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第十話・私が思っていたクリスマスデートとちがう
ここは絶対に譲れないと思った(誠慈視点)
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うちは一般家庭なので家族旅行ならともかく、子どもだけでこんなグレードの高いホテルに入ったことはない。
ちょっと場違いかなと緊張しつつ、萌乃の手を引いてビュッフェ会場に向かう。
最初は萌乃も楽しむよりオドオドしていたけど、苺にチョコにチーズにキャラメル。他にも色とりどりの果実など、様々な種類のスイーツがたくさん並んでいるのを見ると
「ケーキ、いっぱいで綺麗」
圧倒されたように呟くと、俺を見上げて
「これ全部好きなだけ食べていいの? すごいね。夢みたいだね」
はしゃいでいる萌乃って、すごく新鮮だ。目をキラキラさせて頬を紅潮させて、とてつもなく可愛い。やっと外でデートできて嬉しいし、彼女も喜んでくれてすごく可愛くて、俺のほうが夢みたいだ。
萌乃はケーキを、俺はパンやパスタを選んでテーブルに着く。でも俺は料理を食べるよりも、ケーキを食べる萌乃に目を奪われていた。
萌乃が食べている姿、いつも可愛いけど、今日は一段と可愛い。萌乃がオシャレしているのもあるけど、可愛い子がケーキやマカロンなど可愛いものに囲まれていると、可愛いの相乗効果でより可愛くなるんだとはじめて気づいた。
そしてこれも萌乃に出会ってはじめて知ったことだけど、可愛いものってすごく撮りたくなる。決して日常のワンシーンとして、過ぎ去らせてはいけない光景だと
「ゴメン、萌乃。食べているところを、動画で撮ってもいい?」
俺に許可を求められた萌乃はキョトンと首を傾げて
「写真じゃなくて?」
「ケーキと萌乃の組み合わせがすごく可愛くて、いつも以上に食べているところが可愛いから、これは絶対に撮らなきゃって。写真じゃ間に合わないから動画で撮りたい」
こうしている間にも貴重な一瞬を取り逃がしていると思うと、一刻も早く撮影を開始したくて、交渉にも思わず熱が入ったが
「えっ、ダメ?」
予想外に拒否されて戸惑う。確かに写真は苦手だと言っていたけど、俺にはなんだかんだ撮らせてくれていたのに。
「動画と言っても俺が見るだけで、他の人には見せないよ?」
もしかして勝手にSNSにあげたり、友だちに見せたりすると思われているのかなと訂正するも、萌乃は恥ずかしそうに「……だって」と目を伏せて
「たくさん食べているところ、誠慈君に何度も見られるの恥ずかしい……」
珍しく乙女な発言にキュンとした。知っていたつもりだけど、女の子なんだなとドキドキした。
「それにせっかくスイーツビュッフェに来たんだから、誠慈君にも一緒に食べて欲しい」
確かに萌乃を見るのに夢中で、料理を食べるのを忘れていた。
「そうだよね。2人で来たんだから一緒に食べたいよね……」
しかし頭では納得したものの
「でも、ずっとは撮らないから5分だけダメかな?」
ケーキに囲まれて幸せそうな萌乃があまりに可愛くて、簡単には諦められなかった。でも萌乃から返事が無いので、呆れられたのかと
「ゴメン。しつこくて」
沈黙を恐れて自分から謝るも、萌乃は「ううん」と首を振って
「誠慈君が私を撮りたいと思うの、恥ずかしいけど嬉しいからいいよ」
言葉どおり照れながら言うと、ちょっとだけならと撮影を許可してくれた。
「あ、ありがとう!」
写真はこれまでに何度か撮ったけど、動画を撮らせてもらうのははじめてだ。萌乃が食べている姿、前から可愛いと思っていたから、やっと撮れて嬉しい。今日はすごくいい日だ。バイトをがんばって良かったなと早くも満足した。
ちょっと場違いかなと緊張しつつ、萌乃の手を引いてビュッフェ会場に向かう。
最初は萌乃も楽しむよりオドオドしていたけど、苺にチョコにチーズにキャラメル。他にも色とりどりの果実など、様々な種類のスイーツがたくさん並んでいるのを見ると
「ケーキ、いっぱいで綺麗」
圧倒されたように呟くと、俺を見上げて
「これ全部好きなだけ食べていいの? すごいね。夢みたいだね」
はしゃいでいる萌乃って、すごく新鮮だ。目をキラキラさせて頬を紅潮させて、とてつもなく可愛い。やっと外でデートできて嬉しいし、彼女も喜んでくれてすごく可愛くて、俺のほうが夢みたいだ。
萌乃はケーキを、俺はパンやパスタを選んでテーブルに着く。でも俺は料理を食べるよりも、ケーキを食べる萌乃に目を奪われていた。
萌乃が食べている姿、いつも可愛いけど、今日は一段と可愛い。萌乃がオシャレしているのもあるけど、可愛い子がケーキやマカロンなど可愛いものに囲まれていると、可愛いの相乗効果でより可愛くなるんだとはじめて気づいた。
そしてこれも萌乃に出会ってはじめて知ったことだけど、可愛いものってすごく撮りたくなる。決して日常のワンシーンとして、過ぎ去らせてはいけない光景だと
「ゴメン、萌乃。食べているところを、動画で撮ってもいい?」
俺に許可を求められた萌乃はキョトンと首を傾げて
「写真じゃなくて?」
「ケーキと萌乃の組み合わせがすごく可愛くて、いつも以上に食べているところが可愛いから、これは絶対に撮らなきゃって。写真じゃ間に合わないから動画で撮りたい」
こうしている間にも貴重な一瞬を取り逃がしていると思うと、一刻も早く撮影を開始したくて、交渉にも思わず熱が入ったが
「えっ、ダメ?」
予想外に拒否されて戸惑う。確かに写真は苦手だと言っていたけど、俺にはなんだかんだ撮らせてくれていたのに。
「動画と言っても俺が見るだけで、他の人には見せないよ?」
もしかして勝手にSNSにあげたり、友だちに見せたりすると思われているのかなと訂正するも、萌乃は恥ずかしそうに「……だって」と目を伏せて
「たくさん食べているところ、誠慈君に何度も見られるの恥ずかしい……」
珍しく乙女な発言にキュンとした。知っていたつもりだけど、女の子なんだなとドキドキした。
「それにせっかくスイーツビュッフェに来たんだから、誠慈君にも一緒に食べて欲しい」
確かに萌乃を見るのに夢中で、料理を食べるのを忘れていた。
「そうだよね。2人で来たんだから一緒に食べたいよね……」
しかし頭では納得したものの
「でも、ずっとは撮らないから5分だけダメかな?」
ケーキに囲まれて幸せそうな萌乃があまりに可愛くて、簡単には諦められなかった。でも萌乃から返事が無いので、呆れられたのかと
「ゴメン。しつこくて」
沈黙を恐れて自分から謝るも、萌乃は「ううん」と首を振って
「誠慈君が私を撮りたいと思うの、恥ずかしいけど嬉しいからいいよ」
言葉どおり照れながら言うと、ちょっとだけならと撮影を許可してくれた。
「あ、ありがとう!」
写真はこれまでに何度か撮ったけど、動画を撮らせてもらうのははじめてだ。萌乃が食べている姿、前から可愛いと思っていたから、やっと撮れて嬉しい。今日はすごくいい日だ。バイトをがんばって良かったなと早くも満足した。
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