【完結】婚約破棄によって全てを失い花魁になった私を見つけたのは綺麗な王子様でした


「他の女が妊娠したから
 私とは婚約破棄したい、と?」

遊郭の花魁であるリンは無表情で
キョウノスケに問いかけた。

リンは婚約、といったが
遊郭で言う婚約は身請けのことだ。

「あぁ。
 まさか使用人の女が
 俺の子供を孕むとは思わなかった。

 だが、悪いのは俺じゃねぇ。
 俺は騙されただけだ。」

キョウノスケは
扇子で顔を扇ぎながら言った。

「そうですか。」

元々リンはキョウノスケを
愛していない。

裕福な男が
自分を買いたいと言ったから
それに了承しただけ。

「騙された訳も聞かないのか?」

「貴方は私との婚約をやめ、
 ここから出してはくれない。

 ならばもう、
 貴方と話すことはありません。」

キョウノスケは
ちっと舌打ちをする。

「リン。
 お前は綺麗だが
 ただの人形のようだ。

 なんの感情もないのだな。」

「感情などとうの昔に捨てました。」

花魁が感情を持って
良いことなど一つもない。

「私は呪われておりますから。」

リンに近づいたものは皆
不幸な目に遭う。

都では有名な噂だった。



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