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人を好き
しおりを挟む人を好きになるのは
人間の生、だから仕方がない。
どうしようもない。
なので、できれば
そういう人の助けになりたいと思うのは
ふつうの考えだと、輝彦は思っている。
これまでも
輝彦の事を好んでくれた人は
いなかった訳ではないけれど
友里恵ほどは激しい感情を見せなかったような
そんな気がする輝彦であった。
それでいて、輝彦の事を思いやって
自分から身を引こうとした彼女。
それゆえ、忘れられなくなる。
友里恵があと2年くらい経って
気が変わったなら、それは仕方がない事
だとも思う彼だった。
そのくらいは、してあげたい。と。
捜査の経過を聞き、
「なんでそんな事するんだろね」
友里恵はそう言い、もう、いなくなった人は
帰ってこないし。
お店は元に戻らないし。
もう、いっかな(笑)
「あたしたちで、お店を持てば、何かの」
と、そんな事を言うので
この捜査は止めようか、と......。
そんな風にも思った輝彦であった
それを、由香に話すと
「ダメだよー、せっかく調べたのにー。」
と言う事なので(笑)捜査続行。
熱血青島刑事(笑)さすがである。
徒労感に苛まされても、正義を貫こうと言う
姿勢は立派である。
それも、若さ故、の事だろうか。
学ぶような気持ちになった輝彦である。
気を取り直して、図書館で
住宅地図を見て、あの
悪辣(笑)パート主婦たちの苗字を
当たってみる。
由香の言う通り、赤道のそばの
アパートに住んでいた。
..たぶん、近所付き合いで
西の森へ転居した人の話、
その土地が、今度は
行政に取られてしまう話、などを
聞いて。
徒党を組んで、復讐を企んでいたのかも
知れない。
しかし、法的には
身よりの無い人が、財産管理出来なくなれば
管理人を立てるのは正当である。
普通、戸籍を当たって
親類に任せるのだが。
なぜか、養子縁組が
すんなり行われているので
親類より、養子になった
元オーナーのところへ
土地が生前贈与された。
その事実で、家庭裁判所が
後見人として認定。
つまりは、その養子縁組が
おじいさんの正しい判断で行われたか、が
焦点になると
輝彦は思った。
もし、認知症になってから
処理が行われていれば
無効で、契約は
その時点に戻って破棄される。
医療記録があればなぁ、と
ふと、輝彦は思った。
健康保険のデータベースで
容易に調べられるから
公務員の、オーナーの夫は
そんなヘマはしないだろう。
それで、コンビニを開いたのも
誤算だった。
そこを、攻撃対象にされたので
元オーナーは、精神的に参ってしまったのだろう。
その推理が事実なら、輝彦が
経営すれば
嫌がらせは無くなる事になる。
「それでか.....」
回顧すると、友里恵に
コンビニ経営を夢見させたのは
そのふたり、である可能性が高い。
そうして、実質的に
自分の店にするつもり、だったのだろうか。
それも、暴力団が
よく使う手法だ。
「うーむ...。」そんな汚いところに
友里恵を置かなくてよかったと
輝彦は思う。
元オーナーが死んだので
チェーン本部が、経営に乗り出したから
そんなパート主婦の悪知恵など、ひとたまりもない。
解雇してしまえばいいのだから(笑)
土地を巡るいざこざに無関係な
本部は、あっさりと解雇を行うけれど
労基法上、解雇の正当性が問われるので
閉店、として
使える従業員だけを
他の店で再雇用。
定石である。問題はない。
「何かあるとすれば、解雇された主婦たち
だろうな....」
と、輝彦は類推した。
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