恋人は’77年型

深町珠

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don't say no

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静かな湖畔で頂くランチは、とてもおいしかった。
自分で作ったものだとしても、それは(笑)

「あなたと一緒に食べられないのは残念だけど」と
わたしはラジオの向こうのフェルディナントに話す。


「なぜ?」と、フェルディナントは不思議そうに。


「なぜって聞かれてもこまるけど、あなたに
食べさせてあげたい、楽しんで欲しいってそう思うの。」


わたしは本心を語った。

沈黙の後、フェルディナントは言う
「僕は、そちらの世界には行けないのさ。だから
僕が、君を想っていてもそれは無理なことさ」


そんなふうに言われたこと、なかったので
わたしは驚き、なぜか落涙した。

うれしかったのか、驚いたのか
感動したのかわからなかった。


フェルディナントは、驚いたように
「ごめん、僕は本当に悪い事を言ってしまった」


わたしは、涙を拭きながら「ううん、そんなことない。
もうわたし、あなたのその言葉だけで十分...」傍らの
レーザービーム・ポインタに気づく。


これで、もしかしたらフェルディナントの世界に行けるかも...

ポインタを自分に向け、銃爪に指を掛ける。

フェルディナントは、初めて声に動揺を見せ
「何をするんだ!どうなるか分からないぞ!」


わたしは、青空を仰ぎながら。
何故か、落涙し....


「ううん、わたし。はじめて。誰かに大切に想われたの。
もう、放射能にまみれた歪んだこの世界に未練はないの。あなたの世界に行けないなら、死んでもいい」


わたしは、銃爪を引く。
ラジオの向こうで、フェルディナントが何か叫んでいたが
もう聞こえなかった。
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