春休みJK探偵団～赤道殺人事件～

登記

輝彦は
その翌日、友里恵の言った「片野ベーカリー」の
登記を調べに、また法務局へ行った。

清算され、別会社が
焼きたてパンの会社を設立していた。

と、言うか
立ち退きで行政から資金が出たので、一旦
解散して、一部の社員を再雇用した、と
言う事のようだ。


そういう時、パートやバイトでも
再雇用されない場合もある。


例の悪辣主婦たちは、コンビニでも
閉店して、再雇用を避けられたくらいなので

当時も、問題を持っていたのかもしれない。
食べ物の工場などだと、よくある事で
パンやケーキを盗んでいく、くらいの事は
あったかもしれない。

友里恵の言う「ケーキ食べれて良かった」なんて
事が、そうあるとも思えない。



背景に貧困はあるだろうが、人の物を盗むのは
窃盗だ。



そういう事。


被害者意識のある連中、実は加害者だったり
する事はよくある。



追って、その事を地元警察に知らせて置いた。


捜査情報として、参考にしますとの
返答であった。


雑談しながら聞いた話では、その地域には
よくある事で、子供のいじめと同じ感じで

犯人像がよく見えない、との事。

万引きも、犯人を捕まえたところで
普通の子供で、誰かに脅されて
やらされているだけと言う事が多く
実行犯を捕まえても、万引きは減らないとの事。


今回は、たまたまコンビニオーナー
変死があって、それで発覚したが
ふつうは摘発に至らないそうだ。

「威力業務妨害にならないんですか」と、輝彦が
言うと
証拠を押さえれば摘発できるが、被害届がないと
捜査にならないとの話。


少々、輝彦は苛立ちを覚えたが
組織の一員では致し方ないのだろう。


それに、もう被害者は死んでいるのだ。


夫は、公務員らしく
波風立てないように、と
被害届を出すつもりもないらしい。


愛が醒めていた、との
憶測を、周囲の人は異口同音に語る。

その類推から、死の理由にも
興味はないらしいと思われている。


結婚した時は、それなりに評価があって
一緒になり
子供を育て上げた同士だと言うのに
それはないだろう、と

輝彦も思う。




そんな結婚はしたくないとも思う。




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要約すれば。

コンビニオーナーの死が、自殺でも他殺でも
結局は、人々の悪意が攻撃性を持ち、違法な
自力執行、つまり暴力を使ったのだから

司法はそれを処罰すべきであるが、
被害届がないため、捜査にも至らない。

被害届を出せない理由は、死したオーナーの
夫が、それを出すと不利益になるぞ、と言う
言外の脅迫が与えられているから、でもある。


その脅迫もまた、人々の悪意が
攻撃力を持った為の行為、である。


それでは無法地帯だ。
警察には、公安と言って
被害届けがなくても、
市民の安全を守る部署があるが

そこでは、刑法犯の検挙はできない。


組織の理由で、人々の心が蝕まれている。
そんな事があっていいのだろうかと
輝彦は思った。


以前は、そういう奇妙な社会構造は

日本では、ごく一部の閉鎖された闇社会には
存在した。


その、闇社会が。

表社会に出てきてしまったのは

明らかな異常である。



輝彦はそう思った。
悪い事が蔓延るのは、悪い者を
見逃すからである。

撲滅すべきだ。


愛しい者たちの社会を守る為。


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つまり、法律に反しているのだから
厳しく取り締まれば良いのに
手緩いから、勝手に
多勢が不勢を殺めてしまう。

やはり、根本から解決しなくてはならない。

そう思った輝彦は
その事実関係を全て、ルポにして
新聞社系の雑誌社に売った。

公表されてしまえば、地域社会がどうであれ
警察も、市役所も粛正を要求される。


コンビニオーナーの死因から
他殺の可能性あり、との事で
本格的な捜査がなされる事となった。



呪い、それは人々の心の中にある
悪意であった。

それが、人々自身をも蝕む呪いなのである。



警視庁が捜査に乗り出す事、となった。