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キス☆ソフトな性描写あり
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「もう寝たかしら…?」
暗くした寝室は、しんとしていて、掛布の盛り上がりに動きはない。
先にユーゴに身支度をさせ、眠気を誘う香を焚いた寝室に押し込めた上に、自分はいつも以上に時間を掛けて身支度を済ませたのだ。
もう眠っている筈。いや眠っていて欲しい。
それにしても、ユーゴと来たらいつの間にああいう強引なやり方を覚えたのだろう。
私も普通の男女の色恋について、多少は知っている。
誰にも心惹かれなかったとは言っていたが、ユーゴも年頃だし、王都で色んな経験をして手練手管を学んだのかもしれない。
そう思うと、何だか少しモヤモヤした。
とにかく、寝てしまおう。
ゆっくり掛布をめくって、そっと身体を滑らせる。
うう、狭い。
狭いから、触れ合ったところからユーゴの身体の熱が直接伝わって来て、何か緊張する。こっちに背を向けているのが幸いだった。
少し様子を伺っていたけれど、完全に眠っているようで規則正しい寝息が聞こえて、ホッとした。
久しぶりに人の体温を感じながら眠るのは、不思議な気持ちだ。
あんなに小さかったのに、大きくなって…それに、王都の学校に追いやってからは一方的に拒絶してしまったのに、また私に好意的に接してくれたのは、本当は少し嬉しかった。
だが、私はこの国にとって異分子だ。
国からの依頼に協力する代わりに自由を認めさせているものの、畏怖され忌避される存在であり、そんな私と共に生きるというのは重荷を背負いこむようなものだ。
血縁で縛られている訳でもなく、たまたま拾って気まぐれに育てただけの子供に、そんな重荷を押し付けるつもりはない。
恩など、これまで一緒にいてくれた事でとっくに返してもらっている。
ユーゴはユーゴ自身の幸せだけを考えてくれればいい…
小さくて可愛かった頃の事を思い出している内にだんだん眠くなって、ウトウトし始めた時だった。
ぎしっ
ベッドが軋んでユーゴが寝返りを打ったかと思うと、後ろから私をぎゅうっと抱き締めて来たではないか。
ぎょっとして後ろを振り返ると、ユーゴは目を瞑ったままだ。
寝ぼけているのか、フリをしているのかよく分からない。
振り払うのは過剰反応しているようで躊躇われて、息を詰めてじっとしていたら、お腹に回されていた腕が徐々に上に上がって来た。
「ちょ、ちょっと…何してるの?は、離しなさい」
腕を振りほどこうとしたが、びくともしない。
とうとう、大きくはないけれど一応ある胸にまで手が回されて、焦って身動ぎしたら、ユーゴは「うーん…シャル~離れたくないよ~…」なんて言いながらますます全身を密着させて来る。
熱くて大きな男の体に、こんな風に包まれるのは初めてだ。
相手がユーゴだと分かっているのに、心臓が早鐘のように鳴った。
「こ、こら!本当は寝ぼけたフリしてるんでしょ!いい加減離れなさっ…」
慌てて振りほどこうとしたが、夜着の隙間から入って来たユーゴの手が素肌に触れて、ビクッと体が跳ねる。
「…んッ!」
思わず妙な声が出てしまって口を押えると、明確な意思を持って、ユーゴの手がお腹や、胸の辺りを這い回った。
これは確信犯だ。絶対に起きている。
「なっ、何する気なの!?そんな所触らないで…あっ、んんっ」
勝手に変な声が出て身体がビクビクしてしまう。
不味い。
大きくて熱い手で直に肌を触られるのが、こんなにぞくぞくするものだと思わなかった。
「ごめんシャルナ…やっぱり俺、我慢出来ない。大好きなシャルナとこんな近くにいたら、触りたいし一つになりたくてたまらないよ…すごく可愛い、愛してる」
急に耳元で囁かれ、心臓が飛び上がる。
「っ馬鹿!やっぱり、寝ぼけたフリしてたんじゃない、もう駄目っ、触らないで」
「ごめん無理」
「んっ」
いつの間にか私に覆い被さるような態勢になっていたユーゴの唇が、私の唇に触れる。
小さな頃にしていた親愛のキスとは全然違った。貪るように情熱的に何度も唇を食まれ、息が苦しくて少し口を開けた隙に、熱い舌が入って来る。
「ん、んんっ!?」
「好き…シャルナ」
何なのだ、これは。
ユーゴの舌がまるで別の生き物みたいに、慄いて引っ込もうとする私の舌を捕らえ、ぬるぬると絡みつく。
酸欠と初めての感覚に頭がぼうっとして来た。
だけど、下腹部に何か熱くて固いものを押し当てられ、ユーゴの手が私の裸の胸をゆっくり揉みしだこうとした時、我に返った私は慌てて『眠り』の魔法を行使した。
「!?」
子供の頃から一緒に暮らし、私の作ったものを食べ、私の魔力を常に浴びていたユーゴの魔力耐性は高い。
咄嗟にユーゴは抵抗して離れようとしたが、そうはさせない。私はユーゴの首に手を回して逃げられないようにしてやった。
「…!シャル…」
効果はてきめんで、驚いたユーゴの抵抗力が一瞬途切れた隙に魔法は浸透して、ユーゴの力は抜けて行った。
「お、重い…」
ずしりと圧し掛かる大きな体から、やっとの思いで抜け出す。
糸の切れた人形みたいにぐったりと眠るユーゴに目をやって、私は息をついた。
「もう…本当に、いつの間にそんなにいやらしくなっちゃったのよ…!」
私をまさぐる熱い手と、激しいキスの感触が生々しく甦って、胸のドキドキが収まらない。
今ので子が出来てしまったらどうしよう。
ユーゴを傷付けず巧く躱す方法など、見当も付かない。
こんな事なら、もっと恋だの愛だのの経験を積んでおくべきだったのか。
頭を抱えた私は、とりあえず問題を先送りにして眠る事にした。
☆☆☆
ふ、と意識が浮上すると、誰かが私の髪に触れていた。愛おしそうな優しい触れ方に、気持ちいいようなむず痒いようなふわふわした心地でいると、温かくて柔らかいものが頬に触れる。
ハッとして目を開けると、ユーゴが私の頬にキスしていた。
「おはよう、シャルナ。今日も可愛いね。この黒い髪も赤い瞳も本当に綺麗だよ」
うっとりと微笑んでぎゅっと私を抱き締めるユーゴを、慌てて押し返す。
「だ、だめ!そんな事したら『出来ちゃう』でしょ、私は魔導の探求が生きがいなの、結婚とか子供を生むとか、そういう事するつもりなんて、ないんだから!」
必死に言い募る私を、ユーゴはきょとんとした顔で見つめている。
「え?何が出来るの?」
まさか、知らないのだろうか。
「な、何って、子供に決まってるでしょ。その、年頃の男女が同衾して、キスして、色々触れ合ったら…子供が出来るらしいじゃない。何がどうなってそうなるのか、私も詳しくは知らないけど」
気恥ずかしいけど頑張ってそう言ったのに、ユーゴは一拍置いて爆笑した。
「あっはははは!!シャルナってば、可愛すぎるよ!!そんな事で子供が出来ると思ってたの!?やっぱり、相変わらず魔法以外の事には興味ないんだなあ」
「違うの?」
驚いて聞き返すと、ユーゴは悪戯っぽく笑った。
「俺が実践で教えてあげる」
キスして来ようとするユーゴを、ムッとして止める。
何なのだ。その上から目線の余裕は。
「要らないわ。結婚も子供を生む事もしないって言ってるでしょ。それより、昨夜のは何なの!?あんな事するならもう一緒には寝ないわよ」
ぴしゃりと言ってやったら、ユーゴは傷付いた目で私を見つめた。
「ええ~…そんなあ酷いよ。『眠り』の魔法で強制的に眠らせるし…あれは親子のスキンシップだよ。久しぶりにシャルに甘えたかっただけなのに」
「いくら私でもあれが、そういうのとは違うって事くらい分かるわよ!いい?もう今度から一緒のベッドで寝るのは無し。じゃなきゃ、家には入れないわよ」
そう言うと、ユーゴは「分かったよ…」と渋々頷き、ベッドから起き上がった。
「あーあ…ずっと一緒に居たいけど、俺も急いで騎士団に帰らなきゃ」
手早く騎士服に着替えながら「ああ、でも」と、私を振り返る。
「これでシャルナが正真正銘、他の誰ともそういう事してない、って分かったね。ああ、良かった。シャルナが誰かのものになってないって、すごく嬉しいよ」
にこにこと訳の分からない事を言う。
「じゃあね、シャルナ。また会いに来るよ」
ちゅ、と髪にキスして手を振り、馬に乗って走り去るユーゴを見送って、私は溜め息を付いた。
これからもああいう攻防が続くのかと思うと、気が重い。
「どうにか諦めてくれないかしら…」
だがこれと言ったいい考えも浮かばず、とりあえず私は朝食を摂ろうと家に戻った。
暗くした寝室は、しんとしていて、掛布の盛り上がりに動きはない。
先にユーゴに身支度をさせ、眠気を誘う香を焚いた寝室に押し込めた上に、自分はいつも以上に時間を掛けて身支度を済ませたのだ。
もう眠っている筈。いや眠っていて欲しい。
それにしても、ユーゴと来たらいつの間にああいう強引なやり方を覚えたのだろう。
私も普通の男女の色恋について、多少は知っている。
誰にも心惹かれなかったとは言っていたが、ユーゴも年頃だし、王都で色んな経験をして手練手管を学んだのかもしれない。
そう思うと、何だか少しモヤモヤした。
とにかく、寝てしまおう。
ゆっくり掛布をめくって、そっと身体を滑らせる。
うう、狭い。
狭いから、触れ合ったところからユーゴの身体の熱が直接伝わって来て、何か緊張する。こっちに背を向けているのが幸いだった。
少し様子を伺っていたけれど、完全に眠っているようで規則正しい寝息が聞こえて、ホッとした。
久しぶりに人の体温を感じながら眠るのは、不思議な気持ちだ。
あんなに小さかったのに、大きくなって…それに、王都の学校に追いやってからは一方的に拒絶してしまったのに、また私に好意的に接してくれたのは、本当は少し嬉しかった。
だが、私はこの国にとって異分子だ。
国からの依頼に協力する代わりに自由を認めさせているものの、畏怖され忌避される存在であり、そんな私と共に生きるというのは重荷を背負いこむようなものだ。
血縁で縛られている訳でもなく、たまたま拾って気まぐれに育てただけの子供に、そんな重荷を押し付けるつもりはない。
恩など、これまで一緒にいてくれた事でとっくに返してもらっている。
ユーゴはユーゴ自身の幸せだけを考えてくれればいい…
小さくて可愛かった頃の事を思い出している内にだんだん眠くなって、ウトウトし始めた時だった。
ぎしっ
ベッドが軋んでユーゴが寝返りを打ったかと思うと、後ろから私をぎゅうっと抱き締めて来たではないか。
ぎょっとして後ろを振り返ると、ユーゴは目を瞑ったままだ。
寝ぼけているのか、フリをしているのかよく分からない。
振り払うのは過剰反応しているようで躊躇われて、息を詰めてじっとしていたら、お腹に回されていた腕が徐々に上に上がって来た。
「ちょ、ちょっと…何してるの?は、離しなさい」
腕を振りほどこうとしたが、びくともしない。
とうとう、大きくはないけれど一応ある胸にまで手が回されて、焦って身動ぎしたら、ユーゴは「うーん…シャル~離れたくないよ~…」なんて言いながらますます全身を密着させて来る。
熱くて大きな男の体に、こんな風に包まれるのは初めてだ。
相手がユーゴだと分かっているのに、心臓が早鐘のように鳴った。
「こ、こら!本当は寝ぼけたフリしてるんでしょ!いい加減離れなさっ…」
慌てて振りほどこうとしたが、夜着の隙間から入って来たユーゴの手が素肌に触れて、ビクッと体が跳ねる。
「…んッ!」
思わず妙な声が出てしまって口を押えると、明確な意思を持って、ユーゴの手がお腹や、胸の辺りを這い回った。
これは確信犯だ。絶対に起きている。
「なっ、何する気なの!?そんな所触らないで…あっ、んんっ」
勝手に変な声が出て身体がビクビクしてしまう。
不味い。
大きくて熱い手で直に肌を触られるのが、こんなにぞくぞくするものだと思わなかった。
「ごめんシャルナ…やっぱり俺、我慢出来ない。大好きなシャルナとこんな近くにいたら、触りたいし一つになりたくてたまらないよ…すごく可愛い、愛してる」
急に耳元で囁かれ、心臓が飛び上がる。
「っ馬鹿!やっぱり、寝ぼけたフリしてたんじゃない、もう駄目っ、触らないで」
「ごめん無理」
「んっ」
いつの間にか私に覆い被さるような態勢になっていたユーゴの唇が、私の唇に触れる。
小さな頃にしていた親愛のキスとは全然違った。貪るように情熱的に何度も唇を食まれ、息が苦しくて少し口を開けた隙に、熱い舌が入って来る。
「ん、んんっ!?」
「好き…シャルナ」
何なのだ、これは。
ユーゴの舌がまるで別の生き物みたいに、慄いて引っ込もうとする私の舌を捕らえ、ぬるぬると絡みつく。
酸欠と初めての感覚に頭がぼうっとして来た。
だけど、下腹部に何か熱くて固いものを押し当てられ、ユーゴの手が私の裸の胸をゆっくり揉みしだこうとした時、我に返った私は慌てて『眠り』の魔法を行使した。
「!?」
子供の頃から一緒に暮らし、私の作ったものを食べ、私の魔力を常に浴びていたユーゴの魔力耐性は高い。
咄嗟にユーゴは抵抗して離れようとしたが、そうはさせない。私はユーゴの首に手を回して逃げられないようにしてやった。
「…!シャル…」
効果はてきめんで、驚いたユーゴの抵抗力が一瞬途切れた隙に魔法は浸透して、ユーゴの力は抜けて行った。
「お、重い…」
ずしりと圧し掛かる大きな体から、やっとの思いで抜け出す。
糸の切れた人形みたいにぐったりと眠るユーゴに目をやって、私は息をついた。
「もう…本当に、いつの間にそんなにいやらしくなっちゃったのよ…!」
私をまさぐる熱い手と、激しいキスの感触が生々しく甦って、胸のドキドキが収まらない。
今ので子が出来てしまったらどうしよう。
ユーゴを傷付けず巧く躱す方法など、見当も付かない。
こんな事なら、もっと恋だの愛だのの経験を積んでおくべきだったのか。
頭を抱えた私は、とりあえず問題を先送りにして眠る事にした。
☆☆☆
ふ、と意識が浮上すると、誰かが私の髪に触れていた。愛おしそうな優しい触れ方に、気持ちいいようなむず痒いようなふわふわした心地でいると、温かくて柔らかいものが頬に触れる。
ハッとして目を開けると、ユーゴが私の頬にキスしていた。
「おはよう、シャルナ。今日も可愛いね。この黒い髪も赤い瞳も本当に綺麗だよ」
うっとりと微笑んでぎゅっと私を抱き締めるユーゴを、慌てて押し返す。
「だ、だめ!そんな事したら『出来ちゃう』でしょ、私は魔導の探求が生きがいなの、結婚とか子供を生むとか、そういう事するつもりなんて、ないんだから!」
必死に言い募る私を、ユーゴはきょとんとした顔で見つめている。
「え?何が出来るの?」
まさか、知らないのだろうか。
「な、何って、子供に決まってるでしょ。その、年頃の男女が同衾して、キスして、色々触れ合ったら…子供が出来るらしいじゃない。何がどうなってそうなるのか、私も詳しくは知らないけど」
気恥ずかしいけど頑張ってそう言ったのに、ユーゴは一拍置いて爆笑した。
「あっはははは!!シャルナってば、可愛すぎるよ!!そんな事で子供が出来ると思ってたの!?やっぱり、相変わらず魔法以外の事には興味ないんだなあ」
「違うの?」
驚いて聞き返すと、ユーゴは悪戯っぽく笑った。
「俺が実践で教えてあげる」
キスして来ようとするユーゴを、ムッとして止める。
何なのだ。その上から目線の余裕は。
「要らないわ。結婚も子供を生む事もしないって言ってるでしょ。それより、昨夜のは何なの!?あんな事するならもう一緒には寝ないわよ」
ぴしゃりと言ってやったら、ユーゴは傷付いた目で私を見つめた。
「ええ~…そんなあ酷いよ。『眠り』の魔法で強制的に眠らせるし…あれは親子のスキンシップだよ。久しぶりにシャルに甘えたかっただけなのに」
「いくら私でもあれが、そういうのとは違うって事くらい分かるわよ!いい?もう今度から一緒のベッドで寝るのは無し。じゃなきゃ、家には入れないわよ」
そう言うと、ユーゴは「分かったよ…」と渋々頷き、ベッドから起き上がった。
「あーあ…ずっと一緒に居たいけど、俺も急いで騎士団に帰らなきゃ」
手早く騎士服に着替えながら「ああ、でも」と、私を振り返る。
「これでシャルナが正真正銘、他の誰ともそういう事してない、って分かったね。ああ、良かった。シャルナが誰かのものになってないって、すごく嬉しいよ」
にこにこと訳の分からない事を言う。
「じゃあね、シャルナ。また会いに来るよ」
ちゅ、と髪にキスして手を振り、馬に乗って走り去るユーゴを見送って、私は溜め息を付いた。
これからもああいう攻防が続くのかと思うと、気が重い。
「どうにか諦めてくれないかしら…」
だがこれと言ったいい考えも浮かばず、とりあえず私は朝食を摂ろうと家に戻った。
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