旅と鉄路

[東京-西鹿児島１５００ｋｍロング・ラン〜寝台特急"はやぶさ"５列車〜(前編)]

[客車編成]

[客車編成]
機関車の後、セカンド・ポジションは電源/荷物車カニ２４型だが
これもお定まりの位置である。
ブルー・トレイン便という速達荷物配送サービスなどに使用される。
東京駅では日常の風景として貨物の収受が行われている。
係員の制服は変わっても、昔と変わらない荷扱い風景である。

次いで、1号車から７号車までは通常のB寝台車両、
８号車がオシ２４型食堂車だが、残念ながら食堂車営業は行われておらず
車内販売基地と軽食サービスのみが実施されている。
とはいえ、食堂車係員が乗務しており、夕刻には暖かいおでんなどが
販売されているから、食堂車の雰囲気を少しは感じ取る事は出来る。


９号車は「はやぶさ」自慢のロビー・カー。
過日を思わせるゴージャスな内装は、どこかホテルのロビーを思わせる
観葉植物とソファー、スモーク・グラスのパーティション..
定員外のフリースペースにまるまる一両を充てるという
鉄道車両としては大変贅沢に思える企画の車両である、オハ２４型ロビー・カーである。

続く１０号車、１１号車はB寝台車。
１２号車はB寝台個室車両「ソロ」である。
車両担当であるJR九州が改造を行い、以後この編成中一番の人気席となった
オハネ２５型１０００番台と呼称される車両である。
改造はJR九州小倉工場が担当し、平成元年に工事は行われた。
「はやぶさ」「富士」にこの車両が編成されるが
その理由はこの２列車が共通運用である為だ。



続く１３号車はA個室寝台車オロネ２５型。
この車両は国鉄時代と変わりなく、懐かしい存在である。
室内温度計など、所々にJNRマークが見られるところなども旧来のまま。
深夜など漆黒の車窓を眺めていると国鉄時代にタイム・スリップしたような感覚を
楽しめる事うけあい、である。
特急ヘッドマークのプリントされたタオルがサービスされるのも往時を彷彿とさせる。
少々、デザインは異なるが。

最後尾はB寝台車、オハネフ２５型。
貫通扉から流れ去る鉄路を眺めていると、旅している実感を覚えるが
それは筆者の個人的な感覚であろうか。
過ぎて行く時の流れと鉄路の流れ行く情景...
それらがオーヴァー・ラップして見えてくる時「旅」がかけがえのない人生の一部に見えてくる。
そう、限りある時間を過ごす生命体である自分。
過ぎ去ってゆく鉄路はあたかも人生の暗喩のようにも思えてくるのだ。

...などと、ちょっと感傷に耽る事もできる（笑）
オハネフ２５、最後尾の貫通路である。
上り列車の場合、最後尾は電源車であるからこうはいかない。
代わりに先頭車両へ行くと、上下左右に巨躯を揺すりながら驀進するEF66やEF81の勇姿を
大迫力で拝む事が出来る。