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やっと出会えたSL
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田舎だと、農家が多いし
鍵なんて掛けようもない。
盗まれたって、見渡す限りだから
ヘリコプターで行かないと捕まってしまう(笑)ので
のんびりしたものだった。
「さて、水道の栓はどこだろう」と、リサは降りて。
「その前に宿舎だね。荷物置いとけるかどうか」と、Naomi。
「ああ、そっか」と、リサ。
めぐとれーみぃは降りてみて「ここなら平気っぽいね」と
昼間なのでそう思った。
線路はしかし、まだ輝きを失っていない。
廃線して間もないからだろうか。
610mmの細いレールは、国鉄の1053mmを見慣れると
遊園地のおもちゃ鉄道みたいだ。
「あ、あった」と、レールを辿ってれーみぃが見つけたのは
木造屋根の下にあった機関車。
それは、黒くて小さくて。
煙突も短くて、可愛らしい。
ボイラーも細めで軽快。
「坊やのちんちんみたい」と、れーみぃ。
めぐは、ちょっと恥ずかしそうだけど、吹き出した。
「そういう事言うかなぁ、まあ、らしいと言えばらしいかも」
小さな動輪二つ。
それだけの車輪がボイラーの下にあって
運転席は、車輪より外にある。
でもまあ、屋根はあるものの
運転席は狭いし、天井は低い。
「リサ、屈んでないと乗れないね、これ」
と、めぐは運転席の、ドアの無いよこから見てそう思った。
水タンクはサイドで、後ろに石炭。
動輪をつなぐロッドは綺麗にグリースが塗られていて、錆びていない。
「これなら、すぐ使えそう」と、れーみぃが見ていると
めぐは「他にも機関車があるね」と
車庫らしい、スレート屋根の奥を見た。
にたような雰囲気の機関車だけど、ダイアモンドスタックの煙突で
ボイラーも太目。
「ケー100みたいね」と、れーみぃ。
「なにそれ」と、めぐ。
リサはふたりを追って「あ、いたいた。これかぁ機関車。乗れそうじゃない」と。
運転席に上がって「狭いなーぁ。」
Naomiも「ああ、これかぁ。ディーゼル機関車もあるね」と
分岐しているレールの先を見た。
もう少し新しそうな感じで、貨車の入れ替えに使っている感じだった
緑色に塗られたディーゼル。
「とりあえずは、ディーゼルで線路点検した方が良さそうだね」と。Naomi。
「おばあちゃんは?」と、めぐ。
「ああ、車でどっか行った。ご近所になんか聞いてくるって」と、リサ。
「荷物は?」と、れーみぃ。
「あんたらのも下ろしてある」とリサ。
ごめーん、とめぐと、れーみぃ。
「どこに下ろしたの?」と、めぐ。
「とりあえず事務所に下ろしたけど、宿舎行って見る?
でも、荷物置いて駅に泊まるのはちょっと不安だね。」とリサ。
めぐとれーみぃは、事務所に行ってみた。
普通の、田舎によくある古い工場の事務所だけど
引き戸に鍵は掛かる。
事務所とは別に、工場は広くて
いろいろ、判らない機械があった感じ。
全部売却されたのか、今は地面に跡があるだけ。
その工場の奥に、宿舎があるようで
がらーんと広い。
昼間はいいが、夜はさぞかし....。
「不気味だね、昼間でも」と、れーみぃ。
めぐは「ここに泊まるのは、勇気だね。」
リサとNaomiは戻ってきて「やっぱ駅かな、こりゃ。」
そうだねぇ、と顔を見合わせて笑った。
おばあちゃんの自動車の音がして
バン、と
ドアの閉まる音。
「あー、ここに泊まるのは怖いべさ。ばーちゃんとこでも駅でもいっけ。
ここは止めときナ。」と、おばあちゃんはにこにこ。
行かないとわかんないなぁ、と、4人は苦笑い。
「おばあちゃん、ご都合はこれから?」と、リサ。
「なーも、野良を午後、してから夕方帰る。あ、それからなぁ。ご近所に
聞いてきたけんど、井戸があっから、それ使えって。裏にあるとか、工場の。
電気は、電柱から引っ張ってあるから、事務所は点くけんど、中に
灯りがあるかはわからんと。ガスは、プロパン屋呼ばないとダメ」
「プロパン屋って?」と、めぐは判らない。
リサは「ああ、昔見たことあるよ。ボンベで運ぶの。でも、お昼だけなら
ガス引かなくてもいいんじゃない?」
Naomiは「工場の方で溶接とかで使うかもしれないから。酸素とか。
そっちで聞いてみるよ、国鉄で。」
「なんか、楽しくなってきたね。キャンプみたい」と、めぐ。
れーみぃは「それはそうだけどさぁ、だーれもいない田んぼの中ってのもさ。
夜は怖いよ。工場って人が一杯居ればそうでもないけど。
がらーんとしてるとさーぁ。お化けでそうで。」
と、薄暗い工場を振り返って。
「こんなに広いなら、売却しても良かったんじゃないかな?」なんて
思ったりもした。
鍵なんて掛けようもない。
盗まれたって、見渡す限りだから
ヘリコプターで行かないと捕まってしまう(笑)ので
のんびりしたものだった。
「さて、水道の栓はどこだろう」と、リサは降りて。
「その前に宿舎だね。荷物置いとけるかどうか」と、Naomi。
「ああ、そっか」と、リサ。
めぐとれーみぃは降りてみて「ここなら平気っぽいね」と
昼間なのでそう思った。
線路はしかし、まだ輝きを失っていない。
廃線して間もないからだろうか。
610mmの細いレールは、国鉄の1053mmを見慣れると
遊園地のおもちゃ鉄道みたいだ。
「あ、あった」と、レールを辿ってれーみぃが見つけたのは
木造屋根の下にあった機関車。
それは、黒くて小さくて。
煙突も短くて、可愛らしい。
ボイラーも細めで軽快。
「坊やのちんちんみたい」と、れーみぃ。
めぐは、ちょっと恥ずかしそうだけど、吹き出した。
「そういう事言うかなぁ、まあ、らしいと言えばらしいかも」
小さな動輪二つ。
それだけの車輪がボイラーの下にあって
運転席は、車輪より外にある。
でもまあ、屋根はあるものの
運転席は狭いし、天井は低い。
「リサ、屈んでないと乗れないね、これ」
と、めぐは運転席の、ドアの無いよこから見てそう思った。
水タンクはサイドで、後ろに石炭。
動輪をつなぐロッドは綺麗にグリースが塗られていて、錆びていない。
「これなら、すぐ使えそう」と、れーみぃが見ていると
めぐは「他にも機関車があるね」と
車庫らしい、スレート屋根の奥を見た。
にたような雰囲気の機関車だけど、ダイアモンドスタックの煙突で
ボイラーも太目。
「ケー100みたいね」と、れーみぃ。
「なにそれ」と、めぐ。
リサはふたりを追って「あ、いたいた。これかぁ機関車。乗れそうじゃない」と。
運転席に上がって「狭いなーぁ。」
Naomiも「ああ、これかぁ。ディーゼル機関車もあるね」と
分岐しているレールの先を見た。
もう少し新しそうな感じで、貨車の入れ替えに使っている感じだった
緑色に塗られたディーゼル。
「とりあえずは、ディーゼルで線路点検した方が良さそうだね」と。Naomi。
「おばあちゃんは?」と、めぐ。
「ああ、車でどっか行った。ご近所になんか聞いてくるって」と、リサ。
「荷物は?」と、れーみぃ。
「あんたらのも下ろしてある」とリサ。
ごめーん、とめぐと、れーみぃ。
「どこに下ろしたの?」と、めぐ。
「とりあえず事務所に下ろしたけど、宿舎行って見る?
でも、荷物置いて駅に泊まるのはちょっと不安だね。」とリサ。
めぐとれーみぃは、事務所に行ってみた。
普通の、田舎によくある古い工場の事務所だけど
引き戸に鍵は掛かる。
事務所とは別に、工場は広くて
いろいろ、判らない機械があった感じ。
全部売却されたのか、今は地面に跡があるだけ。
その工場の奥に、宿舎があるようで
がらーんと広い。
昼間はいいが、夜はさぞかし....。
「不気味だね、昼間でも」と、れーみぃ。
めぐは「ここに泊まるのは、勇気だね。」
リサとNaomiは戻ってきて「やっぱ駅かな、こりゃ。」
そうだねぇ、と顔を見合わせて笑った。
おばあちゃんの自動車の音がして
バン、と
ドアの閉まる音。
「あー、ここに泊まるのは怖いべさ。ばーちゃんとこでも駅でもいっけ。
ここは止めときナ。」と、おばあちゃんはにこにこ。
行かないとわかんないなぁ、と、4人は苦笑い。
「おばあちゃん、ご都合はこれから?」と、リサ。
「なーも、野良を午後、してから夕方帰る。あ、それからなぁ。ご近所に
聞いてきたけんど、井戸があっから、それ使えって。裏にあるとか、工場の。
電気は、電柱から引っ張ってあるから、事務所は点くけんど、中に
灯りがあるかはわからんと。ガスは、プロパン屋呼ばないとダメ」
「プロパン屋って?」と、めぐは判らない。
リサは「ああ、昔見たことあるよ。ボンベで運ぶの。でも、お昼だけなら
ガス引かなくてもいいんじゃない?」
Naomiは「工場の方で溶接とかで使うかもしれないから。酸素とか。
そっちで聞いてみるよ、国鉄で。」
「なんか、楽しくなってきたね。キャンプみたい」と、めぐ。
れーみぃは「それはそうだけどさぁ、だーれもいない田んぼの中ってのもさ。
夜は怖いよ。工場って人が一杯居ればそうでもないけど。
がらーんとしてるとさーぁ。お化けでそうで。」
と、薄暗い工場を振り返って。
「こんなに広いなら、売却しても良かったんじゃないかな?」なんて
思ったりもした。
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