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上 ラーニャとは婚約破棄する!
しおりを挟む「私ね、サイラス王子の
婚約者になることに決まったって
パパが言ってた。」
ラーニャは、
幼馴染のアイザイアに言った。
ここはソリトリア家の屋敷2階
子供部屋。
ラーニャ、アイザイア共に
まだ7歳である。
「こんやくしゃて、
なーに?」
アイザイアは首をかしげた。
「お嫁さんになるってことよ。」
アイザイアはべそをかいた。
「おれ、それやだなぁ。」
ラーニャは首を振った。
「ううん。これはすごく
すごいことなんだって。
テドス国を守る
お姫様になれるんだって、
ママが教えてくれたの!」
ラーニャは興奮気味に言った。
アイザイアは
目を見開いた。
「すごいね!
俺も、、!国を守りたい!」
アイザイアが言った。
「どうやって?」
アイザイアは少し考えた後、
言った。
「俺は騎士になるよ!
それでラーニャ守る!」
ラーニャはにっこりと笑った。
「そしたら、
二人で国を守れるね!」
「うん!」
10年前のあの日、
私はアイザイアと約束をした。
その時はまだ、
王子の婚約者になった私が
苦難にまみれた人生をたどるなんて
想像すらしていなかったのだ。
------------------------------------
「サイラス王子!!
ラーニャを
隣国フロイドの王子に
献上するというのは
本当か?!」
騎士アイザイアは
皇太子サイラスに強い口調で問い詰めた。
「ああ、本当だよ。
アイザイア。
私はラーニャとの婚約を破棄する。
代わりにラーニャは
フロイド国王子リンドルに
嫁ぐことが決まった。」
サイラスはアイザイアにそう言った。
「なぜ?!
それでは
ラーニャは
人質ではないか?!
どんな危険が及ぶかは
サイラス、
君だって分かってるだろう?!」
ここはテドス城2階王子の部屋。
アイザイア・タルロスは
現在17歳。
アイザイアは
テドス国騎士団の副長となっていた。
「しょうが無いだろう?
フロイド国と我が国との
和平を示すためには
僕の婚約者の誰かを
差し出す必要があるんだ。
君こそ、騎士団副長として
わかってるはずだよ。」
サイラスは
アイザイアの肩を掴んで言った。
フロイド国とテドス国は
長い間、戦争をしており、
半年ほど前に、
和平交渉を結んだばかりである。
だが、フロイド国には
未だにテドス国を憎む者が多い。
テドス国からフロイド国に渡った姫が
どんな酷い扱いを受けるか
想像に難くない。
「だが!!
なぜ、それが
ラーニャじゃなければ
ならないんだ?!」
アイザイアが
絞り出すような声で言った。
「私が行くと言ったのよ。
アイザイア。」
私はアイザイアに
後ろから声をかけた。
騒ぎを聞きつけて、
王子の部屋にやってきたのだ。
「ラーニャ、、。
なぜ、、?」
アイザイアは、
信じられない、という顔で
私を見た。
「誰かが
行かなければならないんだもの。
私なら、
上手く立ち回れるわ。」
サイラスには、
私の他にも何人か婚約者がいる。
だが、
皆、隣国に行くのを恐れていた。
「命の保証は、
無いんだぞ、、?」
「わかってるわ。
でも、私が行く決めたの。」
私はアイザイアをまっすぐに見た。
アイザイアは、
黙って目をつぶった。
「そうか。」
アイザイアは、
私に背を向け、
サイラスの方を向いた。
「ラーニャが
フロイド国に行くならば、
私を護衛としてつけてください。」
サイラスは頷いた。
「了承した。」
そして私は、フロイド国に行き、
リンドル王子の王妃となった。
------------------------------------
「リンドル様!
どうやら私に、
子供ができたようなのです!」
私は
リンドルにそう言った。
私がフロイド国に来てから、
一年の歳月が過ぎていた。
フロイド国民の
私への風当たりは強かった。
城内では、
暴言を言われることは
しょっちゅうであったし、
たちの悪い嫌がらせもたくさん受けた。
だが、リンドル様は
誰よりも私に優しかった。
「なんだって!!
愛しきラーニャ。」
リンドルは私を抱きしめると、
頬にキスをした。
「ありがとう。ラーニャ。
君は、最高だ。」
リンドル様が、
私を守ってくれているおかげで、
私はずっと安全だった。
「リンドル様。
いつもありがとうございます。
私、
とても幸せです。」
私はリンドルの肩に顔を擦り寄せた。
「僕こそだよ、
ラーニャ。」
だが、
私の妊娠が発覚した
2ヶ月後、
リンドルは謎の死を遂げた。
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