2 / 23
冬
しおりを挟む---------------------[短文のコーナー]------------------------------------
[Frost flower poetry]
ロッヂの朝は、ひっそりと。
遠く、滑らかな曲線を描いた稜線。
白く輝く、峰峰。
遥かに高く、尖鋭に、蒼く。
吐息が白く、凍りつく。
扉の硝子に、雪の結晶。
外に、でてみようか。
深雪は、さっくりと。
踏音だけが、爽やかに..。
白樺の木に、氷の華が。
朝日を浴びて、透明に。
白く輝く(Alpion)。
霧氷の梢(Frost flower)。
指で、そおっとふれてみる。
さらりと白く、さりげなく。
氷の粒は、零れて落ちる...。
「....だめ!....」
誰かの声が。
「・・・?」
だれも、いない。
確かに聞こえた、ような、気が。
不思議な感覚 ゆめ現...。
朝日が昇る 空を染めつつ
ゆっくり、静かに、あかあかと。
梢の雪も、とろけ始めて。
雪の雫を、深雪に。
短い命の、終わりのように、
雪の雫が、零れて落ちる。
フロスト・フラワー・ポエトリィ
掌の 霧氷のかけらも
涙のあとの ようだった...。
---------------------[長文のコーナー]------------------------------------
[海沿いの駅にて]
日曜日の通勤電車は、どこか寂しい。
普段、見ている電車なのだけど。
ガーター高架ホームで、僕は電車を待っていた。
快速電車が駆け抜けて行く。
赤いボディに、白のライン。
吹きぬける列車風に、すこし、潮の香り。
夏は、もうすぐかな。
ふと、対面を見る。
風に吹かれたおさげ髪。
古典的な、しかし気品のある風貌の少女は、ミディ・スカートを
なびかせていた。
どこがどう、というのではないが、緊張感が。
僕にも、あんな頃があったな..。
永遠が存在する、と信じられた。
夢を信じられた。
まっすぐに、人を愛せた。
心に、淀みが無かった。
何も、おそれるものは、なかった....。
もう、初夏のように、陽射しがエナジィを強める。
海風が、また、さっぱりと。
対面ホームの到着アナウンスが。
滑るように、がら空きの電車が入ってきた。
ドア・エンジンが動作する。
少女は、ロング・シートに人物を見つけると、表情を崩す..すこし俯く。
ほぼ無人の電車に乗りこみ、微妙な間を空け、少年の隣に。
車掌のホイッスル。
ドアは閉じ、列車は唐突に走り出す。
二人、ならんで窓の外、眺めている...。
なにも、語らず、楽しげに。
その様子が、焼きつく。
残像。
過ぎ去った記憶が、flush。
over-lap。
赤い電車は、スピードを上げ、走り去る。
彼等の未来へ、向かうかのように。
ノスタルジィを、置き去りして、
過去から未来へ、走り去る.......。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる