恋人は’77年型

深町珠

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take out of the bage

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「転送先を設定してないの」

と、わたしは聞く。彼は

「いや、装置はまだ試験中なんだ。通信するように転送物質を急加速させ、光の速度を超えると、次元を超越して消失するのさ。行く先は別の次元だから、まだ転送先まで指定できない」

そうなんだ、とわたしは納得した。
他の次元で似たような装置があれば、この3次元に悪意ばかりが転送される事もあるんだし、今わたしが転送したものも、どこか別の場所に落下しているかもしれないんだ。

ひょっとすると、原発が爆発したのも
どこかから落下した悪意がそれを行ったのかもしれないな。

わたしは、そんなふうにも思った。

自分が住んでいる国を汚染するような操作って、おかしいもの。

「推理は面白いけど、立証は難しいね」フェルディナントは、さらりと答え、でも装置を使ったなら、時空間を飛び越えた形跡が付近に残るはず、とも答えた。


それなら....
送られて来た時空間へと逆転させてしまえば。
4次元なら、時間を超越出来るのだから、過去へ戻れるかもしれない。

無謀な推測を、わたしは考えた。
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