10 / 23
10.騎士の"叶わぬ恋"
しおりを挟む
北宮には、ティリンス王子が待っていました。
「リリア王妃、、、!どうしたんだ?!」
リリア王妃はまだ目を覚ましていません。リリあまりの悲しみから、息をすることを忘れてしまったのかもしれません。
「おそらく、貧血だと思います。ジキル王に、相当酷いことを言われたようです。」
ティリンス王子は心配そうにリリア王妃を見つめました。
「そうか。それでは明日、日を改めてまた来る。リリア王妃にはしっかり休むよう、伝えてくれ。」
そう言ってティリンス様は帰って行かれました。アンドリューは気を失ったままのリリア王妃をベットにそっと置きました。血の気の無い顔を見ていると、恐ろしくて、アンドリューはリリア王妃の口元に顔を寄せました。しっかりと息をして、生きています。
(リリア様、、、。)
アンドリューはリリア王妃の手を握って、祈りました。これ以上、リリア王妃に悲しいことが起こりませんように。これから先の人生が全て幸せに溢れますように。アンドリューはなんとしてもリリア王妃に幸せになってもらいたいのです。
◇◇◇
リリア王妃が目を覚まされたのは、日が暮れて暫く経った頃でした。
「だめだったわ、、、。」
「リリア様。」
リリア王妃は虚ろな目でアンドリューを見ました。
「全部、無駄だったのね。だってジキル王は、私を憎んでいるのだから。」
「無駄ではありません。リリア様の努力は必ず報われます。」
リリア王妃の功績はジキル王には届かなかったかもしれませんが、ティリンス王子はリリア王妃に気づいてくれました。
「もう、そんな慰めは聞き飽きたわ。暫く一人にして頂戴。」
リリア王妃の心が限界を超えているのはよくわかりました。今、何を言ったところできっとリリア王妃は信じないでしょう。アンドリューは黙って部屋を出ました。
(明日になればきっと、ティリンス王子がリリア王妃を救ってくださる。)
アンドリューの心は、大きく揺れていました。もっと自分に力があれば、リリア王妃を救ってあげられたのではないか、その思いが頭を駆け巡っていました。
「馬鹿だな。」
アンドリューは自分に向けて呟きました。ティリンス王子によってリリア王妃が救われるのですから、これ以上良いことはないはずです。
それにも関わらず、アンドリューは少し苦しく思いました。叶わぬ恋だとは最初から分かっていたはずなのに、ずっと側にいる間に勘違いをしてしまったようです。
◇◇◇
「リリア王妃、、、!どうしたんだ?!」
リリア王妃はまだ目を覚ましていません。リリあまりの悲しみから、息をすることを忘れてしまったのかもしれません。
「おそらく、貧血だと思います。ジキル王に、相当酷いことを言われたようです。」
ティリンス王子は心配そうにリリア王妃を見つめました。
「そうか。それでは明日、日を改めてまた来る。リリア王妃にはしっかり休むよう、伝えてくれ。」
そう言ってティリンス様は帰って行かれました。アンドリューは気を失ったままのリリア王妃をベットにそっと置きました。血の気の無い顔を見ていると、恐ろしくて、アンドリューはリリア王妃の口元に顔を寄せました。しっかりと息をして、生きています。
(リリア様、、、。)
アンドリューはリリア王妃の手を握って、祈りました。これ以上、リリア王妃に悲しいことが起こりませんように。これから先の人生が全て幸せに溢れますように。アンドリューはなんとしてもリリア王妃に幸せになってもらいたいのです。
◇◇◇
リリア王妃が目を覚まされたのは、日が暮れて暫く経った頃でした。
「だめだったわ、、、。」
「リリア様。」
リリア王妃は虚ろな目でアンドリューを見ました。
「全部、無駄だったのね。だってジキル王は、私を憎んでいるのだから。」
「無駄ではありません。リリア様の努力は必ず報われます。」
リリア王妃の功績はジキル王には届かなかったかもしれませんが、ティリンス王子はリリア王妃に気づいてくれました。
「もう、そんな慰めは聞き飽きたわ。暫く一人にして頂戴。」
リリア王妃の心が限界を超えているのはよくわかりました。今、何を言ったところできっとリリア王妃は信じないでしょう。アンドリューは黙って部屋を出ました。
(明日になればきっと、ティリンス王子がリリア王妃を救ってくださる。)
アンドリューの心は、大きく揺れていました。もっと自分に力があれば、リリア王妃を救ってあげられたのではないか、その思いが頭を駆け巡っていました。
「馬鹿だな。」
アンドリューは自分に向けて呟きました。ティリンス王子によってリリア王妃が救われるのですから、これ以上良いことはないはずです。
それにも関わらず、アンドリューは少し苦しく思いました。叶わぬ恋だとは最初から分かっていたはずなのに、ずっと側にいる間に勘違いをしてしまったようです。
◇◇◇
0
お気に入りに追加
322
あなたにおすすめの小説
【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫
紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。
スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。
そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。
捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。
もううんざりですので、実家に帰らせていただきます
ルイス
恋愛
「あなたの浮気には耐えられなくなりましたので、婚約中の身ですが実家の屋敷に帰らせていただきます」
伯爵令嬢のシルファ・ウォークライは耐えられなくなって、リーガス・ドルアット侯爵令息の元から姿を消した。リーガスは反省し二度と浮気をしないとばかりに彼女を追いかけて行くが……。
「不吉な子」と罵られたので娘を連れて家を出ましたが、どうやら「幸運を呼ぶ子」だったようです。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
マリッサの額にはうっすらと痣がある。
その痣のせいで姑に嫌われ、生まれた娘にも同じ痣があったことで「気味が悪い!不吉な子に違いない」と言われてしまう。
自分のことは我慢できるが娘を傷つけるのは許せない。そう思ったマリッサは離婚して家を出て、新たな出会いを得て幸せになるが……
愛と浮気と報復と
よーこ
恋愛
婚約中の幼馴染が浮気した。
絶対に許さない。酷い目に合わせてやる。
どんな理由があったとしても関係ない。
だって、わたしは傷ついたのだから。
※R15は必要ないだろうけど念のため。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
愛する婚約者の君へ。
水垣するめ
恋愛
私エレナ・スコット男爵令嬢には婚約者がいる。
名前はレイ・ライランス。この国の騎士団長の息子で、次期騎士団長だ。
金髪を後ろで一束にまとめていて、表情と物腰は柔らかく、とても武人には見えないような端正な顔立ちをしている。
彼は今、戦場にいる。
国の最北端で、恐ろしい魔物と戦っているのだ。
魔物との戦いは長い年月に及び、この国の兵士は二年、最北端で魔物と戦う義務がある。
レイは今、その義務を果たしているところだ。
婚約者としては心配なことこの上ないが、次期騎士団長ということもあり、比較的安全な後方に置かれているらしい。
そんな私の愛する婚約者からは、毎日手紙が届く。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
夫が隣国の王女と秘密の逢瀬を重ねているようです
hana
恋愛
小国アーヴェル王国。若き領主アレクシスと結婚を果たしたイザベルは、彼の不倫現場を目撃してしまう。相手は隣国の王女フローラで、もう何回も逢瀬を重ねているよう。イザベルはアレクシスを問い詰めるが、返ってきたのは「不倫なんてしていない」という言葉で……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる