妊娠した愛妾の暗殺を疑われたのは、心優しき正妃様でした。〜さよなら陛下。貴方の事を愛していた私はもういないの〜

「アリス……!!君がロゼッタの食事に毒を入れたんだろ……?自分の『正妃』としての地位がそんなに大切なのか?!」

 今日は正妃アリスの誕生日を祝うパーティ。園庭には正妃の誕生日を祝うため、大勢の貴族たちが集まっている。主役である正妃アリスは自ら料理を作り、皆にふるまっていた。

「私は……ロゼッタの食事に毒を入れていないわ。」

 アリスは毅然とした表情を浮かべて、はっきりとした口調で答えた。

 銀色の髪に、透き通った緑の瞳を持つアリス。22歳を迎えたアリスは、多くの国民に慕われている。

「でもロゼッタが倒れたのは……君が作った料理を食べた直後だ!アリス……君は嫉妬に狂って、ロゼッタを傷つけたんだ‼僕の最愛の人を‼」

「まだ……毒を盛られたと決まったわけじゃないでしょう?ロゼッタが単に貧血で倒れた可能性もあるし……。」

 突如倒れたロゼッタは医務室に運ばれ、現在看護を受けている。

「いや違う!それまで愛らしく微笑んでいたロゼッタが、突然血を吐いて倒れたんだぞ‼君が食事に何かを仕込んだんだ‼」

「落ち着いて……レオ……。」

「ロゼッタだけでなく、僕たちの子供まで亡き者にするつもりだったのだな‼」

 愛人ロゼッタがレオナルドの子供を妊娠したとわかったのは、つい一週間前のことだ。ロゼッタは下級貴族の娘であり、本来ならばレオナルドと結ばれる身分ではなかった。

 だが、正妃アリスには子供がいない。ロゼッタの存在はスウェルド王家にとって、重要なものとなっていた。国王レオナルドは、アリスのことを信じようとしない。

 正妃の地位を剥奪され、牢屋に入れられることを予期したアリスはーーーー。

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