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4.生まれ変わり?
しおりを挟む――ここはどこ?まさか地獄行きじゃないよね?
何者かにナイフで刺され、心臓が止まったはずの私はゆっくりと目を開けた。目を開けても真っ暗で、無音の空間に私はいた。
「死んだんだろうなぁ。」
妙に他人事のように感じる。思った以上に冷静に死を実感できる自分に驚いていた。
――これから行くのは天国?地獄?どっちに行ったとしても、絶対に楽しんでやる。
私は真っ暗な空間に取り残されていた。だれもいない静かな空間で、眠っていてもいいけれど、せっかくだから前に進んでみようと、私は歩き出した。
――何だあれは?
暗闇の中で一か所、微かな光が見えた。光は遠くにあるようにも、とても近い場所にあるようにも思える。
歩いていても足元には何の感覚もない。ただ空を切っている感覚しか残らない中、徐々に光の方へ歩みを進めていく。
――わくわくするね。
もうどうせ死んでいるんだから。そう思うと、腹の底から力が湧いてくる。歩くたびに力が失われていき、暗闇が私を包み込んでいくようだったけれど、私は目的地に向かって進み続けた。
ついに私は光のもとにたどり着き、両手で光を包んだ。光は温かく、優しい光を放っていた。光が小さく震え、突如どこからか声が聞こえてきた。
「ラウラ、貴方の人生もらうね。」
私は小さく笑った。
――ラウラ・アップルとしての私の人生は悪くなかったけれど……そう簡単な人生じゃなかったよ?
「いいよ。ほしいなら、いくらでもあげる。」
そう答えると、光は手のひらの中で大きくなり、私の体を包み込んだ。
◇◇◇
「いったぁぁ。」
私は全身に痛みを感じながらも、ゆっくりと体を起こした。痛みが体の全身を貫いている感覚。
――ああ、私、生きてたんだね。
「お嬢様!」
私の声に驚いた使用人が駆け寄ってきた。
「アリーチ様!目を覚まされたのですか?」
心配そうな顔で私を覗き込んだ使用人の女性が私に尋ねた。
――ん?
私は混乱しながら、ゆっくりと水を口に含んだ。
――私の名前は、ラウラ・アップル。嫌われ者の踊り子なはずだけど……?
「アリーチ……何のこと……?」
「お嬢様……混乱されているのですか?アリーチ様……お嬢様の名前です。お嬢様はアリーチ・ヴァンブリード様ですよ。」
「ええっと……。」
「今、お医者様を呼んできますね!」
使用人の女性は私の言葉を遮って部屋を出ていった。どこかで見覚えがある顔だと思ったら、私をひどく虐めていたアリーチの子分の一人だ。
「だいじょうぶ。とにかく私は生きてるんだもん。」
少し動揺しながらも、冷静さを取り戻すように頷く。腹部を押さえながら周囲を見渡し、自分の記憶を必死に思い出す。
「アリーチの部屋だなぁ……。」
一度、招待されてひどい目に遭ったような気がする。私はベットの横にある鏡を見つけ、恐る恐る手に取った。
「うん……アリーチだなぁ。」
鏡に映るのは、長く伸びる金髪に黒い髪の令嬢アリーチ・ヴァンブリード。
「私……アリーチになってしまったんだね。」
――ま、悪くないよね。
生き返る前にあの光は、ラウラをもらうと言った。どうやらその代わりに私はアリーチになったらしい。
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