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国鉄乗務員宿泊所
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列車のテールランプを見送って、れーみぃは
「なんか、淋しくなっちゃうね」と
にっこり、しながらそう言った。
めぐも、頷く。
naomiも、同じ気持ちなのか
列車の行方を視線で追って。
信号の赤、が
心なしか滲んで見える事に気づいた。
「さ、到着点呼だべ」と
リサのおじさんは、ホームから
古い階段へと向かった。
「あたしたちは?」と、めぐが聞くと
「ついてけへ」と、のどかな方言で言うので
めぐも、なんとなく微笑んだ。
階段は、線路を跨いで渡る橋へと
つながっていて。
歴史を感じさせるその橋は、柱が古いレールで
出来ていて
どことなく、蒸気機関車の吐き出す煙で
黒ずんでいるように見えた。
リサは、その黒ずんだあたりが
おじいちゃんの軌跡なようにも思えて。
愛おしいような気がした。
終着駅。
以前は、海を渡る連絡船があって
船着き場への、長い通路がこの橋につながっていたらしく
大きな、船の客席くらいの待合室が
階上に残っていた。
その、船の待合室も
今は、海底トンネルが出来て
連絡船が無くなったから
歴史の展示室みたいな存在になっている。
大きな古いテレビが、天井から下がって
ベンチが居並ぶ、大きな
学校の体育館くらいの大きさの部屋。
それが、ホームの上の2階上に
宙ぶらりんに作られているあたりも
とても不思議な構造。
大雪が降る地方なので、地上に作るよりは
2階に在って、丁度良い。
そんな印象だけれど、暖かい地方から来た
めぐたちには理解できない。
でも、見晴らしが良いので。
「すごーいねぇ」と、れーみぃは
楽しそうにはしゃいでて。
「さ、点呼さいくべ」と
リサのおじさんは、白い制服をきちんと着直して。
回廊になっている通路から、駅の車掌区へ。
外観からは分からないけれど
荘厳な木造の、駅の車掌区。
扉は、なぜか西武劇のSaloonみたいに
フリーストップの扉だったりする(笑)。
車掌区には、なぜか偉いさんの写真が飾られていて
その中に、リサのおじいちゃんの写真が
あったりして。
リサは、気づいてちょっと恥ずかしそう。
おじさんは見慣れてるせいもあるけど
「んだな。功労者だな。」と、他人みたいな
顔をして。
「どんな功労なんですか?」と、めぐは
聞いて見る。
「忘れた」と、おじさんは言うので
みんな、楽しそうに笑った。
車掌区の入り口、隣はロッカールーム。
その向こうが、点呼を行う車掌区。
おじさんは「1列車、帰着しました」と。
大きなカウンターの向こうで、厳めし感じの
車掌区長、運転管理。
「あ、あたしたち?」と
めぐたちは、ちょっと慌てる(笑)。
厳めしい顔だった車掌区長さんも、愛らしい
女の子たちに、微笑み「ご苦労様。1列車乗務員さん」と
そう言われて、れーみぃたちもにこにこ。
敬礼をしたりして。
ほんとは、でも
働くのは、ひとの行動のほんのひとつ。
なんでもいいんだけど、行動力が余ると
ストレスになる。
生き物だから、もともと
駆け回って、食べ物探して生きてきた。
ここしばらく、人間は楽をしてるので
簡単に食べ物が手に入るから
エネルギーがあまる。それだけの事。
時間が余って、行動力が余るから
動きたい、そう思う心が
苛立ちを生んだりする。
動こうとするのは、生物的な欲求だ。
だから、これは
考えなくても起こるので、0次元欲求だ。
暇でない程度に、何かした方が健康にいいのである。
なので、みんなのために働くのは
とりあえず敵を作らないし、安全でいい
行動力の使い方。
たまたま、この国のひとは
国鉄があったり、郵便局があったり。
外国のひとは、たまたま
この国の経済を利用しようとする事に
罪悪感がないのだろう。
「帰着点呼、よし。ご苦労様」と
車掌区長は言い、
遅くまでありがとう、そう言った。
気づくと、もう21時を過ぎている。
「はい、仕事終わり。ありがとう」と
運転管理のおじさんは、めぐたちに言い
「下にお風呂、沸いてるから。制服は置いてっていいよ」と。
「え、え、まさか、混浴?」と、めぐは(笑)
「んな訳ないじゃん」と、naomiは涼しい声。
郵便局みたいに、駅の乗務員センターにも
お風呂があるのだ。
汚れる仕事も多い。
女の子のメカニックも居るし、雨の日もある。
「温泉だよ」と、すっきり顔の
運転管理さん。
にこにこ。
「温泉かー」れーみぃ、にこにこ。
「でも、ちょっとおばあちゃんかな」めぐ。
「いいんじゃない?郵便局にもあるよ」naomi
「おじいちゃんも、お風呂好きだったな」リサ。
「そういえば、夕べはお風呂入れなかったし」ミシェル。
「ミシェルも、ちっちゃい頃一緒に入ってたのに」リサ。
なーんとなく、頬赤らめるミシェル。
「ちんちん洗ってあげよっか」naomi。
おじさんも、笑った。
夜の車掌区は、もう人影も少ない。
「ミシェルは、わいと一緒にな」おじさん。
めぐたちと一緒に、車掌区を出て
ロッカールーム。
おじさんは、制服から私服に着替えて。
広いロッカールーム、ミシェルは
長椅子に掛けて。
おじさんの着替えを待っていた。
ドアは引き扉で、木造の
小学校の教室くらいの部屋。
グレーのロッカーが居並ぶ。
よぉ、と陽気に入って来る、鉄道員たち。
おじさんも、片手を上げて。
鉄道員たちは、ミシェルを見て
「ああ、じい様のお孫さんか、国鉄来るのか」
と、口々に。
ミシェルは、違います、とも言えずに(笑)。
一方のめぐたちは、女子ロッカールームで
私服に着替えて。
「でも、リサ、元気になってよかったよ」と
めぐ。
「どーして元気になれたの?」と、れーみぃ。
リサは、着替えなくていいから(笑)
手持ち無沙汰に答える。「うん、駅前でね、ロックが流れてて、それで、なんかさっぱりして。」と言うと、れーみぃは
「そう、バンドしよーよ、ね?」
理由にもならないような、リサの理由。
でもそんなものだ。
リサの気持ちに、知らず知らず抑圧を掛けてたのは
リサの無意識なのだ。
誰かがそうした訳じゃなくて。
生まれ育ちの間に、なんとなく積み重ねて来た記憶を、リサがそう考えてしまっただけ、の事。
おじいちゃんが国鉄の名士だったとしても、
別に、誰もリサに名手になってくれと思ってはいない。
おじいちゃんの思い出を引き継いでくれる人が
周りにとって嬉しい、それだけだ。
女子ロッカールームの出口に、ランドリーの
受付箱があって。
制服の類を、クリーニングしてくれる。
もちろん、クリーニングと言っても
国鉄物資部、と言って
本物の、クリーニング屋さんが居るのだ。
そういうふうに、鉄道だけではなくて
人々の役に立つ組織が、全部あるから
鉄道が通ると、地域にとって経済が潤うのである。
それを、外国のお金持ちが利用したいと
思う、そんな理由で
今、この国の国鉄を民営にしてしまいたい、などと
政治が画策していると、そんな訳。
もし、そうなると
例えば物資部の代わりに、外国のスーパーが
入ったりする。
今まで平穏な地域の暮らしを支えていた
商店がなくなってしまったりする。
商店の人々の儲けが、外国に行ってしまうわけだ。
そういう事が、侵略のようなもので
つまり、外国の人々の行動力が、この国の
事を思いやるゆとりがない。
そういう事で、魔法使いルーフィが
以前行った、魔法治療(笑)で
神経内分泌の回路に作用して、オキシトシン
、親愛の情を産む物質の活性を強めたりした。
この国の政治家たちに。
駅の、広い敷地も
都会には見られないもので
そのあたりに、土地の人々のゆとりを感じ
たりする、めぐたちだったりする。
雪の置き場所、って
実利的な意味もあって
駅が広いのも、あるんだけど。
「ほんじゃ、ご苦労様」と、おじさんは
私服、グレーのポロシャツに
ゴルフスラックス。
ふつうの、おじさん。
構内の外れの、お風呂場へ。
ここは温泉地だから、お風呂場の隣から
温泉のパイプが引かれていて。
湯気が立っている。
線路のすぐ脇、古い木造のお風呂場。
でも、広い。
ちゃんと、玄関から別になっていて。
なので、めぐたちと
おじさん、ミシェルは別々。
当たり前だけど(笑)。
「おつかれさまでした~」と、れーみぃも
ご挨拶。
そういえば、もう夜10時近い。
「頑張ったもんね」と、めぐ。
「そういえば、何しに来たんだけっけ??」と
リサも、軽く冗談。
温泉の入り口の、ドアを開けると
がらんとしていた。
そう、夜にお風呂場に入る職員って
そんなにいない。
朝に出勤だと、夕方には帰ってしまうから。
夕方出勤なら、明け方に退勤だから。
この時間には、あんまり人影がない。
温泉の、駅浴場なんて
贅沢。
そう、みんな口々にいいながら
ほいほい、と
お風呂へ。
みんな友達だし、意外と
女の子同士だと、さっぱり
おーるぬーど。
「れーみぃ、やっぱりお嬢さんだね」と
めぐは、れーみぃの少女っぽい
柔らかで、傷ひとつないボディを見て。
脱衣所は、素っ気ない木の床で
籠が並んでる棚、大きな扇風機。
なーんとなく、湯の香。
「めぐみたいに、すらっとしたいんだけど」れーみぃは
ふくよかな腰を、よじらせて。
そっかなあ、と
めぐは、大きな鏡に映る
自分の少年みたいなボディをみて、そう思う。
鏡に映る、naomiの
スーパーモデルみたいな、均整の取れたボディを見ながら(笑)。
同じ歳なのに、ずいぶん違うなぁ(笑)なんて。
リサは、スポーツ好きだから
膝っこぞうに傷があったりして
でも、それだけに
日焼けのない胸周りが、とってもセクシー(笑)。
意外に、恥ずかしそうに
俯いている。
「そういえば、みんなでお風呂って、修学旅行以来だねぇ」なんて。
naomiも楽しそう。
ちょっと、年季の入ったガラス扉を引いて
お風呂場に向かうと、大きな湯舟に、お湯がたっぷり。
石作りの床は、玄武岩だろうか。
「いつもだったら、寝てる時間なのに、楽しいね」と、れーみぃ(笑)。
「夕べも、楽しかったね。忙しかったけど」と、めぐは、洗い場に並んでる鏡の前に
お風呂椅子を持ってきて。
お湯を、蛇口から手桶に入れようとして
間違えてシャワーヘッドから、勢いよく
自分の髪に掛けて「きゃ!」
あはは、とnaomiは笑う。
ちょっと、めぐよりは低いめの声が
なんとなく、大人っぽく聞こえるけど
同じ18才。
すらりとした脚を並べて、シャボン玉を立てている。
温泉だから、あんまり泡はたたない。
リサは「ごめんね、あたしのために」と
微笑みながら。
「おかげさまで。」と、れーみぃ。
アジアンのせいか、変な言い回し(笑)。
色白だけど、ころころとしていて
とてもかわいらしい。
香港がイギリス領だった頃、チャイナガールが人気だったのもよく分かる。
ヨーロピアンより、一緒でも若く見えるのも
女の子としては人気の秘密か。
若いと人気って言うのは、つまり
庇護の本能、なんて概念で言われるけど
赤ちゃんや、それに近いものを守る、慈しむ
そんな生き物の性質で
それがあるから、生き物は生き延びてこれた、らしい(笑)。
でもまあ、人間は増えすぎて
天敵が居なくなったから
人間同士で、生き残りゲームを始めたので
たとえば、外国の人が
この国の国鉄を、買収しようとしたりするのは
そういうひとたちにとっては、生き残りゲームのようで
楽しい、と言う事らしい。
愛する対象を持って、慈しむ気持になっている人々には
無縁の気分、だ。
慈しむ気持になるとき、ひとの心にはオキシトシン、と言う
ケミカルが満たされる。
から、魔法使いルーフィは
それを使って、ひとの心を癒そう、としたり。
めぐは、お風呂、大きな湯舟につかりながら
旅を回送する。
なんとなく、忙しかったけど
気が晴れたような、そんな気持ち。
リサにしても、旅の果て
駅前で、ロックを聞いたから
気が晴れた。
その事を、気づいてるのかどうか
ゆっくり、お風呂につかっている。
時々、旅に出ると
楽になれるってのは
普段の暮らしが、人間にとって
面倒なもので
いろいろ、変な約束事や
生きていくためのキマリごとが
めぐたち、若いひとには
ちょっと、向いていないような
そんな事もあって。
リサにしてみれば、これからの未来に
期待してたのに
外国のせいで、希望がなくなりそうな
心配ごとが起きたり。
そんな、変なおとなたちの
考えた事が、煩わしくなった。
リサの、ほんとの気持ちは
そんなところだったのかもしれなくて。
それで、若者のこころの叫びみたいな
ロックの音楽が、こころを解放した。
「でも、男の子ってどうしてこんなとこに
さわりたがるんだろ」って
リサは、お風呂につかりながら
めぐの方へ、微笑みながら。
その言葉を聞いて、めぐは
忘れていたルーフィの事を思い出す
そういえば、あの人は
わたしの胸にふれた、はじめての男の人。
なんて、思いながら
見ずからの胸を、撫でてみたり。
「でも、あれねー。ミシェルも
お姉ちゃんのおっぱいにさわりたがったんじゃない、ちっちゃい頃」って
れーみぃは、にこにこしながら。
「そんな事ないけど、だって」と、リサが言うと
naomiは「いまは、めぐのにさわりたいんじゃない?」と、綺麗なメゾで言う。
ちょっといたずらっぽく。
リサは「違うよ。ミシェルはまだ子供だもん。愛して貰いたいのよ。」
その言葉に、めぐは思う。
ほかの男の子みたいに、生物的な行動で
女の子に近づいてるんじゃなくて
ミシェルは、愛して欲しいんだな。
なんて。
でも、それだけに。
重い要求だな、なんて思う。
ルーフィさんみたいに、軽く
つきあいはじめてくれた方がいいのにな、なんて
思ったり。
女の子同士だと、どうして
こんなに、あけすけなんだろな、って
みんな、お互いに思ってるに違いないと
めぐは、思いながら
お風呂、温泉の湯舟から
空を見上げようと思っても
そこは、構内のお風呂場だから
目隠し代わりの片板硝子に
刻まれた模様の向こうに、ぼんやりと
夜の駅、構内を照らす照明が見えるだけ。
湿った木枠、錆びた木ねじ。
どこか、石炭がらの匂いがするような
古い駅には、独特の風情がある。
リサは、朧げに記憶がある。
この、お風呂場から
同じ景色を見上げたような思い出。
ひとりで、お風呂に入ったのかな?
それとも、おじいちゃんと一緒に
男湯に入ったのかな、なんて
想像して、ちょっと恥ずかしくなった(笑)。
幼い自分のヌードが、男たちに
見られていたのかな、と(笑)。
その、リサの回想は
ひょっとすると、ミシェルの言った事を
リサが伝え聞いた、イメージだったかもしれなくて。
そういう事、幼い記憶にはあったりする。
ずっとずっと昔の事、リサとミシェルのふたりが
おじいちゃんのところへ遊びに来た夏休み。
夜行列車で着いた朝、おじさんとミシェルは
一緒に、このお風呂へ。
たぶん、リサは
ひとりで、こちら側のお風呂場にいたの
だろう。
たぶん、エレメンタリースクールの
最高学年くらいだったハズだから
リサは、こちら側だったろう。
リサ自身が、もっと幼い頃に
夜行列車で、ここに旅した事もあるハズ
なのだけれど。
そんな、昔の記憶は
残念な事に、はっきり覚えてはいない。
でも、そういう頃の記憶が
ずっと、その後の生き方に影響したりするもので
そう、誰でも記憶が積み重なって
行動の様式が決まるけど
ずっと、幼い頃
自分が経験した事って、夢の中と
少し似てて。
まだ、自分の見方が決まってないから
積み重ねは、直接心に入ってて
それが後で、性格になったりする。
リサは、ふと
お風呂場で、温泉に浸かってて
おじいちゃんの事を思い出してて。
「そう、トム・ジョーンズ!」と
独り言を大きな声で言ったので、
naomiも驚いて、(笑)。
「あの、イギリスの歌手の?」と、めぐが言う、。
「ダイナミックだよね」れーみぃ。
そうか、と
リサはひとり合点。
自分が、駅前でイギリスのロックを聞いて
懐かしい、と思って
悩み事が吹っ飛んでしまったのも。
おじいちゃんの好きな、トム・ジョーンズに
似てる、力強いイギリスの歌だったから。
リサの音楽好きは、おじいちゃんの趣味だったんだ。
男湯は、おじさんとミシェルが
のーんびりと、温泉につかっていた。
男同士だから、気遣いをする事もなく、賑やかでもなく。
「おじさんは、どうして国鉄に入ったの?」
そんな事をミシェルは聞く。
「おじいちゃんがいたしな。他にこれといって」と
おじさんは、言う。
本当はカメラが好きなので、写真やさんを
しても良かった、とは言うものの
田舎なので、そういうもので
生きていくのは難しい、そういう事。
「人間は、なんで生きてるんだろね、おじさん」と
ミシェルは、中学生らしい尋ねをする。
おじさんは、にこにこして「なんで、って言うか
もう生きてるから、そう考える頭があるんだべ」と
ひいじいちゃんが
お坊さんだから
おじさんは、、さっすがに達観だ。
生きる事に意味はないけれど
前の世代が、生きて来たから
次の世代が残った。
その程度の理由はあるけど
もっと具体的な目的は、別にない。
せいぜい、恋して愛するのが目的。
そんなところだろう。
でも、それが大事ってことに
若いミシェルはまだ気づかない。
前の世代、親たちも恋して
愛して。
次の世代を遺すのは、生き物の本質。
誰に教わらなくても持っている。
でも。
子供を育くむのは、人間社会では
愛である。
技術も文化も必要な事だ。
そうして、おじさんもおじいちゃんに
育てられてきたのだし
同じように、リサやミシェルも
育てられてきた。
だから、鉄道の仕事をしている
おじいちゃん、おじさん。
その生き方が記憶に残って
リサやミシェルが生きていく。
それが、生きていく、って事。
おんなじふうに、炭坑で働いていた
トム・ジョーンズの力強い歌を聞いていた
おじいちゃん。
それが、記憶に残って
リサは、イギリスのロックで
おじいちゃんの風景を連想したり。
記憶ってそんなもので。
素敵なもの。
「もう11時か」naomiは、お風呂から出て
国鉄マークのタオル、昨日
寝台で貰ったそれで、肩を拭いながら。
均整の取れたスタイルは、美しく
ミロの彫刻のようで
妙に扇情的な感じはしない。
美と言うのは、そういうものかもしれない。
「今晩、どことまるのー?」なんて
れーみぃは、アジアンらしく
よく弾む声で。
なんだか、可愛らしいイラストの
大きめバスタオルを使っている。
色白で、naomiよりは小柄だけど
平均的な女の子らしい感じ。
それだけに、愛らしく
頼られたら、守ってあげられそう、そんな感じ。
「乗務員宿泊所に泊まれば?おじいちゃんの家に来てもいいけど、こんな時間だし。おばあちゃん寝ちゃってるから」リサは
国鉄職員っぽい。。(笑)
慣れてるんだろう。
「入れてくれるの?」めぐ。
うん、いつでも入れるの。24時間営業だし。
急に、列車が止まった時とかに備えて、って
リサはさすがにおじいちゃんの子。
同じころ、神様は
そんな、地上の様子を微笑ましく感じながら
(笑もちろん、風呂場を見ている訳でもない。神様は生き物じゃないので、女湯を覗く趣味もない)
こないだ思った、アメリカの神様への話を
メールしていた(笑)。
from kamisama@heaven.com ;
to god@heaven.am;
こないだの話だけど、やっぱし
この国のひとの幸せをなんとかせんとな、と思う。
いかにも簡単なメール(笑)
キーボードが苦手らしい。
すぐ、返事が来る。
Re;こないだの話
それはそうかと思う。アメリカは自由の国だけど
放任と言うのも良くないとは思う。
人間の欲望は限りない。
想像を、今はこのメールを送れるインターネットみたいに
手元でいくらでも検索できるし
頼みもしないのに、売り込んでくる。
そういう環境の違いもあるから、心
が乱されるんだな。
それは、アメリカだけの話じゃないから
11月、神無月に
日本で国際会議があるから、出雲大社で。
そこで、みんなで話するといいだろう。
ーーーーーと、アメリカの神様はそういう。
伝統的には、アメリカは自由の国だけど
キリストさんが神様。
でも、キリストさんは全国チェーン(笑)だから
どうも、違うひとみたい。
日本の神様は、たくさんいて
八百万、なんて言われているように
もともと割と、民主主義である(笑)。
みんなでまとまった神様。
西洋は、割とひとりの神様だったりする。
アジアンもそうで、仏様とか
キリスト様とか。
それが、日本は
なぜか仏様も神様も、キリスト様も
いっぱい居ていい、と言う和やかな国なので(笑)
そこで、国際会議を11月にすれば
喧嘩にならない、と言う面白い提案(笑)。
最近は、勝手に神様を名乗って独裁したい人間が、その八百万の頂点だ、なんて主張するけれど
その時点で俗物決定(笑)つまり神様ではないのだ。
いろんな人々の幸せを願うのが神様、なんだから。
だから、地震が起きたのは信心不足、なんて言う神様も偽物である(笑)。
幸せを願う心に、多い少ないはないのだから。
国際会議は、そういう議題もあって(笑)
11月に。
なので、ほかの国には神様がいなくなるので
神無月、なんて言われている。
神様だから、空飛んで来るから
一月かかるのだろうか(笑)。
この国の神様も、日本まで行かないとならない(笑)。
人間のフリをして、飛行機に乗って行こうか、なんて
いたずらっぽい神様でもある(笑)。
神様たちは、神様なりに。
地上のめぐたちは、めぐたちなりに。
それぞれ、精一杯に、幸せを願っている。
神様は、みんなの祈りを聞いて。
どうしたらいいのかな、と
いろいろと考える、のだ。
地上のめぐたちは、お風呂あがりで
いい気分。
「でも、よく考えるとさ。
上り2列車で帰れば良かったんだね」と
リサは冷静。
そういえば、そうだ(笑)。
リサの悩みも解消したから、整備した2列車
に
乗って帰れば、本当は良かった(笑)。
「でも、せっかく来たんだし」と
めぐも、楽しそう。
リサ自身の悩みは、解決したと言うよりは
しっかりと、心に決めてがんばろうと
そう思っただけ。
その、対決する相手になる外国の人達の
気持ちを、宥めて
この国の幸せを考えるようにしてほしい、と
そう願っているのが、天国の神様で
アメリカの神様とか、に
お話して、神様国際会議(笑)で
なんとかしようと、天国の神様は思ってるから
幸せになろう、って気持ちは一緒、みたい(笑)。
地上のめぐたちと、ミシェル。
「んだな、乗務員宿泊所だな」と、おじさんが
言うので
線路沿いを、駅と反対の方へ行く。
もう深夜なのに、明かりのついている
プチホテル、みたいな建物は白く。
綺麗な宿泊所。と
めぐは思った。
でも、upperfieldの宿泊所よりは
小振りで、落ち着いてるな、なんて
思い直す(笑)。
それは、都会とは全然違うけど
でも、最果ての地に相応しい趣があって。
そんな風に思うに似つかわしい
乗務員宿泊所は、夜遅いから
そろそろ、終列車を降りた乗務員が
眠りに戻ってくる頃。
静かに、静かに。
がらんとした玄関は、広くて
なんとなく、学校を思い出して。
めぐは「学校みたい」
れーみぃも「あーあ、思い出しちゃった。」
「宿題でも忘れたの(笑)」と、naomi。
「そういえば、わたしも授業サボってきたんだった」リサ。
「国鉄職員はもう、いいでしょ」と、れーみぃもにこにこ。
そんなふうに、少しだけ現実を思い出して
ちょこっとブルー(笑)な、JK4人。
でも、今は旅を楽しもう、なんて
ちょこっと現実逃避。
おんなじ旅でも、天上の神様も
やっぱりちょっとブルー(笑)。
「飛行機で、日本まで。それで。」
長い道のりを考えると、ちょっとうんざり。
「そうじゃ。」神様は思う。
めぐたちのように、寝台車で
大陸を渡って行こうかの?
なんて(笑)。
意外に気楽な神様である。
地上のめぐたちは、それでも
楽しそう。
その実、友人リサを心配した
思いやりの旅なのに。
そんなことを、リサが気にしないようにと
それも、思いやりで
楽しい、秋の旅行、そんなつもりで
振る舞っているうちに
本当に楽しくなってしまう。
みんなと一緒で、遊んでるんだもの。
それだけで、楽しい。
そんなものかもしれない。
学校の玄関みたいな、乗務員宿泊所は
なんとなく、懐かしいけど
学校が建った頃に作られたような、そんな感じ。
下駄箱と、簀の子の玄関
大きなガラスの窓は、枠が鉄で
白いパテで留められていて。
いまなら、さしずめアルミサッシなんだろうけれど
その重厚さが、時代もの。
今となっては、懐かしい。
ミシェルもおじさんも、もちろん一緒に
来る。
おじいちゃんは、この駅の駅長さんだったから
おじさんは、名士の跡取り。
どんなにか、気苦労もあっただろうけれど
そんな事を、気にもしないのか
それとも、無関心なのか。
おじさんは、のんびりとしているように見える。
「こんばん」と、おじさんはにっこりと
玄関から、入口にある管理人さんにご挨拶。
管理人さんは、どことなく
おじさんに似ている感じの、朴訥なお人。
田舎っていいなぁ、なんて
都会の人達は、こんな時に思うのだろう(笑)。
田舎の人達には、ただの日常である(笑)。
「なんか、淋しくなっちゃうね」と
にっこり、しながらそう言った。
めぐも、頷く。
naomiも、同じ気持ちなのか
列車の行方を視線で追って。
信号の赤、が
心なしか滲んで見える事に気づいた。
「さ、到着点呼だべ」と
リサのおじさんは、ホームから
古い階段へと向かった。
「あたしたちは?」と、めぐが聞くと
「ついてけへ」と、のどかな方言で言うので
めぐも、なんとなく微笑んだ。
階段は、線路を跨いで渡る橋へと
つながっていて。
歴史を感じさせるその橋は、柱が古いレールで
出来ていて
どことなく、蒸気機関車の吐き出す煙で
黒ずんでいるように見えた。
リサは、その黒ずんだあたりが
おじいちゃんの軌跡なようにも思えて。
愛おしいような気がした。
終着駅。
以前は、海を渡る連絡船があって
船着き場への、長い通路がこの橋につながっていたらしく
大きな、船の客席くらいの待合室が
階上に残っていた。
その、船の待合室も
今は、海底トンネルが出来て
連絡船が無くなったから
歴史の展示室みたいな存在になっている。
大きな古いテレビが、天井から下がって
ベンチが居並ぶ、大きな
学校の体育館くらいの大きさの部屋。
それが、ホームの上の2階上に
宙ぶらりんに作られているあたりも
とても不思議な構造。
大雪が降る地方なので、地上に作るよりは
2階に在って、丁度良い。
そんな印象だけれど、暖かい地方から来た
めぐたちには理解できない。
でも、見晴らしが良いので。
「すごーいねぇ」と、れーみぃは
楽しそうにはしゃいでて。
「さ、点呼さいくべ」と
リサのおじさんは、白い制服をきちんと着直して。
回廊になっている通路から、駅の車掌区へ。
外観からは分からないけれど
荘厳な木造の、駅の車掌区。
扉は、なぜか西武劇のSaloonみたいに
フリーストップの扉だったりする(笑)。
車掌区には、なぜか偉いさんの写真が飾られていて
その中に、リサのおじいちゃんの写真が
あったりして。
リサは、気づいてちょっと恥ずかしそう。
おじさんは見慣れてるせいもあるけど
「んだな。功労者だな。」と、他人みたいな
顔をして。
「どんな功労なんですか?」と、めぐは
聞いて見る。
「忘れた」と、おじさんは言うので
みんな、楽しそうに笑った。
車掌区の入り口、隣はロッカールーム。
その向こうが、点呼を行う車掌区。
おじさんは「1列車、帰着しました」と。
大きなカウンターの向こうで、厳めし感じの
車掌区長、運転管理。
「あ、あたしたち?」と
めぐたちは、ちょっと慌てる(笑)。
厳めしい顔だった車掌区長さんも、愛らしい
女の子たちに、微笑み「ご苦労様。1列車乗務員さん」と
そう言われて、れーみぃたちもにこにこ。
敬礼をしたりして。
ほんとは、でも
働くのは、ひとの行動のほんのひとつ。
なんでもいいんだけど、行動力が余ると
ストレスになる。
生き物だから、もともと
駆け回って、食べ物探して生きてきた。
ここしばらく、人間は楽をしてるので
簡単に食べ物が手に入るから
エネルギーがあまる。それだけの事。
時間が余って、行動力が余るから
動きたい、そう思う心が
苛立ちを生んだりする。
動こうとするのは、生物的な欲求だ。
だから、これは
考えなくても起こるので、0次元欲求だ。
暇でない程度に、何かした方が健康にいいのである。
なので、みんなのために働くのは
とりあえず敵を作らないし、安全でいい
行動力の使い方。
たまたま、この国のひとは
国鉄があったり、郵便局があったり。
外国のひとは、たまたま
この国の経済を利用しようとする事に
罪悪感がないのだろう。
「帰着点呼、よし。ご苦労様」と
車掌区長は言い、
遅くまでありがとう、そう言った。
気づくと、もう21時を過ぎている。
「はい、仕事終わり。ありがとう」と
運転管理のおじさんは、めぐたちに言い
「下にお風呂、沸いてるから。制服は置いてっていいよ」と。
「え、え、まさか、混浴?」と、めぐは(笑)
「んな訳ないじゃん」と、naomiは涼しい声。
郵便局みたいに、駅の乗務員センターにも
お風呂があるのだ。
汚れる仕事も多い。
女の子のメカニックも居るし、雨の日もある。
「温泉だよ」と、すっきり顔の
運転管理さん。
にこにこ。
「温泉かー」れーみぃ、にこにこ。
「でも、ちょっとおばあちゃんかな」めぐ。
「いいんじゃない?郵便局にもあるよ」naomi
「おじいちゃんも、お風呂好きだったな」リサ。
「そういえば、夕べはお風呂入れなかったし」ミシェル。
「ミシェルも、ちっちゃい頃一緒に入ってたのに」リサ。
なーんとなく、頬赤らめるミシェル。
「ちんちん洗ってあげよっか」naomi。
おじさんも、笑った。
夜の車掌区は、もう人影も少ない。
「ミシェルは、わいと一緒にな」おじさん。
めぐたちと一緒に、車掌区を出て
ロッカールーム。
おじさんは、制服から私服に着替えて。
広いロッカールーム、ミシェルは
長椅子に掛けて。
おじさんの着替えを待っていた。
ドアは引き扉で、木造の
小学校の教室くらいの部屋。
グレーのロッカーが居並ぶ。
よぉ、と陽気に入って来る、鉄道員たち。
おじさんも、片手を上げて。
鉄道員たちは、ミシェルを見て
「ああ、じい様のお孫さんか、国鉄来るのか」
と、口々に。
ミシェルは、違います、とも言えずに(笑)。
一方のめぐたちは、女子ロッカールームで
私服に着替えて。
「でも、リサ、元気になってよかったよ」と
めぐ。
「どーして元気になれたの?」と、れーみぃ。
リサは、着替えなくていいから(笑)
手持ち無沙汰に答える。「うん、駅前でね、ロックが流れてて、それで、なんかさっぱりして。」と言うと、れーみぃは
「そう、バンドしよーよ、ね?」
理由にもならないような、リサの理由。
でもそんなものだ。
リサの気持ちに、知らず知らず抑圧を掛けてたのは
リサの無意識なのだ。
誰かがそうした訳じゃなくて。
生まれ育ちの間に、なんとなく積み重ねて来た記憶を、リサがそう考えてしまっただけ、の事。
おじいちゃんが国鉄の名士だったとしても、
別に、誰もリサに名手になってくれと思ってはいない。
おじいちゃんの思い出を引き継いでくれる人が
周りにとって嬉しい、それだけだ。
女子ロッカールームの出口に、ランドリーの
受付箱があって。
制服の類を、クリーニングしてくれる。
もちろん、クリーニングと言っても
国鉄物資部、と言って
本物の、クリーニング屋さんが居るのだ。
そういうふうに、鉄道だけではなくて
人々の役に立つ組織が、全部あるから
鉄道が通ると、地域にとって経済が潤うのである。
それを、外国のお金持ちが利用したいと
思う、そんな理由で
今、この国の国鉄を民営にしてしまいたい、などと
政治が画策していると、そんな訳。
もし、そうなると
例えば物資部の代わりに、外国のスーパーが
入ったりする。
今まで平穏な地域の暮らしを支えていた
商店がなくなってしまったりする。
商店の人々の儲けが、外国に行ってしまうわけだ。
そういう事が、侵略のようなもので
つまり、外国の人々の行動力が、この国の
事を思いやるゆとりがない。
そういう事で、魔法使いルーフィが
以前行った、魔法治療(笑)で
神経内分泌の回路に作用して、オキシトシン
、親愛の情を産む物質の活性を強めたりした。
この国の政治家たちに。
駅の、広い敷地も
都会には見られないもので
そのあたりに、土地の人々のゆとりを感じ
たりする、めぐたちだったりする。
雪の置き場所、って
実利的な意味もあって
駅が広いのも、あるんだけど。
「ほんじゃ、ご苦労様」と、おじさんは
私服、グレーのポロシャツに
ゴルフスラックス。
ふつうの、おじさん。
構内の外れの、お風呂場へ。
ここは温泉地だから、お風呂場の隣から
温泉のパイプが引かれていて。
湯気が立っている。
線路のすぐ脇、古い木造のお風呂場。
でも、広い。
ちゃんと、玄関から別になっていて。
なので、めぐたちと
おじさん、ミシェルは別々。
当たり前だけど(笑)。
「おつかれさまでした~」と、れーみぃも
ご挨拶。
そういえば、もう夜10時近い。
「頑張ったもんね」と、めぐ。
「そういえば、何しに来たんだけっけ??」と
リサも、軽く冗談。
温泉の入り口の、ドアを開けると
がらんとしていた。
そう、夜にお風呂場に入る職員って
そんなにいない。
朝に出勤だと、夕方には帰ってしまうから。
夕方出勤なら、明け方に退勤だから。
この時間には、あんまり人影がない。
温泉の、駅浴場なんて
贅沢。
そう、みんな口々にいいながら
ほいほい、と
お風呂へ。
みんな友達だし、意外と
女の子同士だと、さっぱり
おーるぬーど。
「れーみぃ、やっぱりお嬢さんだね」と
めぐは、れーみぃの少女っぽい
柔らかで、傷ひとつないボディを見て。
脱衣所は、素っ気ない木の床で
籠が並んでる棚、大きな扇風機。
なーんとなく、湯の香。
「めぐみたいに、すらっとしたいんだけど」れーみぃは
ふくよかな腰を、よじらせて。
そっかなあ、と
めぐは、大きな鏡に映る
自分の少年みたいなボディをみて、そう思う。
鏡に映る、naomiの
スーパーモデルみたいな、均整の取れたボディを見ながら(笑)。
同じ歳なのに、ずいぶん違うなぁ(笑)なんて。
リサは、スポーツ好きだから
膝っこぞうに傷があったりして
でも、それだけに
日焼けのない胸周りが、とってもセクシー(笑)。
意外に、恥ずかしそうに
俯いている。
「そういえば、みんなでお風呂って、修学旅行以来だねぇ」なんて。
naomiも楽しそう。
ちょっと、年季の入ったガラス扉を引いて
お風呂場に向かうと、大きな湯舟に、お湯がたっぷり。
石作りの床は、玄武岩だろうか。
「いつもだったら、寝てる時間なのに、楽しいね」と、れーみぃ(笑)。
「夕べも、楽しかったね。忙しかったけど」と、めぐは、洗い場に並んでる鏡の前に
お風呂椅子を持ってきて。
お湯を、蛇口から手桶に入れようとして
間違えてシャワーヘッドから、勢いよく
自分の髪に掛けて「きゃ!」
あはは、とnaomiは笑う。
ちょっと、めぐよりは低いめの声が
なんとなく、大人っぽく聞こえるけど
同じ18才。
すらりとした脚を並べて、シャボン玉を立てている。
温泉だから、あんまり泡はたたない。
リサは「ごめんね、あたしのために」と
微笑みながら。
「おかげさまで。」と、れーみぃ。
アジアンのせいか、変な言い回し(笑)。
色白だけど、ころころとしていて
とてもかわいらしい。
香港がイギリス領だった頃、チャイナガールが人気だったのもよく分かる。
ヨーロピアンより、一緒でも若く見えるのも
女の子としては人気の秘密か。
若いと人気って言うのは、つまり
庇護の本能、なんて概念で言われるけど
赤ちゃんや、それに近いものを守る、慈しむ
そんな生き物の性質で
それがあるから、生き物は生き延びてこれた、らしい(笑)。
でもまあ、人間は増えすぎて
天敵が居なくなったから
人間同士で、生き残りゲームを始めたので
たとえば、外国の人が
この国の国鉄を、買収しようとしたりするのは
そういうひとたちにとっては、生き残りゲームのようで
楽しい、と言う事らしい。
愛する対象を持って、慈しむ気持になっている人々には
無縁の気分、だ。
慈しむ気持になるとき、ひとの心にはオキシトシン、と言う
ケミカルが満たされる。
から、魔法使いルーフィは
それを使って、ひとの心を癒そう、としたり。
めぐは、お風呂、大きな湯舟につかりながら
旅を回送する。
なんとなく、忙しかったけど
気が晴れたような、そんな気持ち。
リサにしても、旅の果て
駅前で、ロックを聞いたから
気が晴れた。
その事を、気づいてるのかどうか
ゆっくり、お風呂につかっている。
時々、旅に出ると
楽になれるってのは
普段の暮らしが、人間にとって
面倒なもので
いろいろ、変な約束事や
生きていくためのキマリごとが
めぐたち、若いひとには
ちょっと、向いていないような
そんな事もあって。
リサにしてみれば、これからの未来に
期待してたのに
外国のせいで、希望がなくなりそうな
心配ごとが起きたり。
そんな、変なおとなたちの
考えた事が、煩わしくなった。
リサの、ほんとの気持ちは
そんなところだったのかもしれなくて。
それで、若者のこころの叫びみたいな
ロックの音楽が、こころを解放した。
「でも、男の子ってどうしてこんなとこに
さわりたがるんだろ」って
リサは、お風呂につかりながら
めぐの方へ、微笑みながら。
その言葉を聞いて、めぐは
忘れていたルーフィの事を思い出す
そういえば、あの人は
わたしの胸にふれた、はじめての男の人。
なんて、思いながら
見ずからの胸を、撫でてみたり。
「でも、あれねー。ミシェルも
お姉ちゃんのおっぱいにさわりたがったんじゃない、ちっちゃい頃」って
れーみぃは、にこにこしながら。
「そんな事ないけど、だって」と、リサが言うと
naomiは「いまは、めぐのにさわりたいんじゃない?」と、綺麗なメゾで言う。
ちょっといたずらっぽく。
リサは「違うよ。ミシェルはまだ子供だもん。愛して貰いたいのよ。」
その言葉に、めぐは思う。
ほかの男の子みたいに、生物的な行動で
女の子に近づいてるんじゃなくて
ミシェルは、愛して欲しいんだな。
なんて。
でも、それだけに。
重い要求だな、なんて思う。
ルーフィさんみたいに、軽く
つきあいはじめてくれた方がいいのにな、なんて
思ったり。
女の子同士だと、どうして
こんなに、あけすけなんだろな、って
みんな、お互いに思ってるに違いないと
めぐは、思いながら
お風呂、温泉の湯舟から
空を見上げようと思っても
そこは、構内のお風呂場だから
目隠し代わりの片板硝子に
刻まれた模様の向こうに、ぼんやりと
夜の駅、構内を照らす照明が見えるだけ。
湿った木枠、錆びた木ねじ。
どこか、石炭がらの匂いがするような
古い駅には、独特の風情がある。
リサは、朧げに記憶がある。
この、お風呂場から
同じ景色を見上げたような思い出。
ひとりで、お風呂に入ったのかな?
それとも、おじいちゃんと一緒に
男湯に入ったのかな、なんて
想像して、ちょっと恥ずかしくなった(笑)。
幼い自分のヌードが、男たちに
見られていたのかな、と(笑)。
その、リサの回想は
ひょっとすると、ミシェルの言った事を
リサが伝え聞いた、イメージだったかもしれなくて。
そういう事、幼い記憶にはあったりする。
ずっとずっと昔の事、リサとミシェルのふたりが
おじいちゃんのところへ遊びに来た夏休み。
夜行列車で着いた朝、おじさんとミシェルは
一緒に、このお風呂へ。
たぶん、リサは
ひとりで、こちら側のお風呂場にいたの
だろう。
たぶん、エレメンタリースクールの
最高学年くらいだったハズだから
リサは、こちら側だったろう。
リサ自身が、もっと幼い頃に
夜行列車で、ここに旅した事もあるハズ
なのだけれど。
そんな、昔の記憶は
残念な事に、はっきり覚えてはいない。
でも、そういう頃の記憶が
ずっと、その後の生き方に影響したりするもので
そう、誰でも記憶が積み重なって
行動の様式が決まるけど
ずっと、幼い頃
自分が経験した事って、夢の中と
少し似てて。
まだ、自分の見方が決まってないから
積み重ねは、直接心に入ってて
それが後で、性格になったりする。
リサは、ふと
お風呂場で、温泉に浸かってて
おじいちゃんの事を思い出してて。
「そう、トム・ジョーンズ!」と
独り言を大きな声で言ったので、
naomiも驚いて、(笑)。
「あの、イギリスの歌手の?」と、めぐが言う、。
「ダイナミックだよね」れーみぃ。
そうか、と
リサはひとり合点。
自分が、駅前でイギリスのロックを聞いて
懐かしい、と思って
悩み事が吹っ飛んでしまったのも。
おじいちゃんの好きな、トム・ジョーンズに
似てる、力強いイギリスの歌だったから。
リサの音楽好きは、おじいちゃんの趣味だったんだ。
男湯は、おじさんとミシェルが
のーんびりと、温泉につかっていた。
男同士だから、気遣いをする事もなく、賑やかでもなく。
「おじさんは、どうして国鉄に入ったの?」
そんな事をミシェルは聞く。
「おじいちゃんがいたしな。他にこれといって」と
おじさんは、言う。
本当はカメラが好きなので、写真やさんを
しても良かった、とは言うものの
田舎なので、そういうもので
生きていくのは難しい、そういう事。
「人間は、なんで生きてるんだろね、おじさん」と
ミシェルは、中学生らしい尋ねをする。
おじさんは、にこにこして「なんで、って言うか
もう生きてるから、そう考える頭があるんだべ」と
ひいじいちゃんが
お坊さんだから
おじさんは、、さっすがに達観だ。
生きる事に意味はないけれど
前の世代が、生きて来たから
次の世代が残った。
その程度の理由はあるけど
もっと具体的な目的は、別にない。
せいぜい、恋して愛するのが目的。
そんなところだろう。
でも、それが大事ってことに
若いミシェルはまだ気づかない。
前の世代、親たちも恋して
愛して。
次の世代を遺すのは、生き物の本質。
誰に教わらなくても持っている。
でも。
子供を育くむのは、人間社会では
愛である。
技術も文化も必要な事だ。
そうして、おじさんもおじいちゃんに
育てられてきたのだし
同じように、リサやミシェルも
育てられてきた。
だから、鉄道の仕事をしている
おじいちゃん、おじさん。
その生き方が記憶に残って
リサやミシェルが生きていく。
それが、生きていく、って事。
おんなじふうに、炭坑で働いていた
トム・ジョーンズの力強い歌を聞いていた
おじいちゃん。
それが、記憶に残って
リサは、イギリスのロックで
おじいちゃんの風景を連想したり。
記憶ってそんなもので。
素敵なもの。
「もう11時か」naomiは、お風呂から出て
国鉄マークのタオル、昨日
寝台で貰ったそれで、肩を拭いながら。
均整の取れたスタイルは、美しく
ミロの彫刻のようで
妙に扇情的な感じはしない。
美と言うのは、そういうものかもしれない。
「今晩、どことまるのー?」なんて
れーみぃは、アジアンらしく
よく弾む声で。
なんだか、可愛らしいイラストの
大きめバスタオルを使っている。
色白で、naomiよりは小柄だけど
平均的な女の子らしい感じ。
それだけに、愛らしく
頼られたら、守ってあげられそう、そんな感じ。
「乗務員宿泊所に泊まれば?おじいちゃんの家に来てもいいけど、こんな時間だし。おばあちゃん寝ちゃってるから」リサは
国鉄職員っぽい。。(笑)
慣れてるんだろう。
「入れてくれるの?」めぐ。
うん、いつでも入れるの。24時間営業だし。
急に、列車が止まった時とかに備えて、って
リサはさすがにおじいちゃんの子。
同じころ、神様は
そんな、地上の様子を微笑ましく感じながら
(笑もちろん、風呂場を見ている訳でもない。神様は生き物じゃないので、女湯を覗く趣味もない)
こないだ思った、アメリカの神様への話を
メールしていた(笑)。
from kamisama@heaven.com ;
to god@heaven.am;
こないだの話だけど、やっぱし
この国のひとの幸せをなんとかせんとな、と思う。
いかにも簡単なメール(笑)
キーボードが苦手らしい。
すぐ、返事が来る。
Re;こないだの話
それはそうかと思う。アメリカは自由の国だけど
放任と言うのも良くないとは思う。
人間の欲望は限りない。
想像を、今はこのメールを送れるインターネットみたいに
手元でいくらでも検索できるし
頼みもしないのに、売り込んでくる。
そういう環境の違いもあるから、心
が乱されるんだな。
それは、アメリカだけの話じゃないから
11月、神無月に
日本で国際会議があるから、出雲大社で。
そこで、みんなで話するといいだろう。
ーーーーーと、アメリカの神様はそういう。
伝統的には、アメリカは自由の国だけど
キリストさんが神様。
でも、キリストさんは全国チェーン(笑)だから
どうも、違うひとみたい。
日本の神様は、たくさんいて
八百万、なんて言われているように
もともと割と、民主主義である(笑)。
みんなでまとまった神様。
西洋は、割とひとりの神様だったりする。
アジアンもそうで、仏様とか
キリスト様とか。
それが、日本は
なぜか仏様も神様も、キリスト様も
いっぱい居ていい、と言う和やかな国なので(笑)
そこで、国際会議を11月にすれば
喧嘩にならない、と言う面白い提案(笑)。
最近は、勝手に神様を名乗って独裁したい人間が、その八百万の頂点だ、なんて主張するけれど
その時点で俗物決定(笑)つまり神様ではないのだ。
いろんな人々の幸せを願うのが神様、なんだから。
だから、地震が起きたのは信心不足、なんて言う神様も偽物である(笑)。
幸せを願う心に、多い少ないはないのだから。
国際会議は、そういう議題もあって(笑)
11月に。
なので、ほかの国には神様がいなくなるので
神無月、なんて言われている。
神様だから、空飛んで来るから
一月かかるのだろうか(笑)。
この国の神様も、日本まで行かないとならない(笑)。
人間のフリをして、飛行機に乗って行こうか、なんて
いたずらっぽい神様でもある(笑)。
神様たちは、神様なりに。
地上のめぐたちは、めぐたちなりに。
それぞれ、精一杯に、幸せを願っている。
神様は、みんなの祈りを聞いて。
どうしたらいいのかな、と
いろいろと考える、のだ。
地上のめぐたちは、お風呂あがりで
いい気分。
「でも、よく考えるとさ。
上り2列車で帰れば良かったんだね」と
リサは冷静。
そういえば、そうだ(笑)。
リサの悩みも解消したから、整備した2列車
に
乗って帰れば、本当は良かった(笑)。
「でも、せっかく来たんだし」と
めぐも、楽しそう。
リサ自身の悩みは、解決したと言うよりは
しっかりと、心に決めてがんばろうと
そう思っただけ。
その、対決する相手になる外国の人達の
気持ちを、宥めて
この国の幸せを考えるようにしてほしい、と
そう願っているのが、天国の神様で
アメリカの神様とか、に
お話して、神様国際会議(笑)で
なんとかしようと、天国の神様は思ってるから
幸せになろう、って気持ちは一緒、みたい(笑)。
地上のめぐたちと、ミシェル。
「んだな、乗務員宿泊所だな」と、おじさんが
言うので
線路沿いを、駅と反対の方へ行く。
もう深夜なのに、明かりのついている
プチホテル、みたいな建物は白く。
綺麗な宿泊所。と
めぐは思った。
でも、upperfieldの宿泊所よりは
小振りで、落ち着いてるな、なんて
思い直す(笑)。
それは、都会とは全然違うけど
でも、最果ての地に相応しい趣があって。
そんな風に思うに似つかわしい
乗務員宿泊所は、夜遅いから
そろそろ、終列車を降りた乗務員が
眠りに戻ってくる頃。
静かに、静かに。
がらんとした玄関は、広くて
なんとなく、学校を思い出して。
めぐは「学校みたい」
れーみぃも「あーあ、思い出しちゃった。」
「宿題でも忘れたの(笑)」と、naomi。
「そういえば、わたしも授業サボってきたんだった」リサ。
「国鉄職員はもう、いいでしょ」と、れーみぃもにこにこ。
そんなふうに、少しだけ現実を思い出して
ちょこっとブルー(笑)な、JK4人。
でも、今は旅を楽しもう、なんて
ちょこっと現実逃避。
おんなじ旅でも、天上の神様も
やっぱりちょっとブルー(笑)。
「飛行機で、日本まで。それで。」
長い道のりを考えると、ちょっとうんざり。
「そうじゃ。」神様は思う。
めぐたちのように、寝台車で
大陸を渡って行こうかの?
なんて(笑)。
意外に気楽な神様である。
地上のめぐたちは、それでも
楽しそう。
その実、友人リサを心配した
思いやりの旅なのに。
そんなことを、リサが気にしないようにと
それも、思いやりで
楽しい、秋の旅行、そんなつもりで
振る舞っているうちに
本当に楽しくなってしまう。
みんなと一緒で、遊んでるんだもの。
それだけで、楽しい。
そんなものかもしれない。
学校の玄関みたいな、乗務員宿泊所は
なんとなく、懐かしいけど
学校が建った頃に作られたような、そんな感じ。
下駄箱と、簀の子の玄関
大きなガラスの窓は、枠が鉄で
白いパテで留められていて。
いまなら、さしずめアルミサッシなんだろうけれど
その重厚さが、時代もの。
今となっては、懐かしい。
ミシェルもおじさんも、もちろん一緒に
来る。
おじいちゃんは、この駅の駅長さんだったから
おじさんは、名士の跡取り。
どんなにか、気苦労もあっただろうけれど
そんな事を、気にもしないのか
それとも、無関心なのか。
おじさんは、のんびりとしているように見える。
「こんばん」と、おじさんはにっこりと
玄関から、入口にある管理人さんにご挨拶。
管理人さんは、どことなく
おじさんに似ている感じの、朴訥なお人。
田舎っていいなぁ、なんて
都会の人達は、こんな時に思うのだろう(笑)。
田舎の人達には、ただの日常である(笑)。
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