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14.こんな時がずっと続いてほしいな
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その日の夕方。
「手伝うよ。」
馬に餌をあげていると、珍しくエレリアが私に声をかけてきた。
「ありがとうございます。」
友達になって欲しいとジョシュアに頼まれていたが、これまではひたすらエレリアに避けられていたのだ。
エレリアは私を見ずに言った。
「あんた、フローレンスのところから逃げ出してきたんだってな。ジョシュアから聞いた。」
「はい。」
何を言っていいか分からなくて、私はただ頷いた。
「あんたは、レオを信じてるのか?」
エレリアは私を真っ直ぐに見て尋ねた。そのめはジョシュアやアダムズと同じ優しい目をしている。
「信じています。」
エレリアは小さく微笑んだ。きっとエレリアも、レオのことを大切に思う人の一人なんだ。
「オリビアみたいな、良いやつも貴族にいるんだな。皆、レオの言葉を信じないクソみたいなやつばっかだと思ってた。」
レオの言葉。きっとレオは"メイド殺し"を否定している。そして、ジョシュアはフローレンスのことを"敵"と言っていた。私にはまだ分からない深い闇がそこにはあるんだろう。
「エレリアはレオのことを大切に思っているのね。」
エレリアは大きく頷くと嬉しそうに笑った。
「だってレオは、私の家族だから。家族を悪く言われたら嫌だろ?」
「ええ。」
私にとっての家族は大陸移動医療団のメンバーたち。彼らとは血の繋がりがなくても家族だから、エレリアの気持ちはよくわかった。
「ごめんな。ずっと冷たく当たってて。お前もレオのことを傷つけに来たんだと思ったんだ。」
エレリアが馬を撫でながら言う。
私は大きく首を振った。
「良いんです。きっと事情があるんだと思っていましたし、それに、、、。」
「ん?」
私は小さい声で言った。
「最初から、ずっと私、エレリアさんとは仲良くなれるんじゃないかって思っていました。」
ジョシュアに言われなくても、私は最初からエレリアのことが好きだった。悪い人じゃないって、なんとなく思っていたからかもしれない。
エレリアはにっこりと笑うと、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「こちらこそだよ。ありがとう、オリビア。オリビアみたいな優しい子がきてくれて良かったよ。」
エレリアの言葉が照れくさくて、嬉しい。
「私もここに来れてよかったです。」
「な、これからは皆でご飯食べよう。」
エレリアの言葉のおかげで、その日の夜はジョシュア、アダムズ、エレリアと共に同じ卓でご飯を食べることになった。
(美味しい、、、!)
平穏で、幸せな日々。
(ずっと、ここにいたいな。)
満腹のお腹で、ふかふかのベットにもぐる。
(明日も良い日でありますように。)
ゆっくりと、眠りの世界に入ろうとした時だった。
ガタン
家のドアが開く音が微かに聞こえた。
(こんな時間に、、、?)
トン、トン、トン
足音が静かに階段を登り、私の部屋に近づいてくる。
ガチャリ
扉がゆっくりと開き、予想外の人物が私の部屋に入ってきた。
「貴方は?!なぜ?!」
◇◇◇
「手伝うよ。」
馬に餌をあげていると、珍しくエレリアが私に声をかけてきた。
「ありがとうございます。」
友達になって欲しいとジョシュアに頼まれていたが、これまではひたすらエレリアに避けられていたのだ。
エレリアは私を見ずに言った。
「あんた、フローレンスのところから逃げ出してきたんだってな。ジョシュアから聞いた。」
「はい。」
何を言っていいか分からなくて、私はただ頷いた。
「あんたは、レオを信じてるのか?」
エレリアは私を真っ直ぐに見て尋ねた。そのめはジョシュアやアダムズと同じ優しい目をしている。
「信じています。」
エレリアは小さく微笑んだ。きっとエレリアも、レオのことを大切に思う人の一人なんだ。
「オリビアみたいな、良いやつも貴族にいるんだな。皆、レオの言葉を信じないクソみたいなやつばっかだと思ってた。」
レオの言葉。きっとレオは"メイド殺し"を否定している。そして、ジョシュアはフローレンスのことを"敵"と言っていた。私にはまだ分からない深い闇がそこにはあるんだろう。
「エレリアはレオのことを大切に思っているのね。」
エレリアは大きく頷くと嬉しそうに笑った。
「だってレオは、私の家族だから。家族を悪く言われたら嫌だろ?」
「ええ。」
私にとっての家族は大陸移動医療団のメンバーたち。彼らとは血の繋がりがなくても家族だから、エレリアの気持ちはよくわかった。
「ごめんな。ずっと冷たく当たってて。お前もレオのことを傷つけに来たんだと思ったんだ。」
エレリアが馬を撫でながら言う。
私は大きく首を振った。
「良いんです。きっと事情があるんだと思っていましたし、それに、、、。」
「ん?」
私は小さい声で言った。
「最初から、ずっと私、エレリアさんとは仲良くなれるんじゃないかって思っていました。」
ジョシュアに言われなくても、私は最初からエレリアのことが好きだった。悪い人じゃないって、なんとなく思っていたからかもしれない。
エレリアはにっこりと笑うと、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「こちらこそだよ。ありがとう、オリビア。オリビアみたいな優しい子がきてくれて良かったよ。」
エレリアの言葉が照れくさくて、嬉しい。
「私もここに来れてよかったです。」
「な、これからは皆でご飯食べよう。」
エレリアの言葉のおかげで、その日の夜はジョシュア、アダムズ、エレリアと共に同じ卓でご飯を食べることになった。
(美味しい、、、!)
平穏で、幸せな日々。
(ずっと、ここにいたいな。)
満腹のお腹で、ふかふかのベットにもぐる。
(明日も良い日でありますように。)
ゆっくりと、眠りの世界に入ろうとした時だった。
ガタン
家のドアが開く音が微かに聞こえた。
(こんな時間に、、、?)
トン、トン、トン
足音が静かに階段を登り、私の部屋に近づいてくる。
ガチャリ
扉がゆっくりと開き、予想外の人物が私の部屋に入ってきた。
「貴方は?!なぜ?!」
◇◇◇
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