6 / 56
序章 伝説のはじまりは出会いから
第04話 部隊編成は計画的に
しおりを挟む
アレックスの自室は、シュテルクス卜城の最上階の五階にある。
ファンタジー世界が舞台設定であるため、エレベーターなる代物は無い。その代わりに転移ポータルを使えば一瞬で一階まで移動できるのだが、対象毎に「転移の指輪」という課金アイテムが必要になる。当然、NPC傭兵のソフィアやジャンがそんなアイテムを持っているハズもなく、アレックスは徒歩を選んだ。
そもそも、空間魔法はリバフロの世界観でロストマジック扱いされている。高ランクの魔法を覚えるか課金アイテムが必要なのだ。努力せずに楽をしたければ金を払え、という運営の心優しい仕様だ。リバフロには、所々にこのような課金要素が散りばめられている。
仕様では致し方無いだろう。ジャンを先頭に三人は東側の階段を下って行く。どうやらソフィアも同行するらしく、アレックスから数歩離れた位置にいた。ソフィアが付いて来ることには触れず、アレックスは前方に気を配る。
鋼鉄のプレートアーマー姿とはいえ、ジャンの華奢な背中を認め、アレックスが部隊編成画面を確認する。
先程のジャンが言った所属を思い出しながら、アレックスが半透明のメニュー画面を表示させて階段を下る。数分もしない内にジャンの名前を見つけた。
(おおーいたいた)
確かに、直轄旅団の末端兵士で間違いなかったのだが、部隊編成画面を確認したことで新たな疑問が生まれた。
「なあ、ジャン」
「は、はいっ! な、何でしょうか、陛下」
「ああ、危ないから前を見ながらでいいぞ」
名前を呼ばれただけでジャンがビクッとなってアレックスを振り返った。右手で前を指して注意を促す。
「あ、ありがとうございます」
「ああ、いや。ときに確認だが、何故ジャンは異変を目の前で確認できたのだ?」
アレックスの問いに振り向きかけたジャンだが、直ぐに前を向いて当然という風に答える。
「それは、城壁通路にいたからであります」
「だから、何故だ? 目の前で見ているのだから、城壁付近に居たのはわかる。俺が聞きたいのは、直轄旅団の第一連隊で第一大隊といったら、俺と戦場を駆け回る部隊だぞ」
部隊編成画面には、部隊のタブが一二個ある。その内訳は、アレックスを指揮官とした直轄旅団――第一旅団――とNPC従者を指揮官に据えた第二旅団から第八旅団の合計八旅団が、基本的に戦争のための部隊運用をされる。
残りの四部隊は、帝都防衛用に、城壁東方旅団、城壁南方旅団、城壁西方旅団の三個旅団分の兵力を充てた帝都防衛師団九千人と、帝都内を巡回する一個大隊の三〇〇人編成で、見栄えだけの帝都警邏団。それぞれが、第九旅団から第一二旅団となる。
つまり、アレックスの直轄旅団に属しているジャンが城壁通路に居ること自体、おかしな話だった。
それ故に、補足を加えるのだが。
「城内の警備ならまだしも、城壁付近の警戒は、帝都防衛師団の役目じゃないか」
「え、えーっと、それはですね……陛下の命令だからでございます」
逡巡しながらもジャンからそう言われ、アレックスが首を傾げた。
「俺の命令?」
アレックスには全く思い当たる節が無い。
「は、はい……」
しょんぼりと肩を落としたジャンの様子に、アレックスが慌ててジャンの名前を選択し、タスク管理項目を確認する。そこには、「本拠地襲撃時、敵戦力評価後の伝令」との記載があった。
(――え、まじで……こんな設定した覚えが全くないんだが……一体いつからジャンは、その命令を守っていたんだ?)
その事実に絶句したアレックスが恐る恐るジャンを見た。
前を向いているためその表情を窺い知ることはできないが、肩を落としてトボトボと階段を下っていく様が、何とも切ない感じがした。
「ああ、覚えているとも。当然、覚えているぞ! 伝令の役目を見事務めているな」
タスク管理項目を見てたった今知ったのだが、ジャンの様子に忘れていたとは口が裂けても言えない。アレックスは、わざとらしく強調して答える外なかった。
「そ、そうでございますか!」
褒められたことが嬉しかったのか、ジャンの声に元気が戻っており、アレックスが取り繕うように労いの言葉を掛ける。
「う、うむ、今回も迅速な伝令の役目ご苦労であったなっ!」
「はっ、そう仰っていただき光栄でございます!」
「うむうむ、その調子で励めよ」
皇帝らしく振舞うも、正直冷や汗が止まらないアレックス。再度NPC傭兵たちのタスク管理項目を見直すことを誓ったのは、言うまでもないだろう。
となると、アレックスの数歩後ろに居るソフィアのことが気になり出した。
「して、ソフィアよ」
「何でしょうか、陛下」
アレックスは、某大国の大統領室をイメージし、意味のない前室を作っていた。そこに秘書っぽいNPC傭兵を配置したことまでは覚えていた。それに、毎日毎日そこに居続けていたため、彼女に設定したタスクがあの部屋にいることであるのは間違いないはずだ。
そこまでは予想できたが、ソフィアの名前どころか、何ランクのNPC傭兵かも忘れていた訳である。
とどのつまり、どの部隊に所属しているのかわからず、正確なタスクの確認ができない。
部隊編成の欄に記載されているのは、文字の羅列だけで数万の中から彼女の名前を探すことなどできるはずもなかった。
残された選択肢は、直接聞くしかない。それでも、ジャンのことで失敗したアレックスは、先程の二の舞いを演じないように言葉を選ぶ必要があった。
「お前は秘書の役目があるだろうに、こんなところに居てよいのか?」
「何を仰りますか。そのために同行しているんじゃないですか」
「え?」
アレックスにも聞こえるような盛大なため息を吐かれ、アレックスは間抜けな声を出した。
「『え?』 ではありませんよ、陛下」
ジャンとは違い、ソフィアが強気にアレックスを責めてくる。
それがいつの間にかアレックスと肩を並べて歩いており、赤縁眼鏡をくいっと上げ、鋭い翡翠色の双眸がアレックスを容赦なく射貫いた。
「いいですか、陛下。こんな非情事態に副官である私が同行しないで、一体いつ同行するのですか! それに、秘書というものは本来、常に行動を共にすると陛下がご自身で以前に仰っておりましたよ」
その言葉を聞いたアレックスは、ジャンのときと同様に急いで部隊編成画面を開いた。
「おおう、マジかよ……」
アレックスは、異世界へ飛ばされたことよりも、自分が設定したことを思い出して驚いてばかりだった。
確かめると、ソフィアが言ったように彼女は、アレックスの副官だった。つまり、ソフィアは直轄旅団の第三連隊長であり、それが便宜上、アレックスの副官となる。通りで皇帝であるはずのアレックスに当たりが厳しい訳だ。
彼女の本名は、ソフィア・セクレタリー。
彼女は、レベル一〇〇のSランク傭兵で将軍キャラに該当する。部隊編成上も千人隊長であり、それは将軍職を意味する。それにも拘らず、キリっと美しい見た目で、物は試しとダークスーツと赤縁眼鏡でドレアさせたら、どこからどう見ても美人秘書にしか見えなかった。
それで悪乗りしたアレックスが、彼女の家名をそのままソレに設定した。
「そ、そうだったな。確かに、そう言った、かもな……」
そんな苦笑いのアレックスを他所に、ソフィアが宣言する。
「ですから、今まで以上に陛下の剣となり働きますのでご覚悟願います」
ソフィアはプレイヤーと違ってNPC傭兵の剣士としてアレックスに雇用されている。種族的にダークエルフであるが、魔法より剣が得意だったりする。
その気迫は凄まじく、鼻息が聞こえるほどだった。
「ま、まあ、そこは無理しなくていいんじゃないかな……」
「なりません!」
ソフィアに凄まれたアレックスは、終始たじたじだった。
「そ、そうか……」
「そうですとも」
自分が設定した部隊編成でこんなに驚いていては、これから色々と起きるであろう事態に心臓が持つのだろうか、と心配になるアレックスだった。
ファンタジー世界が舞台設定であるため、エレベーターなる代物は無い。その代わりに転移ポータルを使えば一瞬で一階まで移動できるのだが、対象毎に「転移の指輪」という課金アイテムが必要になる。当然、NPC傭兵のソフィアやジャンがそんなアイテムを持っているハズもなく、アレックスは徒歩を選んだ。
そもそも、空間魔法はリバフロの世界観でロストマジック扱いされている。高ランクの魔法を覚えるか課金アイテムが必要なのだ。努力せずに楽をしたければ金を払え、という運営の心優しい仕様だ。リバフロには、所々にこのような課金要素が散りばめられている。
仕様では致し方無いだろう。ジャンを先頭に三人は東側の階段を下って行く。どうやらソフィアも同行するらしく、アレックスから数歩離れた位置にいた。ソフィアが付いて来ることには触れず、アレックスは前方に気を配る。
鋼鉄のプレートアーマー姿とはいえ、ジャンの華奢な背中を認め、アレックスが部隊編成画面を確認する。
先程のジャンが言った所属を思い出しながら、アレックスが半透明のメニュー画面を表示させて階段を下る。数分もしない内にジャンの名前を見つけた。
(おおーいたいた)
確かに、直轄旅団の末端兵士で間違いなかったのだが、部隊編成画面を確認したことで新たな疑問が生まれた。
「なあ、ジャン」
「は、はいっ! な、何でしょうか、陛下」
「ああ、危ないから前を見ながらでいいぞ」
名前を呼ばれただけでジャンがビクッとなってアレックスを振り返った。右手で前を指して注意を促す。
「あ、ありがとうございます」
「ああ、いや。ときに確認だが、何故ジャンは異変を目の前で確認できたのだ?」
アレックスの問いに振り向きかけたジャンだが、直ぐに前を向いて当然という風に答える。
「それは、城壁通路にいたからであります」
「だから、何故だ? 目の前で見ているのだから、城壁付近に居たのはわかる。俺が聞きたいのは、直轄旅団の第一連隊で第一大隊といったら、俺と戦場を駆け回る部隊だぞ」
部隊編成画面には、部隊のタブが一二個ある。その内訳は、アレックスを指揮官とした直轄旅団――第一旅団――とNPC従者を指揮官に据えた第二旅団から第八旅団の合計八旅団が、基本的に戦争のための部隊運用をされる。
残りの四部隊は、帝都防衛用に、城壁東方旅団、城壁南方旅団、城壁西方旅団の三個旅団分の兵力を充てた帝都防衛師団九千人と、帝都内を巡回する一個大隊の三〇〇人編成で、見栄えだけの帝都警邏団。それぞれが、第九旅団から第一二旅団となる。
つまり、アレックスの直轄旅団に属しているジャンが城壁通路に居ること自体、おかしな話だった。
それ故に、補足を加えるのだが。
「城内の警備ならまだしも、城壁付近の警戒は、帝都防衛師団の役目じゃないか」
「え、えーっと、それはですね……陛下の命令だからでございます」
逡巡しながらもジャンからそう言われ、アレックスが首を傾げた。
「俺の命令?」
アレックスには全く思い当たる節が無い。
「は、はい……」
しょんぼりと肩を落としたジャンの様子に、アレックスが慌ててジャンの名前を選択し、タスク管理項目を確認する。そこには、「本拠地襲撃時、敵戦力評価後の伝令」との記載があった。
(――え、まじで……こんな設定した覚えが全くないんだが……一体いつからジャンは、その命令を守っていたんだ?)
その事実に絶句したアレックスが恐る恐るジャンを見た。
前を向いているためその表情を窺い知ることはできないが、肩を落としてトボトボと階段を下っていく様が、何とも切ない感じがした。
「ああ、覚えているとも。当然、覚えているぞ! 伝令の役目を見事務めているな」
タスク管理項目を見てたった今知ったのだが、ジャンの様子に忘れていたとは口が裂けても言えない。アレックスは、わざとらしく強調して答える外なかった。
「そ、そうでございますか!」
褒められたことが嬉しかったのか、ジャンの声に元気が戻っており、アレックスが取り繕うように労いの言葉を掛ける。
「う、うむ、今回も迅速な伝令の役目ご苦労であったなっ!」
「はっ、そう仰っていただき光栄でございます!」
「うむうむ、その調子で励めよ」
皇帝らしく振舞うも、正直冷や汗が止まらないアレックス。再度NPC傭兵たちのタスク管理項目を見直すことを誓ったのは、言うまでもないだろう。
となると、アレックスの数歩後ろに居るソフィアのことが気になり出した。
「して、ソフィアよ」
「何でしょうか、陛下」
アレックスは、某大国の大統領室をイメージし、意味のない前室を作っていた。そこに秘書っぽいNPC傭兵を配置したことまでは覚えていた。それに、毎日毎日そこに居続けていたため、彼女に設定したタスクがあの部屋にいることであるのは間違いないはずだ。
そこまでは予想できたが、ソフィアの名前どころか、何ランクのNPC傭兵かも忘れていた訳である。
とどのつまり、どの部隊に所属しているのかわからず、正確なタスクの確認ができない。
部隊編成の欄に記載されているのは、文字の羅列だけで数万の中から彼女の名前を探すことなどできるはずもなかった。
残された選択肢は、直接聞くしかない。それでも、ジャンのことで失敗したアレックスは、先程の二の舞いを演じないように言葉を選ぶ必要があった。
「お前は秘書の役目があるだろうに、こんなところに居てよいのか?」
「何を仰りますか。そのために同行しているんじゃないですか」
「え?」
アレックスにも聞こえるような盛大なため息を吐かれ、アレックスは間抜けな声を出した。
「『え?』 ではありませんよ、陛下」
ジャンとは違い、ソフィアが強気にアレックスを責めてくる。
それがいつの間にかアレックスと肩を並べて歩いており、赤縁眼鏡をくいっと上げ、鋭い翡翠色の双眸がアレックスを容赦なく射貫いた。
「いいですか、陛下。こんな非情事態に副官である私が同行しないで、一体いつ同行するのですか! それに、秘書というものは本来、常に行動を共にすると陛下がご自身で以前に仰っておりましたよ」
その言葉を聞いたアレックスは、ジャンのときと同様に急いで部隊編成画面を開いた。
「おおう、マジかよ……」
アレックスは、異世界へ飛ばされたことよりも、自分が設定したことを思い出して驚いてばかりだった。
確かめると、ソフィアが言ったように彼女は、アレックスの副官だった。つまり、ソフィアは直轄旅団の第三連隊長であり、それが便宜上、アレックスの副官となる。通りで皇帝であるはずのアレックスに当たりが厳しい訳だ。
彼女の本名は、ソフィア・セクレタリー。
彼女は、レベル一〇〇のSランク傭兵で将軍キャラに該当する。部隊編成上も千人隊長であり、それは将軍職を意味する。それにも拘らず、キリっと美しい見た目で、物は試しとダークスーツと赤縁眼鏡でドレアさせたら、どこからどう見ても美人秘書にしか見えなかった。
それで悪乗りしたアレックスが、彼女の家名をそのままソレに設定した。
「そ、そうだったな。確かに、そう言った、かもな……」
そんな苦笑いのアレックスを他所に、ソフィアが宣言する。
「ですから、今まで以上に陛下の剣となり働きますのでご覚悟願います」
ソフィアはプレイヤーと違ってNPC傭兵の剣士としてアレックスに雇用されている。種族的にダークエルフであるが、魔法より剣が得意だったりする。
その気迫は凄まじく、鼻息が聞こえるほどだった。
「ま、まあ、そこは無理しなくていいんじゃないかな……」
「なりません!」
ソフィアに凄まれたアレックスは、終始たじたじだった。
「そ、そうか……」
「そうですとも」
自分が設定した部隊編成でこんなに驚いていては、これから色々と起きるであろう事態に心臓が持つのだろうか、と心配になるアレックスだった。
0
お気に入りに追加
1,957
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
腹ぺこエルフの美食道~リルとルラの大冒険~
さいとう みさき
ファンタジー
ここはとある異世界。
剣と魔法の世界で魔獣や魔物が跋扈する世界。
そんな世界のとあるエルフの村に異世界から転生してきた榛名愛結葉(はるなあゆは)と赤城拓人(あかぎたくと)の二人は毎日毎日エルフの村のまずい飯に悩まされていた。
しかしそこから女神の伴侶と言われるエルフのシェルが里帰りで事態は一転、愛結葉と拓人の転生者である双子の姉妹、リルとルラはひょんなことから転移で飛ばされ世界の旅へと出かける羽目になる。
未熟なエルフの姉妹がハチャメチャな冒険を繰り広げながら、おいしいものを食べたり探したり作ったりして故郷のエルフの村へ旅をするお話です。
まったりとゆるりとめちゃくちゃな冒険の旅をして行きましょう!
*いい加減なお話、ギャグ要素が強い作品となっておりますのであらかじめご了承ください。
*本作品に登場する食べ物は全て架空のモノです。マネして不味くても当方は責任を負いかねますのでご了承ください。
*本作品お料理以外のお話が多くなっておりますので予めご了承ください。
異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い
八神 凪
ファンタジー
旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い
【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】
高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。
満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。
彼女も居ないごく普通の男である。
そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。
繁華街へ繰り出す陸。
まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。
陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。
まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。
魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。
次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。
「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。
困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。
元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。
なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。
『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』
そう言い放つと城から追い出そうとする姫。
そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。
残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。
「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」
陸はしがないただのサラリーマン。
しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。
今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――
私が産まれる前に消えた父親が、隣国の皇帝陛下だなんて聞いてない
丙 あかり
ファンタジー
ハミルトン侯爵家のアリスはレノワール王国でも有数の優秀な魔法士で、王立学園卒業後には婚約者である王太子との結婚が決まっていた。
しかし、王立学園の卒業記念パーティーの日、アリスは王太子から婚約破棄を言い渡される。
王太子が寵愛する伯爵令嬢にアリスが嫌がらせをし、さらに魔法士としては禁忌である『魔法を使用した通貨偽造』という理由で。
身に覚えがないと言うアリスの言葉に王太子は耳を貸さず、国外追放を言い渡す。
翌日、アリスは実父を頼って隣国・グランディエ帝国へ出発。
パーティーでアリスを助けてくれた帝国の貴族・エリックも何故か同行することに。
祖父のハミルトン侯爵は爵位を返上して王都から姿を消した。
アリスを追い出せたと喜ぶ王太子だが、激怒した国王に吹っ飛ばされた。
「この馬鹿息子が!お前は帝国を敵にまわすつもりか!!」
一方、帝国で仰々しく迎えられて困惑するアリスは告げられるのだった。
「さあ、貴女のお父君ーー皇帝陛下のもとへお連れ致しますよ、お姫様」と。
******
週3日更新です。
転生したら死にゲーの世界だったので、最初に出会ったNPCに全力で縋ることにしました。
黒蜜きな粉
ファンタジー
『世界を救うために王を目指せ? そんなの絶対にお断りだ!』
ある日めざめたら大好きなゲームの世界にいた。
しかし、転生したのはアクションRPGの中でも、死にゲーと分類されるゲームの世界だった。
死にゲーと呼ばれるほどの過酷な世界で生活していくなんて無理すぎる!
目の前にいた見覚えのあるノンプレイヤーキャラクター(NPC)に必死で縋りついた。
「あなたと一緒に、この世界で平和に暮らしたい!」
死にたくない一心で放った言葉を、NPCはあっさりと受け入れてくれた。
ただし、一緒に暮らす条件として婚約者のふりをしろという。
婚約者のふりをするだけで殺伐とした世界で衣食住の保障がされるならかまわない。
死にゲーが恋愛シミュレーションゲームに変わっただけだ!
※第17回ファンタジー小説大賞にエントリー中です。
よろしければ投票をしていただけると嬉しいです。
感想、ハートもお待ちしております!
異世界へ全てを持っていく少年- 快適なモンスターハントのはずが、いつの間にか勇者に取り込まれそうな感じです。この先どうなるの?
初老の妄想
ファンタジー
17歳で死んだ俺は、神と名乗るものから「なんでも願いを一つかなえてやる」そして「望む世界に行かせてやる」と言われた。
俺の願いはシンプルだった『現世の全てを入れたストレージをくれ』、タダそれだけだ。
神は喜んで(?)俺の願いをかなえてくれた。
希望した世界は魔法があるモンスターだらけの異世界だ。
そう、俺の夢は銃でモンスターを狩ることだったから。
俺の旅は始まったところだが、この異世界には希望通り魔法とモンスターが溢れていた。
予定通り、バンバン撃ちまくっている・・・
だが、俺の希望とは違って勇者もいるらしい、それに魔竜というやつも・・・
いつの間にか、おれは魔竜退治と言うものに取り込まれているようだ。
神にそんな事を頼んだ覚えは無いが、勇者は要らないと言っていなかった俺のミスだろう。
それでも、一緒に居るちっこい美少女や、美人エルフとの旅は楽しくなって来ていた。
この先も何が起こるかはわからないのだが、楽しくやれそうな気もしている。
なんと言っても、おれはこの世の全てを持って来たのだからな。
きっと、楽しくなるだろう。
※異世界で物語が展開します。現世の常識は適用されません。
※残酷なシーンが普通に出てきます。
※魔法はありますが、主人公以外にスキル(?)は出てきません。
※ステータス画面とLvも出てきません。
※現代兵器なども妄想で書いていますのでスペックは想像です。
わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました
ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。
大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。
ー---
全5章、最終話まで執筆済み。
第1章 6歳の聖女
第2章 8歳の大聖女
第3章 12歳の公爵令嬢
第4章 15歳の辺境聖女
第5章 17歳の愛し子
権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。
おまけの後日談投稿します(6/26)。
番外編投稿します(12/30-1/1)。
作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる