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48 なぜこんなことに…… Side マティア
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【Side マティア】
リックストン国王の追求は続く。
「ドントール国はリックストン国を侵略しようとしている。それは誠の話か?」
「はい。」
「そして、お前は、毒入りの小瓶を持ち歩いていた。そうだな?」
「……はい。」
「お前はその小瓶をだれから渡された?」
嘘をつくべきだと思った。だけど、どんな嘘をついて良いかわからない。マティアは息を飲み込んだ。
「ドントール国王から、渡されました。」
「その毒で……お前は誰かを殺すように命じられた……そうだな?」
マティアは唇をかんだ。彼女はその毒で、ポールを殺すように命じられている。
「……はい。ですがっ私は、その毒を使うつもりはありませんでした……!」
「言い訳は聞かぬ……!マティア・ドントール!お前を殺害未遂の罪で、投獄することを決定する!」
「私はっ、誰のことも殺そうとしていませんっ。私はポールを守りたくて……!」
「誰がそんなうわごとを聞くか!恐ろしきドントールの娘め!」
国王の怒声が王の間に響く。誰も、マティアを擁護するものはいなかった。抵抗むなしく、マティアは牢屋に連れていかれてしまったのだった。
◇◇◇
「やめて!私はっ誰も傷つけようとしていない!」
マティアは必死で訴えたが兵士は聞く耳を持とうとはしなかった。牢屋に閉じ込められたマティアは膝を抱えて小さく丸まった。
ーーーーなぜこんなことに……。
サラの嬉しそうな顔が頭をよぎる。彼女がマティアを陥れたのだろうか?
ーーーーポールはこのことを知っていたの?
ポールは何も知らなかったと信じたかった。昨日の優しさがすべて嘘だったなんて、考えたくない。
牢屋は薄暗く、じめじめとした湿気が立ち込める。その牢屋は地下に位置しており、外の光が一切差し込まない。見張りの兵士の持つランプが唯一の光だった。
ーーーー気味が悪いわ……。
時折誰かのうめき声が聞こえてくる。床は冷たく、湿った地面で、虫たちが這い回っていた。絶望感が漂う牢屋で、マティアは自分を責めることしかできなかった。
ーーーーなぜ私は、あの小瓶を置きっぱなしにしておいたんだろう……。
肌身離さずあの瓶を持ってれば、事態は防げたはずなのに。このままではリックストン国とドントールの戦いは始まってしまう。間抜けにもマティアが捕まっている間に。絶望感に打ちひしがれて、マティアは目をとじた。その時。
「マティア。」
ポールの声がどこからか聞こえた。
リックストン国王の追求は続く。
「ドントール国はリックストン国を侵略しようとしている。それは誠の話か?」
「はい。」
「そして、お前は、毒入りの小瓶を持ち歩いていた。そうだな?」
「……はい。」
「お前はその小瓶をだれから渡された?」
嘘をつくべきだと思った。だけど、どんな嘘をついて良いかわからない。マティアは息を飲み込んだ。
「ドントール国王から、渡されました。」
「その毒で……お前は誰かを殺すように命じられた……そうだな?」
マティアは唇をかんだ。彼女はその毒で、ポールを殺すように命じられている。
「……はい。ですがっ私は、その毒を使うつもりはありませんでした……!」
「言い訳は聞かぬ……!マティア・ドントール!お前を殺害未遂の罪で、投獄することを決定する!」
「私はっ、誰のことも殺そうとしていませんっ。私はポールを守りたくて……!」
「誰がそんなうわごとを聞くか!恐ろしきドントールの娘め!」
国王の怒声が王の間に響く。誰も、マティアを擁護するものはいなかった。抵抗むなしく、マティアは牢屋に連れていかれてしまったのだった。
◇◇◇
「やめて!私はっ誰も傷つけようとしていない!」
マティアは必死で訴えたが兵士は聞く耳を持とうとはしなかった。牢屋に閉じ込められたマティアは膝を抱えて小さく丸まった。
ーーーーなぜこんなことに……。
サラの嬉しそうな顔が頭をよぎる。彼女がマティアを陥れたのだろうか?
ーーーーポールはこのことを知っていたの?
ポールは何も知らなかったと信じたかった。昨日の優しさがすべて嘘だったなんて、考えたくない。
牢屋は薄暗く、じめじめとした湿気が立ち込める。その牢屋は地下に位置しており、外の光が一切差し込まない。見張りの兵士の持つランプが唯一の光だった。
ーーーー気味が悪いわ……。
時折誰かのうめき声が聞こえてくる。床は冷たく、湿った地面で、虫たちが這い回っていた。絶望感が漂う牢屋で、マティアは自分を責めることしかできなかった。
ーーーーなぜ私は、あの小瓶を置きっぱなしにしておいたんだろう……。
肌身離さずあの瓶を持ってれば、事態は防げたはずなのに。このままではリックストン国とドントールの戦いは始まってしまう。間抜けにもマティアが捕まっている間に。絶望感に打ちひしがれて、マティアは目をとじた。その時。
「マティア。」
ポールの声がどこからか聞こえた。
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