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24.約束
しおりを挟む「おはよう。ルネア。今日もかわいいね。」
「・・・朝からなんですか!」
「顔真っ赤だよ。ルネア。」
布団に潜り込んで顔を隠すと、ルカ様は楽しそうに笑った。
私がルカ様の婚約者(仮)になってから、15日が経った。ルカ様との契約はあと半分。ルカ様への思いは毎日大きくなるばかり。
「見ないでください・・・!しょうがないじゃないですか・・・ルカ様が・・・。」
「俺がどうしたの?」
ルカ様が私をどきどきさせることばかり言うから・・・。
もう気づかれているのだろうか・・・。私がルカ様に惹かれていることに。
「あまりにも、私を褒めすぎるからですよ・・・!恥ずかしくて!」
「これでも褒め足りないくらいだよ。」
「・・・!」
にっこりと微笑むルカ様の顔を直視することができない。私の挙動不審は益々大きくなるばかりだ。
ルカ様は・・・私のことをどう思われているのだろう。
ー私は偽の婚約者。契約が終われば、ルカ様の側にはいられない。
そう自分に言い聞かせて居なければ、私は欲深くなってしまう。
"偽の婚約者"より、もっと・・・。
「ルネア。」
「・・・はい!」
ぼうっとしていた私はルカ様に声をかけられて、我に返った。
ルカ様はそんな私を優しい目で見つめると、いつもより少し低い声で言った。
「ルネア。明日から7日間ステフィス国で大規模なパーティが始まる。ルネアも知っているよな?」
「はい・・・!」
「きっと・・・、奴らはそこで俺の命を終わらせるつもりだろう。パーティでは・・・、王族だけの集まりがある。そこでは護衛をつけられない。ルネアの力を借りることになるだろう。」
いよいよ、パーティが始まるのだ。
年に一度のステフィス国建国を祝うパーティ。このときの為に、ルカ様は私を"偽の婚約者にした。
ーーなんとしても、ルカ様をまもるんだ。
ルカ様はまっすぐに私を見つめた。
「だからこそ・・・ルネアにはもう一度考えてほしい。
偽の婚約者を続けるかどうかを。」
ルカ様の目はゆらゆらと揺れている。
きっとルカ様は私を心配してくれているんだ。自分の命が危機に晒されているにもかかわらず。
「続けるに決まっているじゃないですか。私は命に変えても、貴方をお守りします。」
「だめなんだ・・・。」
「え?」
ルカ様はそっと私の頬に触れた。
「・・・ルネア、君がいなくなることが一番恐ろしいんだ。もしも、俺の命とルネアの命が天秤にかけられることがあったら・・・自分を全力で守ってくれ。」
「ルカ様・・・。」
「約束してくれるか?」
私は小さく微笑んだ。
「分かりました。」
きっとそう言わなければ、ルカ様は私を手放してしまうのでしょう?
「・・・約束だぞ。」
そう言って、ルカ様は私を抱きしめた。
「本当は巻き込むべきではないとわかっているのに、俺は君を手放せない。
ごめんな・・・ありがとう、ルネア。」
ルカ様の息が耳にかかる。
「私こそ・・・ありがとうございます。ルカ様と出会って、私は救われました。」
「俺が・・・?」
「ルカ様の側にいると、心が温かいんです。不思議です・・・いつも、心が空っぽで戦うことしかできなかったのに・・・」
ルカ様が私を抱きしめる力がいっそう強くなった。
「俺が18歳になったら・・・ルネアに伝えたいことがある・・・。」
「・・・伝えたいこと?」
「今は、まだ言えない。だが、絶対に伝えるから。」
一体それは何だろうか。
18歳になったルカ様が私に伝えたいこと・・・?
「楽しみにしています。」
この契約が終わったあとの約束。
それは私に大きな力をくれた。
いよいよパーティが始まる。
それは私が想像する以上に、波瀾に満ちた7日間だったーーー。
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