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[東京-西鹿児島1500kmロング・ラン〜寝台特急"はやぶさ"5列車〜(後編)]
[九州上陸。]
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[九州上陸。]
ものの数分で門司駅構内へと駆け登り、デッド・セクションで交流に切り替える...
はずだが、客車の電源は発動発電器なのでセクションは分からない。
広い構内、多数の留置線。
九州のターミナル駅の第一印象は、ただ、やたらに広いというイメージだ。
関門海底トンネル開通以降のターミナル駅だから、門司港駅(かつての門司駅)の
ようなレトリックな風格はないが、その物量にはただ圧倒される。
スケールが大きい。
沿線は工業地という感じ。
同じ工業地帯でも見慣れた京浜のそれよりも、建物の敷地に余裕があるように見える。
ここでまた数分間停車、機関車交換の後、小倉に向けて出発。
門司-小倉間はほんの数分だが、沿線はほとんど駅の構内という感じで
向かって右手には山陽新幹線の高架線、ガード下には車掌区、運転区詰め所、
広大な敷地が鉄道用地として確保されている。
この壮大なスケール感はどこか北海道にも似ているが、陽光と風の放つムードは
やはり南国の、どこかのどかな自然を思わせる。
巨大な缶ビール型のタンクが見える。
サッポロビール小倉工場だ。
北海道を連想していてタイムリーだったのでふと可笑しくなり微笑むと、
何ですか、不気味ですね、とS君(笑)
訳を話すと、そうですね、北海道はどこか涼しげな光線の具合に見えますね、と。
緯度が違うから太陽の当たる角度が違うんですよ、と論理的。(笑)。
なるほど、そういうものかと視点の違いがおもしろいな、と言うと
彼は淡々とそうですね、と。
他愛のない会話でも旅のひとこまとして、どこか特別な印象に思える。
1分停車で小倉発車。
しばらくは駅の構内、巨大な貨物ヤードのようなところをゆっくりと進んでいたが
日豊本線と分岐して右へ。
鹿児島本線ルートを行く(これまでも鹿児島本線ではあるが)5列車、はやぶさ号は
一気に加速を始めた。
がちゃり、と連結器が引かれ、金属の擦れる音が渡り板から聞こえる。
ここから博多までは一時間ほど、九州北海岸に沿って鉄路を行く。
下関までは左手に見えた海が、今度は右手に見えている。
瀬戸内ののどかな雰囲気とはまた印象を異にし、ダイナミックな臨海工業地帯の眺望は
それはそれで活気に満ちて良いものだと思う。
このあたりは釣り人が集まるようで、突堤で皆、竿を持っている。
天気は快晴、楽しい休日の朝を5列車"はやぶさ"は、リズミカルに歩を進めている。
4軸駆動のED76型交流電気機関車は、EF66よりもソフトな走行感である。
引き出しもゴツン、とはこないし、牽引されている間もぐいぐいと引くというよりは
トルク感は平滑な感じ。
車窓からの眺望は大都市圏という印象が続く。
鹿児島本線はぐるりと、北海岸、西海岸を回って鹿児島まで。
ここからおよそ400km。九州は広い。
ものの数分で門司駅構内へと駆け登り、デッド・セクションで交流に切り替える...
はずだが、客車の電源は発動発電器なのでセクションは分からない。
広い構内、多数の留置線。
九州のターミナル駅の第一印象は、ただ、やたらに広いというイメージだ。
関門海底トンネル開通以降のターミナル駅だから、門司港駅(かつての門司駅)の
ようなレトリックな風格はないが、その物量にはただ圧倒される。
スケールが大きい。
沿線は工業地という感じ。
同じ工業地帯でも見慣れた京浜のそれよりも、建物の敷地に余裕があるように見える。
ここでまた数分間停車、機関車交換の後、小倉に向けて出発。
門司-小倉間はほんの数分だが、沿線はほとんど駅の構内という感じで
向かって右手には山陽新幹線の高架線、ガード下には車掌区、運転区詰め所、
広大な敷地が鉄道用地として確保されている。
この壮大なスケール感はどこか北海道にも似ているが、陽光と風の放つムードは
やはり南国の、どこかのどかな自然を思わせる。
巨大な缶ビール型のタンクが見える。
サッポロビール小倉工場だ。
北海道を連想していてタイムリーだったのでふと可笑しくなり微笑むと、
何ですか、不気味ですね、とS君(笑)
訳を話すと、そうですね、北海道はどこか涼しげな光線の具合に見えますね、と。
緯度が違うから太陽の当たる角度が違うんですよ、と論理的。(笑)。
なるほど、そういうものかと視点の違いがおもしろいな、と言うと
彼は淡々とそうですね、と。
他愛のない会話でも旅のひとこまとして、どこか特別な印象に思える。
1分停車で小倉発車。
しばらくは駅の構内、巨大な貨物ヤードのようなところをゆっくりと進んでいたが
日豊本線と分岐して右へ。
鹿児島本線ルートを行く(これまでも鹿児島本線ではあるが)5列車、はやぶさ号は
一気に加速を始めた。
がちゃり、と連結器が引かれ、金属の擦れる音が渡り板から聞こえる。
ここから博多までは一時間ほど、九州北海岸に沿って鉄路を行く。
下関までは左手に見えた海が、今度は右手に見えている。
瀬戸内ののどかな雰囲気とはまた印象を異にし、ダイナミックな臨海工業地帯の眺望は
それはそれで活気に満ちて良いものだと思う。
このあたりは釣り人が集まるようで、突堤で皆、竿を持っている。
天気は快晴、楽しい休日の朝を5列車"はやぶさ"は、リズミカルに歩を進めている。
4軸駆動のED76型交流電気機関車は、EF66よりもソフトな走行感である。
引き出しもゴツン、とはこないし、牽引されている間もぐいぐいと引くというよりは
トルク感は平滑な感じ。
車窓からの眺望は大都市圏という印象が続く。
鹿児島本線はぐるりと、北海岸、西海岸を回って鹿児島まで。
ここからおよそ400km。九州は広い。
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