DiaryRZV500

深町珠

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夜の旅

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大学の子らも、バイクに乗ってる子は居たけれど
なにせ東北である。

仙台あたりだと、冬の間は全く乗れないので
6月ー10月くらい。

VF400Fとか、VT250とか。
なぜかホンダが多いのは不思議だけど。


「やっぱ箱根かなぁ」と、俺は思った。

走れる場所があって、いつでも走れて。
そういうところだとバイク乗ってても楽しいけど。



[大型免許]


その頃は教習所で限定解除が出来なかったので・・・

「750ですかー」と、びっくりする学生たちだった。


鮫洲なんかだと合格率0.3%とか言われていた。
地域とかにもよるらしいけど。


それで、俺が中型=>限定解除

4回で取れた
だと言うと「すごいですねー」と。由紀子ちゃんとか。


・・・・Yは、面白くない(笑)。昔の免許だから。


まあ、この数年後、教習所で取れるようになって
その免許ステータスも、無くなる(笑)。


俺は、なんとも思っていなかったが。
そんなに苦労して取った免許でもなかったし。


Yの時代は、125ccで実技試験をした、と言うくらい
いいかげんなものだったから、誰でも取れた。

もう少し前は、大型(4輪)のオマケで付いて来たとか聞いた(笑)。


ステータスとか、そーいうもので区別するのはあんまり好きじゃないけど
RZV500とかΓ500が売れなかったのは、その免許制度のせいが少しあったのかもしれ

ないな、と思う。


苦労して取ったら、大きいの乗りたいもん。

俺だって、取ったばかりは750に乗っていたし。





CR-Xで仙台行ったのは、元々俺の趣味じゃなくて
最初は、柏のお父さんのところまで行って。Yもそこに出てきた。


のだけど、Yが、自分のアパートに戻りたがって
仕方なく(笑)。

だから、帰りはひたすらひとりで走るので、嫌になってしまった(笑)。


今考えると仙台港からフェリーに乗れば良かったと思うが
そんなことは考えつかなかった。


朝、仙台を出ても家に着いたのは夜中だった。
途中で何度も寝たし。


サービスエリアが、なんとなく好きで。
特に夜中のサービスエリアで珈琲を、レストランで飲むのが
なんとなく好きだった。


バイクでの旅もいいけれど、クルマだと
そのまま寝られるので、少し寝たりしながら、のんびり、のんびり。

こういう旅はひとりがいい。


耽られる、と言うか。
旅情を感じられる。





家に帰ってからも、大学の連中から電話が時々。手紙もあった。
今みたいなインターネットがあれば、もっと続いたかもしれなかった。


茨城の、あの、Yが犯した女の子からも時々電話があって
「ロック、どうですか?レコード出たら買います」なんていうので

夢を壊さないほうがいいかな、と、適当に合わせていたけれど。

その後、Yが犯すとは思っても居なかった。




家に帰ってから、俺は「大学行こうかな」なんて思った。
金はなかったが、借りられる事も知っていた。

それで、バイトしながらハローワーク(今で言う)に言って調べて貰った。
当時の職安は、とっつき難かったが、親身になってくれて
いくつかの大企業で、そういう制度がある事を教えてくれた。

親父のごたごたも、大方片付いたし・・・・。
ミュージシャンは、学生しながらでも出来そうだなと
Yのキャンパス・メイトたちを見ながらそう思った。


それで、いくつかある候補に応募したら、ひとつ合格した。
それが、芝浦にある電気メーカーだった、と言うワケ。


1989年の事である。
バブル景気、なのかもしれないが
まだ、終身雇用の時代。若い社員を育てて、会社にずっと居てもらうと云う
そういう思想の時代だったのが、ラッキーだった。


その少し後、派遣、みたいに
使い捨てになるのだけれども。
1989年は、その最後の年だったのかもしれなかった。


その頃、金が無くなり・・・。俺は、なじみのバイク屋の親父さんに

「RZV売ります」と言った。

親父さんは何も言わずに、金を出してくれて「預かっておく。金が出来たら
買い戻せ。他の誰にも売らん」と。



なぜ?と尋ねると

「あんたの乗り方が合ってる、あのバイクは」と。そう言った。



サラリーマンになって、最初のボーナスで買い戻すのだが。


この時のことは今でも忘れない。



その親父さんも、もう・・・・天国である。
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