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22.王妃様の"自白"

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「好きじゃないわよ!」

自分の鍵を締め、振り返ったリリア王妃は顔を真っ赤にしてティリンスに言いました。

「リリア様。ではなぜそれほど動揺しているのですか?」

その態度が全て、ティリンスの言葉が図星であると確信させることをリリア王妃は知りません。

「それは、、、あまりにも貴方が突拍子も無いことをいうからっっ。」

リリア王妃は顔を覆ってしゃがみこんでしまいました。ティリンスは腰をおろし、リリア王妃の背にそっと手を当てました。リリア王妃の肩がびくりと震えました。

「隠さなくてだいじょうぶですよ。僕は誰にも伝える気はありませんから。」

リリア王妃は立ち上がり、部屋の隅に逃げました。

「な、なぜ触れるの?!」

「すみません。驚かせるつもりは無かったのです。カーネリアン国ではスキンシップはもっと気軽なものなので。」

ティリンスはリリア王妃から一歩離れると、両手を上げました。

「気安く触れるのはやめて頂戴!!」

「わかりました。ですがリリア様、、、アンドリューが他の女性に触れるのを見て、酷く動揺されていましたよね?」

「、、、!」

リリア王妃は両手で口を押さえました。確かに、自分の騎士が他の女性に触れるのを見たからといって、あれほど動揺するなんて普通ではありません。

(なぜあんな迂闊な行動を取ってしまったの?)

リリア王妃がアンドリューへの恋心を自覚したのは、つい最近のことでその制御の仕方をよくわかっていませんでした。

(このままではアンドリューに気づかれてしまう。)

リリア王妃は力なく椅子に座り込み、ティリンスを見上げました。

「認めるわ。」

そして、小さい声で言いました。

「だから、黙っていてくれないかしら。私はアンドリューに何もいうつもりはないの。」

「もちろんです。ですが、一つ条件があります。」

「条件?」

「ええ。僕の恋の相談に乗ってほしいのです。」

リリア王妃は眉を顰めてティリンスを見ました。

「なぜ私に?助言できることなんて、ひとつもないわ。」

「それが、僕が好きな人がリリア様によく似ているのですよ。」

「私にはなにもできないのに。」

「かまいません。」

リリア王妃は大きくため息をつきました。

「分かったわ。」

「本当ですか?!」

「その代わり、絶対にアンドリューに何も言わないと約束して頂戴。」

リリア王妃は、ティリンスに強く念押ししました。

「もちろんです。」

なぜこのようなことになるのか、リリア王妃には皆目検討がつきませんでした。ですが、一つ重大な秘密を握られているリリア王妃にはティリンスに従うしかありません。

「絶対に秘密よ。」

もう少しリリア王妃は慎重になるべきだったのです。ティリンスに秘密を知られたことが、大きな事件を巻き起こしてしまうことをリリア王妃はまだ知りません。

   ◇◇◇
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