旅と鉄路

[東京-西鹿児島１５００ｋｍロング・ラン〜寝台特急"はやぶさ"５列車〜(前編)]

[今宵、Ｂソロ。]

[今宵、Ｂソロ。]

カーヴしている東京駅１０番線ホームを端まで歩いて最後尾まで行き
少し戻って１２号車、B寝台個室車両"ソロ"のデッキを昇る。
スモークド・グラスの自動ドアに　"SOLO COMPARTMENT CAR"
の文字と星のマーク。


空気動作のスライド・ドアがエア解放音と共にがらり、と開く。


高級感のあるこの車両だが、B寝台という事で個室ながら料金は６３００円だ。
それゆえ人気のこの”ソロ”は、指定券発売後も直ぐに売り切れてしまうようであり
寝台電車”サンライズ・エクスプレス”の乗車率が概ね良好であることなどから
類推を試みれば、個室寝台の需要はまだまだ残されているようにも思える。
現状、人気を博している寝台特急列車の名を連想してみれば、それらは
みな個室化率の高い編成で運用されている事からもそのように思える。
過去を顧みても、個室寝台の無かった当時でも筆者たちの年代は
B寝台車のサービスに満足していたという訳ではなく、ただ、座席夜行
よりは楽だったというだけの理由でB寝台を選んでいたように思え
個室寝台が同料金、という事ならば皆迷わずそれを選ぶだろう。
あるいは座席夜行の料金が安価であるならばそれを選ぶかもしれない。


オハネ２５-1003、廊下は東海道本線では海側に位置している。
その廊下から見た車内は、クリーム色のドアが整然と並び
床はカーペット敷き、窓際足下にはヒーターのライン＆パンチング・メタルのカバー
と、基本的な車内のレイアウトは開放式B寝台の種車と類似である。


ただ、廊下の天井が若干低く感じられる事と、個室のドアがある分
廊下の幅員が若干狭い、という点が種車とは異なった印象を覚える。
その個室ドアも空間効率を活用する意味あいからか、凝った構造となっている。
下段個室のドアは内開きドアだが、上段個室は引き戸として
扉の収納スペースを削減するなどと工夫の見られるパッケージ・デザインである。