旅と鉄路

〜24系25形"はくつる"12列車〜 2002/12

〜24系25形"はくつる"12列車〜

旅鉄 ３




[消え行く東北特急を追って 3] 


～24系25形"はくつる"12列車～




[始発、終着]




夜の青森駅は、どこか閑散として....
始発駅なのだが、どこか終着駅という語感の方が似合うような風情であり
古い流行歌の「終着駅」のメロディを想起してしまったりする筆者である。
津軽海峡を吹き抜けてきた海風がそこはかとなく潮の香りを運び
これで雪でも降っていれば「津軽海峡冬景色」であるが（笑）
どっこい、今は夏の盛り。でも、都会の夏よりどこか爽やかな宵であり
駅前のロータリーや広場に集う若者たちの表情もどこか楽しげな海沿いの青森駅である。
岸壁まで続く線路を渡って、そろそろ「はくつる」１２列車は入線する頃だ。




[１２列車はビジネス特急？]

上り１２列車はやや運転時刻が早く青森２１：０５->上野６：３８である。
その理由は東北本線上野口の朝ラッシュ時線路容量有効利用の為であると聞くが
例えば上野へ青森から初めて上京などという場合に、山手線の満員電車に旅行者が
紛れるのも少々辛いのではないかとも思え、その意味でも適当だ。
それに、上野に６時半到着ならば所用などの場合大抵は出先機関の始業時刻に
間に合うのではないかと思えるから、このダイアは利便性という点では良い設定である。
前、青森県知事もその点でこの１２列車のA個室をよく利用していたそうだ。


この日の１２列車は盆の時期とあって乗車率が高かったが、平常時でもかつては
常に満員に近い状態であったと言われる。それゆえ電車寝台５８３系の運用が長かった
という訳だが前号でお話した通り現在では２４系２５形客車で運用されている。
それは同時に二段式寝台車１１両で賄える程度の乗客数だという事でもあり
サービス向上は嬉しいがどこか複雑な気持ちになる運用変更である。






[さて、入線。]


そうこう思っているうちにDE10が率いて１２列車「はくつる」は青森駅東北本線線ホームに入線。
客車１２両編成、上野方が１号車、青森方編成端１２号車はカニ２４型電源/荷物車である。
分割/民営後でもブルー・トレインでは荷物扱いがそのまま残されているから
荷/客混合列車(??)としては希有な例か。
臨時列車ではカートレイン、モトトレインなどのような混合列車もあるにはあったが
国鉄時代のように貨客車混結、あるいは荷物電車併結などと言ったユニークな列車編成は
最近あまり見かけないようになった。
鉄道郵便も廃止されて久しく、当たり前のように幹線を往来していた郵便車は
単独で動けるというユーティリティの高さからコミューター・トレインとして改造
運用されており、電車好きの注目を一部集めているようではある。

クモユニ、という長い形式名をクモハに改名し、現在でも東海道筋で時々姿を見かける事もあるが
塗色は変更されたとは言え特徴のあるボディ・ラインはそのままだからちょっと懐かしい。
その走行音も当時を偲ばせる存在として珍重されている、という。