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6 アレックスに会うの?!
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(私ってまともな恋愛したことないんだよな、、、。)
その日の夜。ベットの中でアレックスに何を渡すか考えていたが、まともなアイデアが浮かばない。
前世で私は城川ひろみ、という名前だった。前述したとおり、私は夫に殺されたのだが、彼はアルコール依存症だった。夫の名前はトモヒロという。
トモヒロは仕事をしておらず、私が働いて彼を養っていた。そんな彼の誕生日に私がわたしていたものは、、、。
(現金、、、。)
そう、私はトモヒロの誕生日に毎月3万円のお小遣いを渡していた。これで好きなもの、買いな、てね。
私はごろりごろりと、ベットの上を転がった。私はトモヒロと学生時代から付き合っていて、彼以外の人間と付き合ったことがなかった。
転生してメルになってからは、もう異性との関わり自体を拒絶していたので、付き合うどころか友達もいなかった。
「王子様の婚約者に、何を渡せばいいのよ、、、?」
途方にくれた私は、姉のシリルに速達で手紙を書くことにした。シリルは都の男と結婚して、今はもう二児の母になっていた。シリルなら、何かいいアイデアを教えてくれるだろう。
◇◇◇
「久しぶりね!メル!」
手紙を送った二日後に、シリルは東宮殿にやってきた。
「久しぶり!」
相変わらず、可愛いお姉ちゃんだ。前世の記憶を持ったまま転生した私は、子供時代おかしな言動を繰り返していた。周りの子は私を馬鹿にしたり、虐めたりしたけど、シリルねぇちゃんはいつも私に味方してくれた。転生した先の姉がシリルでよかったと、いつも思う。
「で!シリルお姉ちゃん。なんかいいアイデア教えて!!シリルお姉ちゃんだけが頼りなの!」
シリルお姉ちゃんはにっこりと笑って、私の頭を優しく撫でてくれた。
「そう、急がないの。まずはアレックスとかいう貴方の婚約者に会わせて貰わないとね。」
え?!アレックスにシリルお姉ちゃんが会うの?!
◇◇◇
「お、お義姉さん。初めまして。メルさんの婚約者、アレックスと申します。」
シリルお姉ちゃんに会ったアレックスはガチガチに緊張していた。その様子を見てシリルお姉ちゃんは優雅に笑う。
「初めまして。わたくし、メルの姉、シリルと申します。いつも妹がお世話になっています。」
「い、いえ、、!俺の方こそ、いつもメルさんには、美味しいお菓子をごちそうになっていまして、、、!」
なんか緊張しているアレックスを見てると、こっちまで緊張してくるんだけど。
「あらあら。メルはすっかりアレックス様の胃袋を掴んだのね。」
「それは間違い無いね。」
餌付けが成功し過ぎているとは言える。その後も、アレックスは緊張し過ぎていたが、シリルお姉ちゃんはずっと楽しそうに笑っていた。
「かっこいい人じゃない。メルにぴったり。」
お昼休憩が終わり、去っていくアレックスの後ろ姿を見ながら、シリルお姉ちゃんが言った。
「私には勿体ない人だよ。」
「そう?彼はメルのこと、とっても大好きみたいだったけど?」
「どうかな、、、。」
私は言葉を濁して、俯いた。
「まだ、誰にも愛して欲しくないの?」
シリルお姉ちゃんが優しい口調で私に尋ねた。シリルお姉ちゃんは、私が前世の記憶について話した唯一の人だ。彼女は私が前世で夫に殺されてしまったことを知っている。
「うん。」
どうしても、怖かった。生前、夫は私に言った。愛してるよ、と。だけど、彼はいつの間にか私のことを憎むようになっていた。最初から、彼が私を愛していなければ、憎むこともなかったはずなのだ。
「そうかぁ。」
シリルお姉ちゃんは私のことをぎゅっと抱きしめた。シリルお姉ちゃんは、私の前世について否定しなかったし、"愛されたくない"私のこともみとめてくれた。
「ね、お姉ちゃん。私はアレックスに何をあげたらいいかな?」
アレックスに何かお礼がしたかった。お姉ちゃんとはまた違うけど、アレックスは誰とも結婚したくない私に居場所をくれたから。本当なら、結婚したくない貴族の娘なんて、親にブチギレられて破門されててもおかしくない。まあ、うちの両親はそこまで過激じゃないかもしれないけど。
シリルお姉ちゃんはにっこりと笑った。
「きっと、なんでも、メルがあげたものなら喜んでくれると思うわよ。」
お姉ちゃん、それ、、ヒントになってないよぉぉぁ。結局、シリルお姉ちゃんはプレゼントのアイデアを一つも出してくれなかった。
あげたいものをあげなさい。
そう言うだけ。
「じゃあなんでここに来たのよ~?」
シリルの帰り際にそう尋ねると、シリルはいたずらっぽく笑っていった。
「メルの婚約者に一回会ってみたかっただけよ。」
◇◇◇
その日の夜。ベットの中でアレックスに何を渡すか考えていたが、まともなアイデアが浮かばない。
前世で私は城川ひろみ、という名前だった。前述したとおり、私は夫に殺されたのだが、彼はアルコール依存症だった。夫の名前はトモヒロという。
トモヒロは仕事をしておらず、私が働いて彼を養っていた。そんな彼の誕生日に私がわたしていたものは、、、。
(現金、、、。)
そう、私はトモヒロの誕生日に毎月3万円のお小遣いを渡していた。これで好きなもの、買いな、てね。
私はごろりごろりと、ベットの上を転がった。私はトモヒロと学生時代から付き合っていて、彼以外の人間と付き合ったことがなかった。
転生してメルになってからは、もう異性との関わり自体を拒絶していたので、付き合うどころか友達もいなかった。
「王子様の婚約者に、何を渡せばいいのよ、、、?」
途方にくれた私は、姉のシリルに速達で手紙を書くことにした。シリルは都の男と結婚して、今はもう二児の母になっていた。シリルなら、何かいいアイデアを教えてくれるだろう。
◇◇◇
「久しぶりね!メル!」
手紙を送った二日後に、シリルは東宮殿にやってきた。
「久しぶり!」
相変わらず、可愛いお姉ちゃんだ。前世の記憶を持ったまま転生した私は、子供時代おかしな言動を繰り返していた。周りの子は私を馬鹿にしたり、虐めたりしたけど、シリルねぇちゃんはいつも私に味方してくれた。転生した先の姉がシリルでよかったと、いつも思う。
「で!シリルお姉ちゃん。なんかいいアイデア教えて!!シリルお姉ちゃんだけが頼りなの!」
シリルお姉ちゃんはにっこりと笑って、私の頭を優しく撫でてくれた。
「そう、急がないの。まずはアレックスとかいう貴方の婚約者に会わせて貰わないとね。」
え?!アレックスにシリルお姉ちゃんが会うの?!
◇◇◇
「お、お義姉さん。初めまして。メルさんの婚約者、アレックスと申します。」
シリルお姉ちゃんに会ったアレックスはガチガチに緊張していた。その様子を見てシリルお姉ちゃんは優雅に笑う。
「初めまして。わたくし、メルの姉、シリルと申します。いつも妹がお世話になっています。」
「い、いえ、、!俺の方こそ、いつもメルさんには、美味しいお菓子をごちそうになっていまして、、、!」
なんか緊張しているアレックスを見てると、こっちまで緊張してくるんだけど。
「あらあら。メルはすっかりアレックス様の胃袋を掴んだのね。」
「それは間違い無いね。」
餌付けが成功し過ぎているとは言える。その後も、アレックスは緊張し過ぎていたが、シリルお姉ちゃんはずっと楽しそうに笑っていた。
「かっこいい人じゃない。メルにぴったり。」
お昼休憩が終わり、去っていくアレックスの後ろ姿を見ながら、シリルお姉ちゃんが言った。
「私には勿体ない人だよ。」
「そう?彼はメルのこと、とっても大好きみたいだったけど?」
「どうかな、、、。」
私は言葉を濁して、俯いた。
「まだ、誰にも愛して欲しくないの?」
シリルお姉ちゃんが優しい口調で私に尋ねた。シリルお姉ちゃんは、私が前世の記憶について話した唯一の人だ。彼女は私が前世で夫に殺されてしまったことを知っている。
「うん。」
どうしても、怖かった。生前、夫は私に言った。愛してるよ、と。だけど、彼はいつの間にか私のことを憎むようになっていた。最初から、彼が私を愛していなければ、憎むこともなかったはずなのだ。
「そうかぁ。」
シリルお姉ちゃんは私のことをぎゅっと抱きしめた。シリルお姉ちゃんは、私の前世について否定しなかったし、"愛されたくない"私のこともみとめてくれた。
「ね、お姉ちゃん。私はアレックスに何をあげたらいいかな?」
アレックスに何かお礼がしたかった。お姉ちゃんとはまた違うけど、アレックスは誰とも結婚したくない私に居場所をくれたから。本当なら、結婚したくない貴族の娘なんて、親にブチギレられて破門されててもおかしくない。まあ、うちの両親はそこまで過激じゃないかもしれないけど。
シリルお姉ちゃんはにっこりと笑った。
「きっと、なんでも、メルがあげたものなら喜んでくれると思うわよ。」
お姉ちゃん、それ、、ヒントになってないよぉぉぁ。結局、シリルお姉ちゃんはプレゼントのアイデアを一つも出してくれなかった。
あげたいものをあげなさい。
そう言うだけ。
「じゃあなんでここに来たのよ~?」
シリルの帰り際にそう尋ねると、シリルはいたずらっぽく笑っていった。
「メルの婚約者に一回会ってみたかっただけよ。」
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