしても良い反応は返らない。
仕方なく諦めて離れたら怒りだし泣いて縋ってきた。
「キミがいないと色々困る」自己中が過ぎる男に彼女は……
【完結】私の婚約者の、自称健康な幼なじみ。
❄️冬は つとめて
恋愛
「ルミナス、済まない。カノンが……。」
「大丈夫ですの? カノン様は。」
「本当に済まない。、ルミナス。」
ルミナスの婚約者のオスカー伯爵令息は、何時ものように済まなそうな顔をして彼女に謝った。
「お兄様、ゴホッゴホッ。ルミナス様、ゴホッ。さあ、遊園地に行きましょ、ゴボッ!! 」
カノンは血を吐いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる