タビスルムスメ

深町珠

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モバイルスイカ

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その頃、人吉・日光家。

早々に出かけようとした恵は・・・・真由美ちゃんのお母さんに
捕まって(^^;


リビングに。


お母さんは「この度は誠に申し訳ありません」

と、深々と頭を下げる。


恵も「あ、私酔ってましたので。覚えておりません」


と、ふつうの顔(笑)。



お母さんは「いいえ、そうは行きません。責任を取らせて頂きます。
夫の代わりに息子ではいかがでしょうか?
若いですし。元気です」

恵、驚く。「えー!」びっくりマーク100個。(^^)


冗談がきついなぁと思った。


お母さんは「驚きには値しません。恵さんのお気持次第ですが。
責任を取るには、最適な方法かと思います。」


真面目な顔で冗談(笑)


恵、一応困った顔の演技。


・・・・まあ、冗談だろう・・・・。と、内心(笑)。



キツネとタヌキの化かしあい(^^;


「なによりも、ご本人のお気持が・・・。」と。
定番。

お母さんはにっこり「はい。あの子には私から話しておきますが・・・。
取り合えず、お付き合いしてみては?」

半分マジかも(笑)



恵は

・・・・・ちょっと、困ったなあ・・・・。


そりゃまあ、イケメンだし。真面目そうだけど・・・・。

ねえ、いきなり結婚だなんて。

牛の種付けじゃあるまいし(笑)。



と、少し真面目に考えたり(^^)。




でも、取り乱す人では、ない。

流石は車掌、Train conducterである。

「淀みなく考え、最も安全な道を進め」(国鉄車掌心得)(^^;

である。

なので、恵は最も安全な道を・・・・と。


「わたくしは、このへんで・・・。お世話になりました」と。お辞儀して。


逃げる(笑)。



・・・・いきなりねぇ。
やっぱり、友達になったり、スキになったり。
そういう・・・・経過がないと、なんとなく。


とは思った。

真由美ちゃんは「お見合いも、いいところはありますね」と、言っていたけど。



「でも、結婚するために付き合うってのも・・なんか」

モノモノしいなぁ、なんて思う(笑)。オトメちゃんな恵だったり。



真由美ちゃんのお母さんは
「あら、朝ごはんがまだ・・・。」と言って、引き止めたけど。


恵は、それで・・・日光家を後にした。



出てみて。


「ここどこだっけ?」(^^;


夕べ、車でつれてきてもらったから、わからないのだった。


「まあ、なんとかなるだろう」と。
方角を見て。

低い方へ行けば、川か、街があるかな、なんて思って
歩いた。









友里絵たちは、KKR南阿蘇の206号室にお別れのご挨拶。

「お世話になりました」と、友里絵。
お部屋を出る時に、お辞儀。

菜由「なんか、淋しいね」

愛紗「ずっと居たいけど」

由香「次が待っている!」と、左手を上げて、前を指差す。

「前方よーし」と、友里絵。


由香「雨だからかな、なんか気持が沈みかち」

友里絵「女の子みたいなセリフ」


由香「女だよ」と、空手ちょっぷ!

友里絵「知らなかった」


菜由「ははは、ま、一応みんな・・・♀だろ」

由香「まあ確かにね、生物学的に」


友里絵「おー高学歴芸人!」
と、茶化す。


由香「誰が芸人やねん」


愛紗「バスが10時8分だから・・・でも、早く来るかもしれないし」


菜由「そうだね、早着ってあるね。まあ、出ては行かないと思うけど」


友里絵「並んでないと座れないかな」

由香「平気じゃない?木曜だし。きょう。10時じゃみんな、居ないよ」


お部屋を出て、エレベータで1階に下りて。
ロビーは、がらんと広い。

「もう、誰もいないね」と、友里絵。

由香「そりゃーそうだよ。堅気の衆は働いてるよ」

友里絵「ららちゃんも学校だし」

菜由「電車通学なんだ」

友里絵「うん。でも大岡山でもそういう子もいたじゃん。埼玉から通ってくる子とか」

由香「ああ、なんか・・そっちで行く学校が無くなって。」

菜由「でも入れてくれるから偉いね」

友里絵「大岡山はね。埼玉よりは田舎だし。のんびりしてるから」


由香「友里絵はそこでもダメだった」(^^)。

友里絵「丸出だめ夫」

菜由「それは流石に誰も分からんだろ」


友里絵「がんばれロボコン」

菜由「それは最近」


由香「高校のロボコンってそこから来たって、ホント?」

友里絵「知らない」

由香「あんたに聞いてないってば」


友里絵「一応相方だから」


由香「誰が相方やねん」

愛紗「あ、バス来たね。」


10時6分。


だーれも待っていない。でも、ちゃんと待ってくれる。


「偉いね」と、友里絵。

由香「行っちゃうかと思った」


愛紗「路線だと良くあるものね」


停留所が多いので、途中で早すぎちゃうこともあるから
少し遅めに出て行って。

早く行ってしまうと、乗れない人もいる。




昨日と同じ、小型なバス。
白と青の塗装が、なんとなく国鉄っぽいな、と
愛紗は思う。


このバスは色見先回りなので、駅にすぐに着く。

25分には駅に着くから、35分の下りに乗り継げるようになっている。



「おまたせしましたー」と、にこやかな運転手さん。

中扉から乗る。

200円なので、降りる時に払えばいい。


友里絵は「小銭あったかな」

由香「あたしがあるよ」

友里絵「んじゃ、出しといて」


菜由は「スイカ使えないのかな」


友里絵「西瓜はまだだねー夏でしょ」


由香「西瓜ドロボーが出たりして。」


友里絵「モバイル西瓜だ。ぴょーん」って、飛び跳ねて。

菜由「網あみでね、吊るして」

愛紗「そうそう。川に吊るしたりして」

友里絵「キャンプみたいね」
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