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第6話・〇〇しないと出られない部屋レベル2
急速におかしくなっていく空気
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その後。ユエルは私にも『浄化』をかけてくれた。お互いにサッパリしたところで
「ゴメンね、私だけいかせてもらって。最後までしてあげられなくて」
本当は魔法で抑え込むのではなく、普通に発散できたほうが良かっただろうと謝る。しかし私の謝罪に、ユエルは不思議そうに首を傾げて
「さっきも言っていましたけど、行くとか行かせるとかなんの話ですか? マスターはずっと、ここに居たのに」
前回は回避した天然返しを、ここで食らってしまった。『達する』ということが分からないらしいユエルに、どうにかこうにか説明すると
「あっ、射精に似た感覚をイクって言うんですね……」
ユエルは恥ずかしそうに呟くと
「じゃあ、マスターはさっき僕に触られて、射精するくらい気持ち良かったんですか?」
「き、聞かないで欲しい……」
とんでもない質問をするユエルに、震えながら返すと
「す、すみません。マスターを辱めるつもりじゃなくて。恥ずかしいだけじゃ申し訳ないから、せめて気持ち良かったらいいなと」
「……気持ちはいいけど、変になっちゃうから恥ずかしい」
さっきの醜態を思い出して赤くなる私に、ユエルは言葉を選びながら
「慰めにはならないかもしれませんが、ああいう時のマスターはとても女性らしくて可愛いので、恥ずかしがらなくていいと思います」
「そ、それが恥ずかしいんだよ?」
「そ、そうですか。すみません」
私の羞恥が伝染したのか、ユエルも赤くなった。今度こそ気を取り直すと
「でも今後はどうしますか? またここに来ることは避けたいですけど」
「前にも言ったけど、特殊部屋自体を避けると、エリアボスと宝箱を取り逃がすことになるからね。特に最強装備を作るための素材は、宝箱にしか入っていないし」
このゲームの最強装備は既製品ではなく、素材を集めて鍛冶屋で作ってもらう。キャラごとに、それぞれの武器と防具が存在する。普通のゲームなら最強装備を取り逃がしても、次点の高性能装備でも事足りる場合が多い。
けれど魔王戦で使えるような高性能の装備は、それこそ特殊部屋の宝箱にしか入っていない。ゲームとしてプレイしていた時は
『特殊部屋さえ押さえておけば、ダンジョンをしらみつぶしに探さなくても、重要なアイテムを取り逃がさなくて済むから楽だなぁ』
と思っていたポイントが、生身の私たちを苦しめる。
加えてエリアボスを避けて、通常戦闘だけで経験値を稼ぐのは難しい。要するに特殊部屋を避けると、レベルと装備の両面で大きなハンデを負う。ゲームならともかく絶対に失敗が許されない魔王の再封印に、ギリギリの戦力で挑むことは避けたい。
そう考えた私は
「今回はボタンの表示が間違っていたみたいだけど、こういうのはあくまでバグで、しょっちゅうあることじゃないと信じて、これからも続けるってことでいい?」
「僕は構いませんが、マスターは大丈夫なんですか? もしまたあんな過激な触れ合いを強制されたら」
正直、大丈夫では無い。たださんざん検討したとおり、特殊部屋を避ける損失を考えたら、実は回避できない問題だった。
魔王の再封印が失敗すれば、たくさんの人が命を落とす。でも私は何より、この子を死なせたくない。
幸いユエルが心配しているのは、自分よりも私の気持ちのようだ。だったら下手に躊躇して、心配をかけないようにしようと
「他の人だったら嫌だけど、ユエルならいいよ。君になら何をされても、恥ずかしいだけで嫌ではないから」
微笑みながら言ったのが悪かったのか、ユエルは少し動揺しながら
「あの、マスター、その言い方は……」
「ゴメン。変な意味じゃないんだけど……こうしていちいち狼狽えてしまうのは癖みたいなもので、君をどうこうしようというわけじゃないから気にしないで欲しい」
狙っているように聞こえたのかなと、特別な好意を否定すると
「そ、そうですよね。僕なんてマスターからすれば子どもでしょうし、そういう対象にはなりませんよね」
やや早口なユエルの返事。念を押されているのかなと
「うん。流石に12も年下の子と付き合うとかは無いから大丈夫」
「……ですよね」
安心させるつもりが、なぜかユエルは沈んだ声を出した。しかしすぐに気持ちを切り替えると
「マスターが大丈夫なら、これからも特殊部屋を利用していいですか? わざとお題部屋を選ぶことはしませんし、もしまたここに来ても必要以上には触らないようにしますから」
「う、うん。じゃあ、そうしよう」
お題部屋のお題は、キャラのモラルや発情度に応じて変化するそうだ。ユエルは慎み深いキャラだし、一回りも年上の女に敬愛以上の感情を抱くはずがない。だから、これ以上は悪化しないだろう。しないよね? しないといいけど……とフリのようなことを思った。
「ゴメンね、私だけいかせてもらって。最後までしてあげられなくて」
本当は魔法で抑え込むのではなく、普通に発散できたほうが良かっただろうと謝る。しかし私の謝罪に、ユエルは不思議そうに首を傾げて
「さっきも言っていましたけど、行くとか行かせるとかなんの話ですか? マスターはずっと、ここに居たのに」
前回は回避した天然返しを、ここで食らってしまった。『達する』ということが分からないらしいユエルに、どうにかこうにか説明すると
「あっ、射精に似た感覚をイクって言うんですね……」
ユエルは恥ずかしそうに呟くと
「じゃあ、マスターはさっき僕に触られて、射精するくらい気持ち良かったんですか?」
「き、聞かないで欲しい……」
とんでもない質問をするユエルに、震えながら返すと
「す、すみません。マスターを辱めるつもりじゃなくて。恥ずかしいだけじゃ申し訳ないから、せめて気持ち良かったらいいなと」
「……気持ちはいいけど、変になっちゃうから恥ずかしい」
さっきの醜態を思い出して赤くなる私に、ユエルは言葉を選びながら
「慰めにはならないかもしれませんが、ああいう時のマスターはとても女性らしくて可愛いので、恥ずかしがらなくていいと思います」
「そ、それが恥ずかしいんだよ?」
「そ、そうですか。すみません」
私の羞恥が伝染したのか、ユエルも赤くなった。今度こそ気を取り直すと
「でも今後はどうしますか? またここに来ることは避けたいですけど」
「前にも言ったけど、特殊部屋自体を避けると、エリアボスと宝箱を取り逃がすことになるからね。特に最強装備を作るための素材は、宝箱にしか入っていないし」
このゲームの最強装備は既製品ではなく、素材を集めて鍛冶屋で作ってもらう。キャラごとに、それぞれの武器と防具が存在する。普通のゲームなら最強装備を取り逃がしても、次点の高性能装備でも事足りる場合が多い。
けれど魔王戦で使えるような高性能の装備は、それこそ特殊部屋の宝箱にしか入っていない。ゲームとしてプレイしていた時は
『特殊部屋さえ押さえておけば、ダンジョンをしらみつぶしに探さなくても、重要なアイテムを取り逃がさなくて済むから楽だなぁ』
と思っていたポイントが、生身の私たちを苦しめる。
加えてエリアボスを避けて、通常戦闘だけで経験値を稼ぐのは難しい。要するに特殊部屋を避けると、レベルと装備の両面で大きなハンデを負う。ゲームならともかく絶対に失敗が許されない魔王の再封印に、ギリギリの戦力で挑むことは避けたい。
そう考えた私は
「今回はボタンの表示が間違っていたみたいだけど、こういうのはあくまでバグで、しょっちゅうあることじゃないと信じて、これからも続けるってことでいい?」
「僕は構いませんが、マスターは大丈夫なんですか? もしまたあんな過激な触れ合いを強制されたら」
正直、大丈夫では無い。たださんざん検討したとおり、特殊部屋を避ける損失を考えたら、実は回避できない問題だった。
魔王の再封印が失敗すれば、たくさんの人が命を落とす。でも私は何より、この子を死なせたくない。
幸いユエルが心配しているのは、自分よりも私の気持ちのようだ。だったら下手に躊躇して、心配をかけないようにしようと
「他の人だったら嫌だけど、ユエルならいいよ。君になら何をされても、恥ずかしいだけで嫌ではないから」
微笑みながら言ったのが悪かったのか、ユエルは少し動揺しながら
「あの、マスター、その言い方は……」
「ゴメン。変な意味じゃないんだけど……こうしていちいち狼狽えてしまうのは癖みたいなもので、君をどうこうしようというわけじゃないから気にしないで欲しい」
狙っているように聞こえたのかなと、特別な好意を否定すると
「そ、そうですよね。僕なんてマスターからすれば子どもでしょうし、そういう対象にはなりませんよね」
やや早口なユエルの返事。念を押されているのかなと
「うん。流石に12も年下の子と付き合うとかは無いから大丈夫」
「……ですよね」
安心させるつもりが、なぜかユエルは沈んだ声を出した。しかしすぐに気持ちを切り替えると
「マスターが大丈夫なら、これからも特殊部屋を利用していいですか? わざとお題部屋を選ぶことはしませんし、もしまたここに来ても必要以上には触らないようにしますから」
「う、うん。じゃあ、そうしよう」
お題部屋のお題は、キャラのモラルや発情度に応じて変化するそうだ。ユエルは慎み深いキャラだし、一回りも年上の女に敬愛以上の感情を抱くはずがない。だから、これ以上は悪化しないだろう。しないよね? しないといいけど……とフリのようなことを思った。
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