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[日豊本線上り第2列車 寝台特急"富士" 〜豊後水道をゆくEF81〜 ]
*由布院と湯布院。
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---memo----
*由布院と湯布院。
駅名は由布院であるが、湯布院町である。
大分へ列車で下ると、南由布の次が湯平だが、
湯平と合併した時に「由」布院から「湯」布院と町名が変わった。
このため、駅名も由布院であるし、旧由布院地区では未だに「由布院」という
名称に愛着を感じている方が多いとも聞く。
自治体合併が続く昨今でも聞くような話だが、今も昔も変わりない土地への
愛着心、というものを感じさせるエピソードである。
-----*----
30分ほどの遅れで、大型の観光バスがターミナルに入ってくる。
ハイデッキのエア・サス車両だが、路線バス運用...という
かつての国鉄ハイウェイ・バスのようなスタイル。
JRバスではなく、民鉄系のバス会社が数社で相互運用をしている様子。
バス・ターミナルも共用のようだ。
大排気量のディーゼル機関らしい低いアイドリング音を響かせて、バスが停止すると
エア・サスペンションの揺動でふわりと車両が反動した。
ダイア遅れが発生しているので、乗降終了次第発車したいとの旨。
運転手の顔色にも余裕が見られないが、
休日、連休の路線バスが遅れるのは道理だと思うし、乗務員に過失はないだろうとも思う。
運転士の几帳面さが少々気の毒で、早々とバスに乗り込み、観光バス特有の
閉塞感のあるシートにもたれ、後ろが空席である事を確認してリクライニングした。
窓には光線抑止のフィルターが張られていて、すこし景色が青みを帯びて見える。
折角の観光なので、少々残念にも思えるが....まあ、効率化は時代の要求か。
10月だというのに暑く、流石は南国だなと話しながらもバスはふんわりと発車。
冷房が強力で、車内は涼しい。
先ほどの窓フィルターも、冷房の効率化という意味もあるのであろう。
JR九州の車両には、この青いガラスを使用している車両が多いから
これも南国故の省エネルギー対策であろうか。
バスはぐるりとターミナルを周り、路面電車の行き交う駅前通りに走り出す。
オフィス街のような町並みをゆっくりと走り、途中のバス停で乗客を拾ってゆく。
路線バスのようだが、テープのガイドが流れる様子は定期観光バスらしい。
大通りを東に向かうと熊本城、水前寺公園、味噌天神...と
有名な観光スポットを幾つも通過する。
テープのバスガイドも、さらりとさりげなく通過する。
気づくと、もう郊外のような閑散とした風景に変わる。
地方都市らしく、いきなりガラットと変化するが
進行方向には、遠く阿蘇連山が見えて、観光ムードが視界に広がる。
広大な大地をイメージさせる道路をしばらくゆくと、台地の上にそびえる熊本空港に到着。
ここも遅れのためか、停車時間はごく少ない。
初老の夫婦が、バス停で立ちんぼうで待っていた。
山歩きが好きそうな風情、アースカラー系のベストとシャツ、リュックサックにステッキ。
NHK講座「中高年の登山」風(^^)。
これから久重連山あたりへハイキングだろうか。
乗車客はこのお二人のみ、降車客は10人前後。
バスの遅れを飛行機が待ってくれているかどうかは不明だが
降車客に焦りの表情は見えず。
それとも熊本の人はのんびりしてるのかな(^^)。
運転士のみが硬い表情をしてハンドルを握っている。
長崎から連続運転だと、かなりの緊張であろう。ご苦労様、と
心のなかで労う。
それでもスピード違反などはせずに、粛々と阿蘇外輪の道路をバスは進む。
豊肥本線沿いの国道に入ると、乗用車の列で渋滞していて
進まない車列に、運転士の表情が更に渋くなる。
鉄道にしとけばよかったな、とS君に言う。
彼、すみません、とひとこと。
まあ、急ぐ旅でなし。
どうせ今夜は温泉でひとやすみ...とS君と笑いあう。
ところが、渋滞はさっぱり解消せず。
遅れは拡がるばかり。
このままだと、阿蘇山頂の自由時間も怪しくなってきた。
この「やまなみ1号」本来のダイアだと、阿蘇山へロープウェイで登山が出来る
時間が休憩として取られている(60分)。
だが、この遅れだと....
低速で少しずつ進む車列。自然渋滞らしい。
迂回路も無い様子だが、もとより乗客はみな観光客だから
和やかな表情。
途中、禁煙の車内で喫煙をした壮年男性が運転士からやんわりと
たしなめられた程度で、大きな混乱もなく、観光バスは阿蘇山の方向へと進む。
...のろのろと。(笑)。
渋滞も相当なものだが、連休の観光地だから、こんなものだろうと
乗客たちはのんびりと談笑、疲れの様子も見られない。
乗客は大方中高年、子供はいない。最も若手でも30代くらい。
だいたいが二人連れか夫婦っぽいカップルといったところ。
大型連休の最中にバス旅行をする顧客は、まあ、こういった旅行好きであろうとも思える。
若夫婦と子供なら乗用車の方が楽だろうし、ひとり旅なら鉄道の方が早い。
恋人同士ならやっぱりデートカーかなにかで行くだろう。
そのような理由で落ち着いた雰囲気の九州横断バスだったのは
もっけの幸いである。
一般的なイメージで言う「観光バスの旅」というと、
貸し切り、カラオケ、煙草と酒の匂い、酔い乱れの中年男(笑)、ビデオの映画..
と、どちらかというと夜の新宿、裏通り、肩を寄せあう通り雨...(笑)
といったあまり健康的なイメージを連想しないが、このバスは至って健康的、
こんなバスツアーだったら行ってもいいな、と思うくらいであった。
まあ、貸し切りでなく乗り合いだからという理由もあるのだろうが、
(と、往路の"はやぶさ"ロビーカーの宴会教員たちを思い浮かべて見るものの...)
バスは、のろのろと進みつつもようやく阿蘇方面への交差点を右折、
豊肥本線の急勾配路線を横目に山間へと向かう。
ようやく車列は緩み、自動車らしく走る。
多気筒、大排気量ディーゼルエンジンの低い唸りが頼もしい。
過給器の付いていないタイプらしいその排気音は
雷鳴のように地を這うようなサウンドである。
おそらく、レブ・リミットは3000rpm前後であろう、と思えるような
トルク塊、どこか船舶エンジンのようなムードも感じられる。
*由布院と湯布院。
駅名は由布院であるが、湯布院町である。
大分へ列車で下ると、南由布の次が湯平だが、
湯平と合併した時に「由」布院から「湯」布院と町名が変わった。
このため、駅名も由布院であるし、旧由布院地区では未だに「由布院」という
名称に愛着を感じている方が多いとも聞く。
自治体合併が続く昨今でも聞くような話だが、今も昔も変わりない土地への
愛着心、というものを感じさせるエピソードである。
-----*----
30分ほどの遅れで、大型の観光バスがターミナルに入ってくる。
ハイデッキのエア・サス車両だが、路線バス運用...という
かつての国鉄ハイウェイ・バスのようなスタイル。
JRバスではなく、民鉄系のバス会社が数社で相互運用をしている様子。
バス・ターミナルも共用のようだ。
大排気量のディーゼル機関らしい低いアイドリング音を響かせて、バスが停止すると
エア・サスペンションの揺動でふわりと車両が反動した。
ダイア遅れが発生しているので、乗降終了次第発車したいとの旨。
運転手の顔色にも余裕が見られないが、
休日、連休の路線バスが遅れるのは道理だと思うし、乗務員に過失はないだろうとも思う。
運転士の几帳面さが少々気の毒で、早々とバスに乗り込み、観光バス特有の
閉塞感のあるシートにもたれ、後ろが空席である事を確認してリクライニングした。
窓には光線抑止のフィルターが張られていて、すこし景色が青みを帯びて見える。
折角の観光なので、少々残念にも思えるが....まあ、効率化は時代の要求か。
10月だというのに暑く、流石は南国だなと話しながらもバスはふんわりと発車。
冷房が強力で、車内は涼しい。
先ほどの窓フィルターも、冷房の効率化という意味もあるのであろう。
JR九州の車両には、この青いガラスを使用している車両が多いから
これも南国故の省エネルギー対策であろうか。
バスはぐるりとターミナルを周り、路面電車の行き交う駅前通りに走り出す。
オフィス街のような町並みをゆっくりと走り、途中のバス停で乗客を拾ってゆく。
路線バスのようだが、テープのガイドが流れる様子は定期観光バスらしい。
大通りを東に向かうと熊本城、水前寺公園、味噌天神...と
有名な観光スポットを幾つも通過する。
テープのバスガイドも、さらりとさりげなく通過する。
気づくと、もう郊外のような閑散とした風景に変わる。
地方都市らしく、いきなりガラットと変化するが
進行方向には、遠く阿蘇連山が見えて、観光ムードが視界に広がる。
広大な大地をイメージさせる道路をしばらくゆくと、台地の上にそびえる熊本空港に到着。
ここも遅れのためか、停車時間はごく少ない。
初老の夫婦が、バス停で立ちんぼうで待っていた。
山歩きが好きそうな風情、アースカラー系のベストとシャツ、リュックサックにステッキ。
NHK講座「中高年の登山」風(^^)。
これから久重連山あたりへハイキングだろうか。
乗車客はこのお二人のみ、降車客は10人前後。
バスの遅れを飛行機が待ってくれているかどうかは不明だが
降車客に焦りの表情は見えず。
それとも熊本の人はのんびりしてるのかな(^^)。
運転士のみが硬い表情をしてハンドルを握っている。
長崎から連続運転だと、かなりの緊張であろう。ご苦労様、と
心のなかで労う。
それでもスピード違反などはせずに、粛々と阿蘇外輪の道路をバスは進む。
豊肥本線沿いの国道に入ると、乗用車の列で渋滞していて
進まない車列に、運転士の表情が更に渋くなる。
鉄道にしとけばよかったな、とS君に言う。
彼、すみません、とひとこと。
まあ、急ぐ旅でなし。
どうせ今夜は温泉でひとやすみ...とS君と笑いあう。
ところが、渋滞はさっぱり解消せず。
遅れは拡がるばかり。
このままだと、阿蘇山頂の自由時間も怪しくなってきた。
この「やまなみ1号」本来のダイアだと、阿蘇山へロープウェイで登山が出来る
時間が休憩として取られている(60分)。
だが、この遅れだと....
低速で少しずつ進む車列。自然渋滞らしい。
迂回路も無い様子だが、もとより乗客はみな観光客だから
和やかな表情。
途中、禁煙の車内で喫煙をした壮年男性が運転士からやんわりと
たしなめられた程度で、大きな混乱もなく、観光バスは阿蘇山の方向へと進む。
...のろのろと。(笑)。
渋滞も相当なものだが、連休の観光地だから、こんなものだろうと
乗客たちはのんびりと談笑、疲れの様子も見られない。
乗客は大方中高年、子供はいない。最も若手でも30代くらい。
だいたいが二人連れか夫婦っぽいカップルといったところ。
大型連休の最中にバス旅行をする顧客は、まあ、こういった旅行好きであろうとも思える。
若夫婦と子供なら乗用車の方が楽だろうし、ひとり旅なら鉄道の方が早い。
恋人同士ならやっぱりデートカーかなにかで行くだろう。
そのような理由で落ち着いた雰囲気の九州横断バスだったのは
もっけの幸いである。
一般的なイメージで言う「観光バスの旅」というと、
貸し切り、カラオケ、煙草と酒の匂い、酔い乱れの中年男(笑)、ビデオの映画..
と、どちらかというと夜の新宿、裏通り、肩を寄せあう通り雨...(笑)
といったあまり健康的なイメージを連想しないが、このバスは至って健康的、
こんなバスツアーだったら行ってもいいな、と思うくらいであった。
まあ、貸し切りでなく乗り合いだからという理由もあるのだろうが、
(と、往路の"はやぶさ"ロビーカーの宴会教員たちを思い浮かべて見るものの...)
バスは、のろのろと進みつつもようやく阿蘇方面への交差点を右折、
豊肥本線の急勾配路線を横目に山間へと向かう。
ようやく車列は緩み、自動車らしく走る。
多気筒、大排気量ディーゼルエンジンの低い唸りが頼もしい。
過給器の付いていないタイプらしいその排気音は
雷鳴のように地を這うようなサウンドである。
おそらく、レブ・リミットは3000rpm前後であろう、と思えるような
トルク塊、どこか船舶エンジンのようなムードも感じられる。
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