DiaryRZV500

深町珠

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音楽とイメージ

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2003年頃の俺は、ホントにどん底の気持だった。
安泰だったサラリーマン生活が終わり、これからどうして生きていけばいいかと
思っていた。

幸いだったのは、自身、エリートではなかったので
積み上げたものは何も無かった、と言うあたり。


音楽の話で言うと・・・・その頃、ラジオで聞いた
「アンビシャス・ジャパン」に、とても感動したのを覚えている。

郵便局の仕事を19時半で終え、帰宅して21時頃。
それから寝て。

朝5時からコンビニ。
9時に終わり、帰宅。

少し寝て。

昼ごろ起きると、NHKラジオで「ひるのいこい」と言うのどかな番組が流れていて
そこで流れたのだった。


希望を忘れちゃいけないな。


そういう、’70s的なものを感じて、落涙した。

かなりダウンしていたのだろうと思う。

70年代にはそんな音楽もあって、和田アキコの(60年代の終わりかと思うが)
「あの鐘を鳴らすのはあなた」とか

それに感銘を受けた事をよく覚えている。
小学生だったので、クラスの文集に「好きなタレント」と言うアンケートがあって

和田アキコ

と書いたところ、大いに受けた覚えがある。

大真面目だったのけれども。



それに近い、希望、を感じたんだった。


もうひとつは、友里恵たちに出会ったことだった。


友里恵は、当時17才で
かわいい、と言うだけで高校でいじめられ、高校を辞め
バイトしながら専門学校に行っている子だった。



由香はその親友で、友里恵を守ってあげた子。



この子たちがとてもまっすぐで。

「悪い奴らに屈する位なら学校なんて辞める」と、潔く。
正義のある子らだった。


やっぱり70s、みたいな希望を感じた。


由香は特に偉くて、友里恵をいじめる、なんて事をしないと
自分が被害に遭うのだが、ものともせず。
学校に留まったし、友里恵を守ってあげていた。


70sは、みんな、そういう女の子たちだったから
俺は、とっても嬉しく思って。


友里恵の両親も偉く、「そんな学校は行かなくていい」と
別の道を探してあげた。


・・・・そういう、友里恵たちに比べると
郵便局のH奈々子ちゃんとか、美里とか

やっぱり、天地ぐらい違う。

そう思った。

自分の保身しか考えていない、と言うのは。


見た目がどう、と言うのではなくて、魂だと思う、それは。






友里恵は、2stのクレア・スクーピーに乗っていたから

「やっぱ2stかな」なんて俺は思ったりもした。





オートバイに乗る奴らと言うのは、やっぱり
こういう奴らであってほしい、と思う。

特に2stね(^^)。



こういう子らは、助けてあげないといけないなと
俺は思った。


同時に、希望が沸いてきた。
まだ、こういう子が世の中に居るんだ、と。
別に、自分の掌中に収めようとは思わなかったが
そういう子たちがひとりでも居れば、その子の為に生きていくのも
悪くない人生だろう、そう思った。

カップルにはならなくても支援は出来る、そう思った。


・・・どちらかと言うと、カップルになると面倒だとも思ったが(笑)。


当時の自分が40歳を過ぎていて、これから結婚、などと言うのは
遅すぎる選択だし
子供が成人するまで働けると言う可能性も無かったし。


まだ、フリーで仕事が出来ると言う自信も無かったし
そんな要望も無かった頃である。




一見、すれっからしみたいに見えた友里恵たちは
実はいい子だったり、そういう事が判った時だった。




すれっからしの演技をする事で、ヘンな連中が寄ってこないように
防衛しているのだった。



なので、彼女たちは

周りに人が居ないと、急に可愛い子になる。
それも、とても面白かったし
それだけ、世の中が危ないんだなぁと不憫に思った。



・・・・音楽の話を絡めると、TVドラマの劇伴作家で
城ノ内ミサ、と言う人の書いた「舞い降りた天使」と言う曲に
そんな一節があった、と・・・思い出したりした。


泣けないから、すれた演技をしている。そういう一節だった。


ドラマでは、NHKの時代劇に出ていた・・・なんだっけ。
高橋かおりちゃんが、おかーさんの再婚に馴染めなくて
ヤサグレてしまう・・・と言う話。

そこを、下町の、今で言う放課後ケアみたいなホテル(?)で
人情に触れて、心を解いていく・・・と言う、いいオハナシだったのだけど
なぜか人気が出なかった(笑)。

その、下町の、路地裏の向かいに住むお姉さんが(音大かどっかの)人で

ミサさん自身がピアノ弾いて歌ったりする。お芝居もするけど
たどたどしくて、とても可愛かった(かおりちゃんより可愛かった)(^^;


俺の好きなものは大抵人気が出ない。SR,XV,XS,RZV。RC17、KR。


SRも、発売当初は全く不人気で・・・・。雑誌「ヤングマシン」の人気投票に

「あの屁のような排気音、ヤダネー、ヤマハの目立ちたがり」なんて書かれていた(笑)。


まあ、4気筒流行りなのに敢えて出す単気筒。それはとってもいいと思う。
男はそうでなくてはダメだと思う。「俺はこれなんだ!」と言うか。


RZVもそうで、最初の20年は下取り15万くらいだった(ホントである)。

そのうち、みんな転んで壊して、残存数が無くなったので
今、新車だと300万だとか(笑)。

まあ、アレを300万だして買う人はたぶん投機だろう。




それはさておき。


そういう「舞い降りた天使」みたいなサウンド・イメージも自分の中にあったのかもしれない

けど。


打算と偽善ばっかの人間たちの中で、友里恵や由香はとても清々しく思えた。


(まあ、それなりに計算はあるとは思うが、でも、騙したりはしない。

友里恵は最初から、高校中退で、家出少女だった。こんな私をどう思うか?と
尋ねてくるような子だった。)



郵便局の美里が、離婚歴を隠したりするのと比べると・・・・。

ね。


隠したってバレるに決まってるのになぁ・・・と。




オートバイで言えば、ダメ・エンジンをコンピュータ制御で誤魔化して
走るのと似ている(笑)。

そんなものが面白いわけがない・・・と、思うのだが。


MotoGPも、4輪のF1もそうなっていて、制御で誤魔化さないと走れないような
代物である。


なので人気が出ない(笑)。アタリマエである。心はどこにある?と思う。

好きだ、と言う心。


騙す奴を好きになれるか?

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