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6.悪政の"王様"
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リリア王妃が住む北宮からジキル王が住む本宮まではそれほど遠くありませんが、少し歩く必要があります。多くの人々が北宮から本宮に向かって歩いていました。
「今日は、リリア王妃の誕生日だが、相変わらず陛下はリリア王妃を無視するんだな。」
本宮に入った一人の商人が大声で言いました。周りを歩いていた人々ははっとしてその商人を振り向きます。
「おいっ、本宮でリリア王妃の名前を言うな!牢屋に入りたいのか?!」
本宮でリリア王妃の名前は絶対に口に出してはいけません。これまで何人もの人間がジキル王の前でリリア王妃の話題をだして捕まっていました。
ジキル王はリリア王妃を心の底から憎んでいます。前国王であるジキル王の父は、ミラノリ国と大国フラリアの戦いに巻き込まれて命を落としました。当時、ミラノリ国とタンサルト国は同盟関係でしたから、タンサルト国はミラノリ国の助太刀のため、戦に参加していたのです。
本来ならば、ジキル王はフラリア国を恨むべきでしょう。ですが、ジキル王の恨みは、父を戦に巻き込んだミラノリ国に向きました。そしてその復讐のために、リリア王妃を不幸にしてやるとジキル王はずっと昔に決めていたのです。
(リリア様にはなんの罪もないと言うのに。)
運命はあまりにもリリア王妃に残酷でした。
◇◇◇
本宮には驚くほど多くの人がいました。豪華な食事が振る舞われ、音楽隊も招かれています。質素な北宮の様子とは全く異なっていました。
(リリア様と差をつけるために、わざと豪華な誕生日会を開いたのかもしれない。)
ジキル王は隣にピリナ嬢を置いて、満足げに酒を飲んでいます。金色の髪に青い瞳。この国で美しいと言われる特徴を全て持った女性がピリナ嬢でした。ジキル王が彼女を側室にしたのは半年ほど前のことです。ジキル王はピリナを側室にするために、タンサルト国の法律ごと変えました。
「おめでとうございます!ピリナ様!」
「今日もお美しいです!ピリナ様!」
人々は口々にピリナ嬢を褒めたたえます。ピリナ嬢に取り入ることは重要なことでした。なぜなら多くの人が、こう考えているからです。
"ジキル王がついにお飾り王妃であるリリア王妃をこの国から追放するのではないか"と。
アンドリューは王座に座るジキル王を睨みつけました。アンドリューにとってジキル王はリリア王妃を苦しめ続けてきた誰よりも憎い男です。腰につけた刀を抜き、切り倒してしまいたい衝動をアンドリューは必死で押さえました。
(暴君ジキルめ、、、。)
ジキル王の悪行はリリア王妃に対してだけではありません。ジキル王は貴族ばかりを優遇し、平民に重税を課していました。気まぐれに法律を変えては、自分の財産を肥やすことばかり考えています。
「おめでとうございます。ピリナ様。」
そう言って笑う商人の中には、ピリナ嬢から離れた瞬間にピリナ嬢を睨みつける者もいます。国民は困窮しているにも関わらず、豪遊を続けるジキル王への反感は日に日に高まっていました。それもあって、リリア王妃は民に慕われているのです。
(リリア様のところに戻ろう。ここにいると、ジキルを殺してしまいそうだ。)
その時、音楽隊の演奏が止まりました。
「カーネリアン国、第二王子のおなーりー!」
大国カーネリアン国の第二王子ティリンスがタンサルト国本宮にやってきました。ティリンス王子はジキル王の元にやってくると、衝撃の一言を放ちました。
「リリア王妃の誕生日を祝いに来たんだけど、彼女はどこにいらっしゃるかな?」
◇◇◇
「今日は、リリア王妃の誕生日だが、相変わらず陛下はリリア王妃を無視するんだな。」
本宮に入った一人の商人が大声で言いました。周りを歩いていた人々ははっとしてその商人を振り向きます。
「おいっ、本宮でリリア王妃の名前を言うな!牢屋に入りたいのか?!」
本宮でリリア王妃の名前は絶対に口に出してはいけません。これまで何人もの人間がジキル王の前でリリア王妃の話題をだして捕まっていました。
ジキル王はリリア王妃を心の底から憎んでいます。前国王であるジキル王の父は、ミラノリ国と大国フラリアの戦いに巻き込まれて命を落としました。当時、ミラノリ国とタンサルト国は同盟関係でしたから、タンサルト国はミラノリ国の助太刀のため、戦に参加していたのです。
本来ならば、ジキル王はフラリア国を恨むべきでしょう。ですが、ジキル王の恨みは、父を戦に巻き込んだミラノリ国に向きました。そしてその復讐のために、リリア王妃を不幸にしてやるとジキル王はずっと昔に決めていたのです。
(リリア様にはなんの罪もないと言うのに。)
運命はあまりにもリリア王妃に残酷でした。
◇◇◇
本宮には驚くほど多くの人がいました。豪華な食事が振る舞われ、音楽隊も招かれています。質素な北宮の様子とは全く異なっていました。
(リリア様と差をつけるために、わざと豪華な誕生日会を開いたのかもしれない。)
ジキル王は隣にピリナ嬢を置いて、満足げに酒を飲んでいます。金色の髪に青い瞳。この国で美しいと言われる特徴を全て持った女性がピリナ嬢でした。ジキル王が彼女を側室にしたのは半年ほど前のことです。ジキル王はピリナを側室にするために、タンサルト国の法律ごと変えました。
「おめでとうございます!ピリナ様!」
「今日もお美しいです!ピリナ様!」
人々は口々にピリナ嬢を褒めたたえます。ピリナ嬢に取り入ることは重要なことでした。なぜなら多くの人が、こう考えているからです。
"ジキル王がついにお飾り王妃であるリリア王妃をこの国から追放するのではないか"と。
アンドリューは王座に座るジキル王を睨みつけました。アンドリューにとってジキル王はリリア王妃を苦しめ続けてきた誰よりも憎い男です。腰につけた刀を抜き、切り倒してしまいたい衝動をアンドリューは必死で押さえました。
(暴君ジキルめ、、、。)
ジキル王の悪行はリリア王妃に対してだけではありません。ジキル王は貴族ばかりを優遇し、平民に重税を課していました。気まぐれに法律を変えては、自分の財産を肥やすことばかり考えています。
「おめでとうございます。ピリナ様。」
そう言って笑う商人の中には、ピリナ嬢から離れた瞬間にピリナ嬢を睨みつける者もいます。国民は困窮しているにも関わらず、豪遊を続けるジキル王への反感は日に日に高まっていました。それもあって、リリア王妃は民に慕われているのです。
(リリア様のところに戻ろう。ここにいると、ジキルを殺してしまいそうだ。)
その時、音楽隊の演奏が止まりました。
「カーネリアン国、第二王子のおなーりー!」
大国カーネリアン国の第二王子ティリンスがタンサルト国本宮にやってきました。ティリンス王子はジキル王の元にやってくると、衝撃の一言を放ちました。
「リリア王妃の誕生日を祝いに来たんだけど、彼女はどこにいらっしゃるかな?」
◇◇◇
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