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愉快なブレディ家
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車内は、綺麗にリフォームされている古い車両と言う感じで
お洒落な内装、堅牢そうな車体。
そのあたりに、路線バスの「ワンステップ」バスを連想したりする愛紗だった。
機械式ブザーの、ツー、と言う音も、おんなじ。
ドアが、空気作動で、がらがら、と閉じる引き戸タイプなのも、なんとなく
日南線を走っている車両と似ていて、懐かしく感じた。
ディーゼル・エンジンが、がらがらがら・・・から、ごー、と
連続音になり
トルク・コンバータ・クラッチの油圧が上がると
車体がゆっくり動き出す。
「あ、ちんちん_電車、みえるよー。」と、友里絵は
ちょこばななをまた、食べながら。
「へんなとこで区切るな!そんなもんもって」と、由香。笑いながら。
「ちんちんみたいでしょ」と、友里絵。
あまり直裁なので、笑うしかない。
「キミのはふとーい」と、友里絵。
「なんか、あったね。そういうCM」と、菜由。
「シャープでしょ」と、愛紗。
「シャープ。すたー、あくしょーん」と、友里絵。
「これは古い」と、由香。
「あくしょーん、きゅー」と、友里絵は楽しそうだ。
車両は、ごー、と言うエンジンの音が変わらなくなると
ギアが2速に変わる。
一瞬、加速がゆるんで。
ギアがつながると、エンジンの音が低くなる。
速度が、ぐんぐん、あがる。
「ほんとのお父さんがタマちゃんだったら、いいね」と、友里絵。
愛紗は「そうかしら」
友里絵はにこにこ「だって、お父さんならずーっと一緒でいいでしょ?
結婚しなくていいじゃん。あんなお父さんだったら」
愛紗「なるほど」そんな感じ方もあるんだなぁ、と思う。
自分の父がそうでも、一緒にいたいとは思わないけど・・・・(笑)。
由香「パパにすれば」
菜由「なんか怪しいね、それは」
友里絵はなんか、しゃなりしゃなり「ぱーぁぱーぁ~、アレ買ってー。」
由香「それはかなり怪しいなぁ、なんだよアレって」
友里絵「おもちゃ」
由香「へんな事いうなよ、昼まっから」
友里絵「こどものおもちゃ」
由香「なにがいいたい」
友里絵「いーえ」
菜由「仲いいねぇほんと」
列車は、ギアを3速に入れた。鹿児島駅を通過する。
右手には貨物駅とホーム。その向こうは海だ。湾岸だ。
友里絵「おー、湾岸」
由香「湾岸署の青島です」と、敬礼。
菜由「ほんとに青島だもんね」
由香「都知事と同じ、青島です」
友里絵「キター」
由香「当時は受けたんだけどなぁ」
友里絵「はっはは」
由香「まあ、青島って苗字も結婚すれば変わるしさ。あーんまり好きじゃないな。
友里絵はいいね。藤野ってけっこう、お嬢様っぽいじゃん。
顔みなけばわかんない」
友里絵「見なければね」
由香「認めるかなー。ははは」
菜由「でも、かわいいから。キチンとした格好すればわかんないね」
友里絵「それは、ホントはダメ女だと言うことか?」
菜由「いや、そこまでは・・・。」
愛紗も面白い。
友里絵「でもいいもーん。タマちゃんはかわいいって言ってくれたし」
由香「なーんか勘違いしてそうだけどなあ」
友里絵「勘違いでもいいもーん。」
菜由「まあ、それだっていいよね。ほんと。誰かがかわいいって言ってくれれば
嬉しいよ」
愛紗「石川さんは・・・言わないかな」
菜由「まあ、あの顔で言われてもな」
友里絵と由香は笑って「いーってやろ、いってやろ」
菜由「ははは、ナイショナイショ」
友里絵「石川さーん、菜由が「不細工」だってさー」と、掌をメガホン(笑)
菜由「そんなこといってないって」と、笑う。
由香「まあ、不細工だっていいよね」
菜由「それフォローか?」
愛紗も笑う「でも、石川さんはいい男だよ。野武士みたいで」
友里絵「愛紗は優しいね」
愛紗「ありがと」
「そーゆーとこ、タマちゃん似」と、友里絵。
愛紗は「そうかしら」・・・と、一瞬考える(笑)。
由香「うそうそ、うそだよー。」
愛紗「なんだ」
でも一瞬、思う。ホントの親子でなくても、なんか、自分の生まれる前に
両親に関係のあった人だったのかな、なんて・・・・・。
列車はぐんぐん、スピードを上げて。特急らしい。
車掌さんは、お嬢さんタイプ。
ワゴンさんと兼務。
しゃっきりした美人。
黒いスーツに赤い、ワンポイント。ほっそりした首にスカーフ。
由香「かっこいいね」
友里絵「あたしには・・・無理」
由香「スカーフがめりこんじゃうもんね。肉に。」
友里絵「あーん、とれなくなっちゃったー。」
菜由「そんなパカな」
愛紗も笑う「おもしろいね」
友里絵「あーん、抜けなくなっちゃったー。」
由香「それはヤメロってば!」と、張り扇がないので掌で。
友里絵「指輪」
由香「キサマー、またしても。・・・あ、でもあったねえ。指輪事件」
友里絵「そうそう。」
菜由「なんだっけ、それ」
友里絵「コンビニでね、夜番の時、通ってくる若い男がいて。暗いのね。
で、あたしをナンパしたから。タマちゃんに相談したの。麻美ちゃんが」
菜由「麻美ちゃん?」
由香「バイト仲間のね。お姉さんタイプの人。ピアノの先生」
菜由「へー、ピアノ教師か。深町さんの知り合い?」
友里絵「いやいや、単なるバイト仲間。なんだけど、これが・・あ、これがだって。
ははは。この人がまー、豪傑で、色はまっくろ、がははわらい、大酒のみで
赤い4駆に乗ってて。」
菜由「なーんとなく解った。どういう感じか」
友里絵「それでね、その人が言ったワケ。そしたらタマちゃんが「指輪つければ」」
菜由「あーなるほど」
由香が「じゃー買ってあげて、って言ったのね。そしたら「時間ないから、なんか買ってきな
お金だすから」
だって。わかってないなー。」
菜由「あの人らしいね」
友里絵「でね、フェイクの指輪、買ったのね。本物に見える。それをしたわけ。そしたら・・・
。」
菜由「うんうん。なんか解る」
由香「店に来たその男、それを見てキレて。喚いて。警察呼ぼうかと思ったくらい」
愛紗「そのくらい好きだったんだ」
友里絵「そーかも。まあ、その前に一回だけ話し聞いてあげたんだけど。
それもタマちゃんがね「話だけでも聞いてあげたら」って言うから。」
菜由「わかってないねー、あの人も」
由香「ほんとに。でも、指輪貰ったからいいのか。」
友里絵「そ。こんにゃく指輪」
由香「こんにゃくはヤバイだろ」
菜由「ははは。なんか聞くもんね。人肌にあっためて」
由香「それ、石川さんが言ったの?」
菜由「いやいや、そんな事言わないよ。いくらなんでも」
友里絵・由香「いーってやろ、いってやろー。」
菜由「言ってないってば」と、笑う。
友里絵「こんにゃくいらないもんね、今は」
菜由「こんにゃくかい、あたし」
みんな、笑う。
だーれもいない特急列車。だけど、車掌さんには聞こえるかも(笑)
なんとなく、微笑みの車掌さん。
お洒落な内装、堅牢そうな車体。
そのあたりに、路線バスの「ワンステップ」バスを連想したりする愛紗だった。
機械式ブザーの、ツー、と言う音も、おんなじ。
ドアが、空気作動で、がらがら、と閉じる引き戸タイプなのも、なんとなく
日南線を走っている車両と似ていて、懐かしく感じた。
ディーゼル・エンジンが、がらがらがら・・・から、ごー、と
連続音になり
トルク・コンバータ・クラッチの油圧が上がると
車体がゆっくり動き出す。
「あ、ちんちん_電車、みえるよー。」と、友里絵は
ちょこばななをまた、食べながら。
「へんなとこで区切るな!そんなもんもって」と、由香。笑いながら。
「ちんちんみたいでしょ」と、友里絵。
あまり直裁なので、笑うしかない。
「キミのはふとーい」と、友里絵。
「なんか、あったね。そういうCM」と、菜由。
「シャープでしょ」と、愛紗。
「シャープ。すたー、あくしょーん」と、友里絵。
「これは古い」と、由香。
「あくしょーん、きゅー」と、友里絵は楽しそうだ。
車両は、ごー、と言うエンジンの音が変わらなくなると
ギアが2速に変わる。
一瞬、加速がゆるんで。
ギアがつながると、エンジンの音が低くなる。
速度が、ぐんぐん、あがる。
「ほんとのお父さんがタマちゃんだったら、いいね」と、友里絵。
愛紗は「そうかしら」
友里絵はにこにこ「だって、お父さんならずーっと一緒でいいでしょ?
結婚しなくていいじゃん。あんなお父さんだったら」
愛紗「なるほど」そんな感じ方もあるんだなぁ、と思う。
自分の父がそうでも、一緒にいたいとは思わないけど・・・・(笑)。
由香「パパにすれば」
菜由「なんか怪しいね、それは」
友里絵はなんか、しゃなりしゃなり「ぱーぁぱーぁ~、アレ買ってー。」
由香「それはかなり怪しいなぁ、なんだよアレって」
友里絵「おもちゃ」
由香「へんな事いうなよ、昼まっから」
友里絵「こどものおもちゃ」
由香「なにがいいたい」
友里絵「いーえ」
菜由「仲いいねぇほんと」
列車は、ギアを3速に入れた。鹿児島駅を通過する。
右手には貨物駅とホーム。その向こうは海だ。湾岸だ。
友里絵「おー、湾岸」
由香「湾岸署の青島です」と、敬礼。
菜由「ほんとに青島だもんね」
由香「都知事と同じ、青島です」
友里絵「キター」
由香「当時は受けたんだけどなぁ」
友里絵「はっはは」
由香「まあ、青島って苗字も結婚すれば変わるしさ。あーんまり好きじゃないな。
友里絵はいいね。藤野ってけっこう、お嬢様っぽいじゃん。
顔みなけばわかんない」
友里絵「見なければね」
由香「認めるかなー。ははは」
菜由「でも、かわいいから。キチンとした格好すればわかんないね」
友里絵「それは、ホントはダメ女だと言うことか?」
菜由「いや、そこまでは・・・。」
愛紗も面白い。
友里絵「でもいいもーん。タマちゃんはかわいいって言ってくれたし」
由香「なーんか勘違いしてそうだけどなあ」
友里絵「勘違いでもいいもーん。」
菜由「まあ、それだっていいよね。ほんと。誰かがかわいいって言ってくれれば
嬉しいよ」
愛紗「石川さんは・・・言わないかな」
菜由「まあ、あの顔で言われてもな」
友里絵と由香は笑って「いーってやろ、いってやろ」
菜由「ははは、ナイショナイショ」
友里絵「石川さーん、菜由が「不細工」だってさー」と、掌をメガホン(笑)
菜由「そんなこといってないって」と、笑う。
由香「まあ、不細工だっていいよね」
菜由「それフォローか?」
愛紗も笑う「でも、石川さんはいい男だよ。野武士みたいで」
友里絵「愛紗は優しいね」
愛紗「ありがと」
「そーゆーとこ、タマちゃん似」と、友里絵。
愛紗は「そうかしら」・・・と、一瞬考える(笑)。
由香「うそうそ、うそだよー。」
愛紗「なんだ」
でも一瞬、思う。ホントの親子でなくても、なんか、自分の生まれる前に
両親に関係のあった人だったのかな、なんて・・・・・。
列車はぐんぐん、スピードを上げて。特急らしい。
車掌さんは、お嬢さんタイプ。
ワゴンさんと兼務。
しゃっきりした美人。
黒いスーツに赤い、ワンポイント。ほっそりした首にスカーフ。
由香「かっこいいね」
友里絵「あたしには・・・無理」
由香「スカーフがめりこんじゃうもんね。肉に。」
友里絵「あーん、とれなくなっちゃったー。」
菜由「そんなパカな」
愛紗も笑う「おもしろいね」
友里絵「あーん、抜けなくなっちゃったー。」
由香「それはヤメロってば!」と、張り扇がないので掌で。
友里絵「指輪」
由香「キサマー、またしても。・・・あ、でもあったねえ。指輪事件」
友里絵「そうそう。」
菜由「なんだっけ、それ」
友里絵「コンビニでね、夜番の時、通ってくる若い男がいて。暗いのね。
で、あたしをナンパしたから。タマちゃんに相談したの。麻美ちゃんが」
菜由「麻美ちゃん?」
由香「バイト仲間のね。お姉さんタイプの人。ピアノの先生」
菜由「へー、ピアノ教師か。深町さんの知り合い?」
友里絵「いやいや、単なるバイト仲間。なんだけど、これが・・あ、これがだって。
ははは。この人がまー、豪傑で、色はまっくろ、がははわらい、大酒のみで
赤い4駆に乗ってて。」
菜由「なーんとなく解った。どういう感じか」
友里絵「それでね、その人が言ったワケ。そしたらタマちゃんが「指輪つければ」」
菜由「あーなるほど」
由香が「じゃー買ってあげて、って言ったのね。そしたら「時間ないから、なんか買ってきな
お金だすから」
だって。わかってないなー。」
菜由「あの人らしいね」
友里絵「でね、フェイクの指輪、買ったのね。本物に見える。それをしたわけ。そしたら・・・
。」
菜由「うんうん。なんか解る」
由香「店に来たその男、それを見てキレて。喚いて。警察呼ぼうかと思ったくらい」
愛紗「そのくらい好きだったんだ」
友里絵「そーかも。まあ、その前に一回だけ話し聞いてあげたんだけど。
それもタマちゃんがね「話だけでも聞いてあげたら」って言うから。」
菜由「わかってないねー、あの人も」
由香「ほんとに。でも、指輪貰ったからいいのか。」
友里絵「そ。こんにゃく指輪」
由香「こんにゃくはヤバイだろ」
菜由「ははは。なんか聞くもんね。人肌にあっためて」
由香「それ、石川さんが言ったの?」
菜由「いやいや、そんな事言わないよ。いくらなんでも」
友里絵・由香「いーってやろ、いってやろー。」
菜由「言ってないってば」と、笑う。
友里絵「こんにゃくいらないもんね、今は」
菜由「こんにゃくかい、あたし」
みんな、笑う。
だーれもいない特急列車。だけど、車掌さんには聞こえるかも(笑)
なんとなく、微笑みの車掌さん。
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