旅と鉄路

[日豊本線上り第２列車 寝台特急"富士" 〜豊後水道をゆくEF81〜 ]

[阿蘇山、小休止]

[阿蘇山、小休止]




運転士の努力の甲斐あって、阿蘇山頂へのロープウェイ駅にはすぐに着いた。
乗客は皆、降車。

ロープウェイ駅へ向かうと、直ぐに発車時刻だ、との表示。
絵はがきなどを見ているS君の腕を引き、駆け込み乗車（笑）。

そんなに急がなくても、とS君は至ってのんびりしているが
次の発車まで待っていては山頂で時間が取れない。

呼吸器、心臓などが弱い方はご遠慮ください、との但し書きのある
山頂駅まで数分、といったところ。
硫黄臭の強いガスが雰囲気に伝わる。

そこから火口までは、更に徒歩で登山する。

爆発の危険がありますので十分にご注意を、との物騒な看板のある
コンクリートの避難所が点在しているが
土産物売りのおばさんが悠然としているから
まあ大丈夫だろう、と、不安げなS君を促して火口へ。
地面は火山砂礫がごろごろと転がっていて、ざくざくで足場の悪い斜面だ。
火口周辺は赤い岩肌が水蒸気と火山ガスに吹かれて変色している。
 

眼下には広大な草原が広がって、人工的な物体がほとんど見られないあたりも
どこか異国の地を思わせるようなムードである。

火口原から噴火口を見下ろしてみたものの、それほど深くない
なだらかな斜面の奥から水蒸気がゆらゆらと上がっているだけだった。

意外と穏やかな表情を見せた、この日の阿蘇である。


下りのロープウェイの折り返し時間までに、遊歩道を下り、折り返す。
もっとのんびりしたかったですね、とS君。


こんどは車かオートバイで訪れたいような場所である。
なるほど、交通渋滞する訳だな、とひとり合点する。


下りのロープウェイを降車し、土産物屋を見物していると...
見覚えのあるバスが、ゆっくりと視界を遮った！。


おい、とS君を呼ぶと、カメラバッグを積んだままの彼は、一目散に駆け出す。




...しかし、バスはゆっくりと停車（笑）。


発車時刻まで、バス停に移動して待っているつもりだったらしい。
やれやれ、ひと騒がせな、と、土産物屋に戻る気にもなれず
バスの車内に戻ると、筆者たちの他乗客はほとんど戻っていた。

もとより、路線バスだから途中下車客も居るだろう。
全員が戻ってくるまで待っていてくれるのだろうか。


....と、思っていると、中年夫婦が駆け出してくる（笑）
やはり、置いてきぼりになるかと思ったらしい。
すでに、時刻表上の発車時刻はとうに過ぎている。




その夫婦が乗り込んだところで全員集合。
途中下車客はいなかったらしい。
また、阿蘇山から別府方面に向かう乗客もいなかった様子。
定刻....をもとよりかなり遅れているのでダイアは無くなっているから
乗客の頭数を数えて運転士は空気作動のドアを閉じ、
長いシフト・レバーのゲートを確認しながら２速へギアを入れた。