旅と鉄路

[東京-西鹿児島１５００ｋｍロング・ラン〜寝台特急"はやぶさ"５列車〜(前編)]

[浜松定時発車]

[浜松定時発車]

蒸気機関車の時代などはこの浜松で機関車の交換が行われる例も多かったが
電気機関車の機構的信頼性は高く、この５列車でも下関までに機関車の交換は行われない。
下関で交換される理由も、九州地区が交流２００００v電化であるからEF66のような直流機
では走行不可だからで、そうでなければ機関車の交換は行われないであろう。
事実、以前より交直流電車で直通運用が行われているし、そのための交直流電車である。

がくり、とEF66はしばしの休憩を後にし、よっこらしょ、と起動したように感じられる。
EF66も２４系２５形編成もすでに四半世紀を越えて運用されているご老体?であり
鉄道車両は全般検査実施時に殆ど新車という位に分解整備が行われるが
新製される訳ではないから加齢に起因する故障は有り得る状況で
この東海道筋でもEF66型機関車の故障による運転打ち切り事故なども複数
報告されている事からも多少、行く末が心配なEF66型機関車である。


浜松を出発した５列車"はやぶさ"は、そろそろ夜行列車という語感に相応しいムード。
北海道ブルートレイン、北斗星、Twillight などのような華やかさは無いが
それ故国鉄時代の雰囲気を感じさせ、それがとても嬉しい東海道ブルートレインのひとつ
西鹿児島/熊本行き特急「はやぶさ」である。
付属編成は最初から「特急　はやぶさ　熊本」と表示されているから、
西鹿児島行き乗車をアピールしたかったら基本編成の前で記念写真を取らなくては（笑）
いやいや、それは下関まで待とう、ホームに降りて乗り遅れたら正夢になってしまう。
上段、もとい冗談ではなくなってしまう。





などと他愛の無い会話を旅仲間としながらも、そろそろ解散としようかと誰からともなく言い出す。
この点、個室は区切りがあって良い。開放式B寝台で対向下段、なんて指定券を取ったりすると
本当に寝る暇が無くなったりする（笑）。
長崎/佐世保行き「さくら」に平日乗り込んだものの、車両は がら空きで僕らだけ、
貸し切り車両のようになってしまって朝まで談笑してしまい、ハテ、何のための寝台だ？
などと笑いあったり（それでも長崎着は昼近くなので昼寝が出来たが）。


浜名湖の長い鉄橋をややゆっくりスピードで進んで行く５列車の車窓からは
漆黒の闇しか見えず、昼間は見える筈の遠い太平洋、海のような（汽水湖だが）
広大な浜名湖も皆闇の中だ。
浜名湖と言えば鰻が有名だが、かつては水田のような養鰻池が多数見え、水車が
ぐるぐると回っていた浜名湖界隈であったが、現在はビニールハウスのような建物の
中で養殖を行っているようであり、月夜に銀色に輝いている無機的なハウスは
すこし近未来的なイメージでもある。


----後半へ続く----