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My sweet summer suite

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その時、歩きながら遠ざかる
4人の背中に、聞こえたのは
軽やかな、スティールドラムのメロディーだった。

南の海みたいに、軽快なメロディー。


リサは、早速そのメロディーをマネた。



あはは、上手上手、なんて
れーみぃは楽しそうにしている。

4小節で、伸びやかにアルトサックスが
メロウで、柔らかい音で
リードを取った。



「あ、この曲!」と、Naomiは
珍しく、子供みたいに笑って


リードのメロディーを取った。



「良く知ってる」と、めぐは
ベースのメロディーを半音階で下がりながら。
クリシェ。


「うん、おじいちゃんが好きだったの。
spyro-gyra」って、Naomiが言うと



「なんか、生物学の授業で習ったみたいな」と
リサ(笑)。




マリンバの軽やかなソロになったので
れーみぃは、一生懸命にコピーしてるけど
追いつかない。



JAZZみたいな、ポップみたいな
不思議な音楽。





「いいね、こういうのも」なんて

16小節ごとにリードを換えて。


乗務員宿泊所に着く頃には、レコードの音はもう聞こえなかった。



やっぱり、本物のサックスで吹きたいな、なんてNaomiはふと、そんな事を思う。



めぐたちは気づかないけれど、聞いていた
アメリカンのJAZZや、FUSIONも

その頃のアメリカンが、その音楽を
楽しんでいたから、今残っている。


そういう事で、そんな音楽が
アメリカンの気持ちを楽しくしていた、そういう事。








「さ、仕事仕事」と、リサは
乗務員宿泊所のロッカールームから、自分の荷物を取り出す。



「あれ?ロッカールームなんてあったんだ」と、れーみぃは、きょとん(笑)。





「あったんよ」と、Naomiが言うと




「そっかー。あたし、部屋に置いたまんまだ」れーみぃは、のどかなお嬢さん。


みんな、楽しそうに笑う。


国鉄に泥棒はいない。(笑)から、大丈夫だけど。




でも、ひとは知らないうちに
誰かのためになっている、なんて事もある。

めぐが、魔法使いコンパイラ(笑)として
アメリカンたちの役にたってしまったように。

昔っから、愛らしい女の子は
知らないうちに誰かの心を癒していて

そのせいで、争いが減っていた、そんな事もある。



女の子たちが、音楽を奏でれば
それはもっと、魅力的かもしれない。

さっきの、めぐたちのジャムセッション(笑)、楽しそうなそれを


駅の喫茶店にいた音楽好きのひとが
見ていて、それは楽しそうな様子だったと

音声を録音して、ネットワークに載せたりして(笑)。



それに注目されるのも、まあ、仕方ない。
音楽を奏でる女の子、ミューズである。


石鹸ではない(笑)



音楽の神様である。


そう、これもそういえば八百万のひとつかもしれない。









とりあえず、れーみぃとめぐ、リサとNaomiは

乗務員宿泊所の管理人さんに「ありがとうございます」
と、お礼を言って。


管理人さんも「んだんだ、また来へなー」と


にこにこ。



また来ます、と言ったけど

さて、今度はいつ来れるだろ?と

思っても


冬休みかなぁ、なんて

めいめいに思ったりしながら



客車区へ向かう、4人。



「んだんだ」 


「なーに、それ」




「そうそう、って意味らしい」




「なーるほど。」



とか、言いながら



レールが沢山敷かれている客車区を歩いて

今夜の列車を探す。



海沿いの客車区は、山がすぐそばに迫っていて。

厳しい冬の様相を思わせた。


そこを拓いて、線路を敷いて
車庫を作った。



そんな、ずっと昔の人々の
努力があって、今の国鉄があって。



たぶん、最初は
地域の人々の奉仕もあったんだろうけれど


そんな事は、今、ほとんど誰も気づかない。


国鉄職員だけが、そういう昔かたぎの
奉仕の気持ちを持っていて



だから、みんなの鉄道をみんなで守ろうって
そんな風に思って。



降って来るように、外国のお金儲けに
みんなが作った鉄道を、使われてなるものかと


この地域の人々も、そう思っている。




困ってるめぐたちを、乗せてあげる為に
アルバイト、と言う形にして

乗せてくれたり。




そういう思いやりが、無駄だとか
言う人々が、お金儲けの為に

この職場を奪いに来ないように。





めぐの国の神様も、がんばった。




なんとか、平和は保たれそうだ。



そう、神様の計らいで
外国の、お金儲けをしたい人々、と言うけれど

思いやりが、誰の心にもある。
そういう人類になったので、[よその国で
お金儲けしたい]そういう欲望よりも

よその国で儲けたお金は、そこの国のものだろう。



そういう思いやりが、誰の心にもあるので


たとえ、めぐの国の国鉄を民営化して
よその国の人々が出資しても

儲けを出そうとして、働いている人達に
無理をさせるような事もない。


思いやりがあるから、である。



元々、生き物は助け合うようにできていて
それだから、生き延びて来れたのだけれども




それを、ここしばらくの人間たちは
忘れてしまって。



例えば、お金儲けのために
よその国の公共事業を、民間企業にして

儲けを出して、それを外国に持っていく。



そんな事をしたり、していた。




でも、その国の公共事業は、その国の人達が
作ってきたもので


沢山の奉仕で成り立っている。



例えば、めぐの国の鉄道を拓いたのが
地域の人達であるように。




その、地域の人達のものを
買い取ってしまう事は、思いやりのない事だから



今、進化した人達は
そういう事はできない(笑)。



そういうものだ。

めぐたちは、季節はずれのバケーションw

でも、終わるとなると、ちょっと淋しいのは
どんな旅でも同じだ。



枯葉、みたいなJAZZのような
メロディーを
思い浮かべる、めぐだった。



さっき聞いた、Wyntonのピアノは
爽やかで、淋しげではなくて。



あんなふうに、プレイヤーとして
楽しめたら、なんて

レール沿いを歩きながら。


端っこの洗車ラインから出て、
磨かれた15両編成の青い車体は

白いラインが窓辺を通って。


Northstarの上り編成だ。

ご苦労様、と

めぐたち4人を見て、列車の窓を
磨いているおばさんが、声をかける。


「お疲れ様ですーー」と、れーみぃが
お返事すると、窓を拭きながら
おばさんは、日焼けの顔に白い歯を見せて。

プラットフォームがないから、金網で
出来た窓拭き用の足場に乗って、窓を磨いている。




列車の外窓なんて、走り出せば汚れてしまうし
料金は変わらないから、適当でいい。



お金儲けがメインだったら、そうなるけど


でも、ここは北の町で、国鉄は
そういうところではなくて。


乗ってくれる人が、窓を見て
綺麗に磨かれていたら、余計に
料金を払ってくれる訳でもないし


窓拭きをする人は、ほかの仕事をさせて
効率よく作業をすれば、人件費が減るけれど


でも、やっぱり、それじゃあ
味気ない。


楽しい旅を、してもらうために。



そう思うのは、鉄道がやっぱり好きだから。



お金儲けが好きな訳でもないから(笑)。





でも、そういう気持ちが伝われば

また、いつか乗ってくれる。



楽しい思い出が残るもの。

働く事は、本来そういう
楽しさのあるものだ。


誰かに、幸せになってもらえるために
働く。


幸せになったひとが、また、幸せな気持ちに
なりたくて

国鉄なら、国鉄を利用しようと思う。



そういうものだ。




そうして、幸せな人が
お礼を払って、

受け取った人は、有り難く頂いて
それを糧にする。



そういうものだ。






心に優しい気持ちがあれば
それは、きっと分かりあえる。



優しい気持ちがない人達は、この世界中で
神様たちが頑張って(笑)

優しい気持ちを思い出すように、なったから


いつか、みんな分かりあえるだろう。

そして、傷ついた心を持った人々は

魔法使いコンパイラ(笑)が、癒して
くれるだろうから。

思いやるほうが、身勝手よりは
エネルギーを使うし、想像力、メモリーと
イメージが必要だ。


相手、と言う自分じゃない存在の希望を
考えるから、で


人が増えて来ると、だんだん面倒になってくるから(笑)



都会では、例えば駅の雑踏で
ひとりひとりに思いやる事はしない(笑)。



でも、全体に対してなんとなく思いやる事は
あったりもするけれど。






例えば、昔なら
仕事を指示する親方は、大抵は
その職場で長く働いてきた人だから


働きやすい職場を作ろうと思う。
それは、思いやり。かつ、機能的でもある。





そうでない場合は、大抵
機能に劣るので、働く人が無駄な事をする。
から、仕事に無理が生じる。





リサたちの目の前の職場は、長い経験に
基づいた親方(笑)たちが居るので


効率良く、楽しく働ける職場である。

「さあ、お手伝いしよっかな」と、めぐは軽い気持ち。

そう、ここは洗車窓拭きライン.....。梯子で列車によじ登らなくてもいいので
気楽である(笑)


金網の足場、とは言え
ちゃんと階段がついていて、デッキのところに登れるのが
こんなに有難い事だと、めぐは実感したことが
これまで無かった(笑)。


電車って、ホームがあるから
簡単に乗れるって事は

ホームが無くなってみて、初めて判る事だったりする。
それも、鉄道に楽に乗って欲しい、と言う気持で
とても大きなコンクリートのホームを作ってくれたんだろうって
その思いやりにちょっと、感激してしまったりする。



そういう経験は、この日のめぐみたいに
ホームのないところで列車に乗る、なんて
事がないと

あまり、思う事もない(笑)。



リサは、スポーツガールだから
ひょい、と梯子でもなんでも登ってしまうだろうけど(そうでないと、運転士さんは
できないだろう)。

客車のドアの脇にある、小さなステップに足を掛けて
垂直の壁を登る、なんて

ロック・クライマーか電気工事のおじさんみたいな事は
文科系のめぐにはちょっと、むずかしい(笑)。



「筋力ないから」と、ひとりごとを言っていると

れーみぃも「そうそう、あたしも。階段だって疲れちゃう」とか言って
バッグを肩から下げて、足場を登る。

足場には階段がついているから、そんなに辛くもないんだけど。



Naomiとリサは、さっ、と登ってしまうけど

すこーしだけ、背丈もめぐや、れーみぃたちよりは大きめだし
足取りもしっかり。



「運動不足なのよ」と、Naomiはにっこり。



Naomiはスポーティで、おじいちゃんの遺した大型オートバイ、Yamaha TR-1を
整備して乗るくらい、ボーイッシュ。

それでいて見た目はスーパーモデルみたいなんだから、ちょっと楽しいひと。


ジャズも好きみたいだし。




「あ、そっだ。Naomiさ、やっぱおじいちゃんの趣味なの?R&B」て、めぐが言うと


「うん。オートバイと音楽が好きで。ぜんぶ、あたしの財産よ。レコード1000枚と
オートバイ。」


男の子に生まれたかった、と言うNaomiは、なんとなく、無いものねだりみたいって
めぐは、思ったりもするけれど(笑)。

デッキの扉は、開いていない。

ふだん、自動扉って書いてあって
車掌さんが開けてくれるのが当たり前に
なっているから、開け方って解らない。


窓拭きをしていたおばさんが、笑って「こうするの」と、折りたたみになっている
扉の真ん中を押した。


重かったけど、扉は折り畳まれて


人が入れる隙間が出来る。



感心しているめぐたち4人に、おばさんは


「はい、どうぞ」って。


「閉めるのはどうするんですか?」と
めぐが尋ねると、おばさんは



中から押すの、って



窓拭きの道具、棒雑巾のようなものを
両手で持って。

笑いながら、次の車両の方へ歩いていった。



「まあ、そうよね。手で閉めればいいんだ」と
Naomiも、笑って。




デッキの中に入ると、冷房が掛かっているので
ちょっと寒いくらい。


でも、車両の中を掃除したり
ベッドメーキングをしていると、暑いんだろう。



夜行寝台車って、窓が開かないから。






とりあえず食堂車へいかないと、と
めぐは思った。



一応、ウェイトレスだもん。





そうは思ったけれど、車両の中は

お掃除をしていたり、リネンやらシーツやらの台車があったりで



「外から行った方がいいかもね」と、リサは
判断が適当だ(笑)。



さすがに機関車乗りの血筋だろうか。


機関車に乗る人は、独りで
判断して、列車を進めるから


慎重で、しかし
判断力が必要だ。


毎日が、そういう判断の連続で
暮らしている人の、考え方は


やっぱり、遺伝的に後生には伝わる。


脳の構造、それの設計図として
遺伝子に書き込まれるのである。



なので、国鉄は
伝統的に後継者を血族から得たりする。


科学ではなくて、経験即として
適性を見出だしているのだろう。




エンジニアの子供は、エンジニアになったり。


それぞれ、適性を生かせば
苦労は少なく、成果も得やすい。



「どうして自動ドアが開けられるの?」って
めぐは、リサの背中に尋ねた。
デッキから、ステップを下りて
リサは、ドアの真ん中にある取ってを引きながら

振り向いて、めぐに

ドアの下にある、エアーシリンダを指差した。



「ふだん、空気が入ってるの。それをね
抜いておくと、自由に開けられるの」




良く知ってるね、と

れーみぃは感心。




「あ、おじさんと旅行してたからか」と
そこで気づく。


リサは、車掌さんのおじさんが居るから

夏休みになると、よく
この北の町まで、夜行列車に乗って
一緒に旅してた。


そうして、出会う国鉄職員たちに

「国鉄に来いよ」と、いつも
言われるリサは、少年のようだったのだろう。

今でこそ、女子の乗務員は珍しくないが
その当時は、女子、と言うと
大学院を出て、技術職員になるか
大卒の管理職、そうでなければ
お掃除、くらいだったから


たぶん、おじいちゃんの孫とはいえ
機関車乗りを目指すとは、誰も思わなかっただろう。

(今でも、誰にも話している訳でもないが)。


深夜勤務は除外になるとはいえ、厳しい仕事を管理局が許すかどうかも、まだ未知だ。



リサは、思い出す。


ずーっと前、こんな事
あったような気がする。


と。




それは、リサがまだ11才くらいの頃。

夏休みになると、おじさんの乗務する
夜行列車に一緒に乗って。


おじいちゃんの家へ避暑に行っていた、
その記憶。




その時も、確か
こんなふうに客車区で、ドアを開けて

背後から、ドアの開く仕組みを
尋ねられたのだった。



まだ、冷房が珍しい頃で
客車の中の冷房に驚いたこと、なんかを
よく覚えてる、リサだった。




その時、背後から声をかけたのは
ミシェルだったと思うのだが


なぜか、その記憶がない(笑)。





それとも、ミシェルじゃなかったのかな?


食堂車は8号車。
編成の真ん中あたりにあるのは、どの客車からも
同じくらいの距離で来られるように、と言う
思いやりの
気持ち。

ロビーカーが7号車。


プラットフォームの真ん中あたりに、どの駅でも
階段があるから
そこに、みんなが使う車両を停めて、使いやすくする、そんな理由もある。



車庫に止まってる時は、端っこから
歩いていかないとならないので、結構大変だ(笑)。


窓拭き用の足場を歩きながら、リサは思い出す。


その、ミシェルの思い出が薄いような
気がするのと。



リサ自身が、おじいちゃんの後継者に
と願われたのと

なにか、関連があるのだろうか?



ミシェルは男の子。


一緒にいたら、ふつう、男の子を
後継ぎにと言うのではないだろうか?



リサは、金網の足場を歩きながら
食堂車を目指す。



回想、と言うか
夏休みの旅を、思い出して見る。
ミシェルとの思い出が、どうして薄いんだろう?
と、思いながら。




小学1年の夏休みは、確か
座席夜行の急行だったんだ。


海沿いの、EvergreenーLineで。

古い客車で。



やっぱり、Upperfieldから乗ったんだけど

乗務員宿泊所の食堂車で見た、ババロアのテレビCMとか


操車場へ、やっぱりお手伝いに行った事。


思い出すけど、その時はひとり旅でわくわくしていた記憶がある。



ミシェルは、一緒じゃなかったんだ。





まあ、でも。
ミシェルは、当時4才くらいだから
来なくても不思議はないね。



そう、リサは回想に納得しながら。


奇妙な空想を打ち消そうとしている。

そう、ミシェルは、本当は
いなかった子供で、途中から現れた、なんて

へんな空想だ。

リサは、突然振り向いて


「あたしって、ひとりっ子?」

なんて言うので、れーみぃは
楽しそうに笑った。


「ミシェルがいるじゃない」



Naomiも「大丈夫?へんな冗談」って


笑顔。


めぐは、でも

なーんとなく、記憶のどこかで
そんな気がするような。


魔法使いのめぐは、時間旅行をするので
いろんな時空間を飛び回る。



そのせいで、記憶がいろいろ残るし


なにより、めぐは人生を
二度生きているから


そんな事も、あったような気がする、なんて
思ったり。





でも。



めぐは思う。



いま、この瞬間は現実だけど。



過去に、例えばミシェルがリサの弟として
生まれたか?


なんて、本当にそうか?って言われても


記憶の中に入ってみないと、解らないし

記憶って曖昧なのだから



もしかして、記憶の時空間が歪んでると


違う時空間の事を覚えてしまっていれば


間違う事もある。

「でもさ、リサは職員なんだから、もう。
ウェイトレスのアルバイトしなくてもいいんじゃない?」と、Naomiは冷静。


「そっか、そうでしたー。」と、リサは
考え事をしていたせいか(笑)。


でも、手伝うよ。



そう言って、食堂車のキッチンにあるドアを
探した。


でも、反対側の側面にあるから(笑)。


8号車の下を潜っていくのは危ないから。


9号車のデッキから行く事にして。


金網の足場を、なるべく静かにあるいて行こうとして。


ゴム底のスニーカーだけど、でも
金網と足場が当たる音がする。



4人でかちゃかちゃ音を出していると

楽器のリズムみたいに聞こえる。


リサは、さっきのアンサンブルの事を
ふと、思い出した。





こんなふうに、少し前の事も


小学生だった頃の事も。


いっぺんに思い出せるから、思い出って不思議。




そんなふうにも思った。


小学生の頃は、そんな事思わなかったし

思い出す事もあまり無かった。


デッキに入り、客室ドアを開けると
冷房の風と、消毒の薬品らしい
芳香で、リサは
また、小学生だった夏休みの事を連想した。

そんなもので、香りとか、風とか
雰囲気で思い出したりするもの。



2年の夏休みは、確か

この列車に乗って来た、と
リサは思い出す。

おじさんが特急の車掌に昇格したので
白い、専務さんのサマースーツが
目映ゆくて。



赤い腕章が誇らしく、ブルートレインの

こんどは、列車整備はしなくて良かったんだけど

やっぱり、それでも
列車の冷房をいれたり、電灯を付けたり。

止まっている列車が動かないように、と
操車場で見ている仕事もあったりした。




それに付き合って、乗務員宿泊所から
終着駅についた特急列車、回送されるそれに
乗せて行ってもらったんだっけ。


なぜか、列車の中にラジオが掛かっていて。



おじさんがラジオ好きだったから、かもしれないけれど。


その頃、流行していたポップスが
流れていたような気がして。




車内放送のオルゴールを鳴らして、遊んだりして。





でも、その時もミシェルの姿は思い出せない。


5才くらいだから、旅はちょっと
遠慮したのかもしれないし



リサ自身が、幼い弟を連れて行くのが
難しかったのかもしれないけれど。
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