やさしい気持ち~evergreen~

深町珠

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---------------------[短文のコーナー]------------------------------------

[Raindrops]



雨は空の涙。
どこかで聞いたそんな一節。

旧い小説、だったかしら....

あなたを想うと、空の色、なぜか違って。



.....叶わなくったって、届かなくったって。
.....それでも、私....いつだって。



涙、こぼれそう。

空を、見上げて...でも。


一粒の、fall-in。



雨は、空の、涙。

私の想いも、涙になって。
届けばいいのに、あなたのとこへ。

雨と一緒に、こころ、ひとつぶ。
空の果てから、舞い降りて。

あなたを濡らす、雨の雫は。
私の、涙の、ひとしずく.....。





---------------------[長文のコーナー]------------------------------------



[今はまだ遠い....]




午後の校庭。


木もれ陽あびて、少女はひとり。
利発な感じの、横顔も。

今日は....なんだか曇りがち?

ひとり、うつむき、もの想う.....。




先輩?


私....どうかしてます。
だって、あんな...。
あんな..ことって。

どうしてなんだか、わからないんです。
でも、

先輩の顔、見ていたら....。
なんだか、涙。
こぼれてきちゃって。




目の前に、すぐ目のまえに。
でも、
手をのばしても....届かない。

そんな気がして。





彼女、視線はうつむいたまま。

こもれ日は、ゆらゆらゆれて。
光の珠で、優しく包む.....。



はるかな、記憶に、かすかに残る、
母のぬくもり、ゆらゆらり...
ゆりかご、ゆれて、そよ風と。
ふわり、さわさわ、ゆらゆらり...。


そんな、思い出、想いだし。
少女のこころ、穏やかに。



ふと、見上げれば、梢の若葉。
みどり、くまどり、あおみどり...。




ゆれる木の葉が、光を浴びて。
光の珠で、語りかけてる。


「元気、だしてね。」
「だいじょうぶ?」


「.....。」



.....もう、だいじょうぶ。ありがとう。
  元気をくれて、ありがとう。
  いつか、いつにか、この場所で
  あなたの幹の、その前で。
  こころ、想いをつたえたい。
  そう願います。いまは、ただ。
  そう信じます、叶うって。




.....勇気、ください。ちょっとだけ。




そらを、あおいで。微笑む少女。

想い、信じて、真っ直ぐに。
瞳のいろは、いつもの色に。
若い、煌き、映してる....。


「よし!」


さっと振り向き、歩きだす。




....いつもの、感じに、もどってる。
  ちょっと、勝気な、16歳.....。





「あ....。」


ニ羽のつばめが、たわむれながら。
すいと目の前、すり抜けた。
緩いカーヴを、見事に描き、
高い空へと、飛翔して..。


「夏...か。」






「なにか、いいことあるかな...。」















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