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15 やっとですか、お母さん
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「アキは、、驚いていないのか、、、?」
俺はアキの手を掴んだ。細くて、折れそうな女の子みたいな腕。父の話のせいで俺の頭は真っ白だった。
「さっきも言いましたけど、私は噂で知っていましたし、、、。」
俺は、アキを真っ直ぐに見た。
「悲しくは、、ないか、、、?」
悲しいわけないか。俺が男であるアキを好きなのがそもそも変なんだもんな。
「悲しくは、ないです。
ソラウ様。」
「そうか、、、。」
がっくりとうなだれた俺の顔をアキは覗き込んだ。
「私は、私がアイザルの子供だと言うことを信じていないのですよ。」
「え?」
「私は父コイザと血が繋がっていないなんて、どう考えても納得できません。私は母を見つけてどうしてもそのことを確かめたいんですよ。」
そうか、まだアキは信じていないのか、、、!俺の希望もまだあるのかもしれない。
「俺がアキと結婚できる可能性がまだあると言うことか、、、!」
「ばか。それはないです。」
「兄弟で無ければ、可能性は無限大だ。」
アキは腹を抱えて笑い出した。
「ああ、もう。ほらね。私とソラウ様に似ているところが一つでもありますか?」
「それは、、、」
「ないんですよ!全然、これっぽっちも、私達は似てないんですから!」
◇◇◇
side アキ
「おはよう、アキ。」
いつも通りの朝。朝起きて一階に降りると父コイザが笑顔で声をかけてくる。
「おはよ。」
「今日も仕事かい?」
「そうだよ。」
父には、昨日のアイザル様の話は伝えていなかった。正直な話、父がどこまで噂を知っていて、それを信じているのか分からなかった。
私にできることは、父の娘であると信じることだけだ。
「どうした?なにか考え事か?」
父は敏い。私が悩んでいると、すぐにバレてしまう。
「ううん!遅刻しちゃうから、行ってくるね!!」
私は慌てて家を飛び出した。
「お、手紙?」
玄関のポストに手紙が入っていた。
アキへ、と明記されているが、差出人の名前は書いていない。
「誰だろ?」
気になった私は、その場で手紙を開いた。
ーアキへ
話したいことがあります。5時に中央時計台の前に来てくれませんか?
コハルー
私は手紙を握りしめて、うずくまった。やっと私と向き合う気になってくれましたか、お母さん。
◇◇◇
俺はアキの手を掴んだ。細くて、折れそうな女の子みたいな腕。父の話のせいで俺の頭は真っ白だった。
「さっきも言いましたけど、私は噂で知っていましたし、、、。」
俺は、アキを真っ直ぐに見た。
「悲しくは、、ないか、、、?」
悲しいわけないか。俺が男であるアキを好きなのがそもそも変なんだもんな。
「悲しくは、ないです。
ソラウ様。」
「そうか、、、。」
がっくりとうなだれた俺の顔をアキは覗き込んだ。
「私は、私がアイザルの子供だと言うことを信じていないのですよ。」
「え?」
「私は父コイザと血が繋がっていないなんて、どう考えても納得できません。私は母を見つけてどうしてもそのことを確かめたいんですよ。」
そうか、まだアキは信じていないのか、、、!俺の希望もまだあるのかもしれない。
「俺がアキと結婚できる可能性がまだあると言うことか、、、!」
「ばか。それはないです。」
「兄弟で無ければ、可能性は無限大だ。」
アキは腹を抱えて笑い出した。
「ああ、もう。ほらね。私とソラウ様に似ているところが一つでもありますか?」
「それは、、、」
「ないんですよ!全然、これっぽっちも、私達は似てないんですから!」
◇◇◇
side アキ
「おはよう、アキ。」
いつも通りの朝。朝起きて一階に降りると父コイザが笑顔で声をかけてくる。
「おはよ。」
「今日も仕事かい?」
「そうだよ。」
父には、昨日のアイザル様の話は伝えていなかった。正直な話、父がどこまで噂を知っていて、それを信じているのか分からなかった。
私にできることは、父の娘であると信じることだけだ。
「どうした?なにか考え事か?」
父は敏い。私が悩んでいると、すぐにバレてしまう。
「ううん!遅刻しちゃうから、行ってくるね!!」
私は慌てて家を飛び出した。
「お、手紙?」
玄関のポストに手紙が入っていた。
アキへ、と明記されているが、差出人の名前は書いていない。
「誰だろ?」
気になった私は、その場で手紙を開いた。
ーアキへ
話したいことがあります。5時に中央時計台の前に来てくれませんか?
コハルー
私は手紙を握りしめて、うずくまった。やっと私と向き合う気になってくれましたか、お母さん。
◇◇◇
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