旅と鉄路

深町珠

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〜24系25形"はくつる"11列車〜 2002/11

[故障?]

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[故障?]

発車。定刻発車したも、緊急停車する。これは尋常ではないと皆身構えるが
車掌から放送が入り、ドア故障で停止した、との落ち着いた声に皆安堵した様子。
6号車は、ホーム先端近くで停止している。
すぐさま黄色いヘルメットに蛍光ベストの工務職員が数名。
いずれもベテランと見える50歳過ぎの男性。

厳しい表情でこの6号車のドアを見る。
どうやら、先ほどのドア開放時に脱落したビスの影響でドアが
ガイド・レールから外れ、ドア閉じランプを見て車掌が緊急停止措置をとったらしい。
車内から見るとわずかにドアが浮いているのが分かる。
車掌、工務職員鳩首会談の結果、ドアを締結して故障表示をする措置に決定した。

たかがボルト一本、とはいえその場で修理するよりは列車遅れが少ないとの判断だろう。
旧タイプの客車であればドアが走行中開放されている、なんてのはしばし見られた光景だから
筆者などは全く驚きはしないが、安全確保が徹底しているのはよい傾向だ。
さて、11列車は応急措置を済ませて、ドアにはこのような表示がなされた。
物見高いは人の常、とばかりにカメラをもって取材?の者多し。筆者もその一部だが(笑)
皆が下げているカメラ、男性はデジタルカメラが多く、女性は銀塩コンパクトがほとんど。
VTRで撮影しているのは筆者のみ。まだまだデジタルカメラは使いこなしが難しいという事だろうか。
デジタルVTRは便利だが、機材がまだ重いので一般的ではなく、古い洋画のように
女性が洒落た雰囲気で8mmフィルムムーヴィーを撮影する、などという光景は見た事がない。
そのようになればVTRも一般的なモノ、になるのであろうか。


そのまま発車すると思いきや、停止位置まで後退してから再出発との事。
ゆっくり、ゆっくり、微速で後退して停止位置に戻ると先程の工務職員が心配気にドアを見ている。
車掌は今度はホームには降りずドア扱いもせずに、直ぐEF81はゴツンと起動した。
電気機関車の発進をデリケートに行うのはとても高度な技術が必要だそうだが
モーター駆動故の事であろう。運転士もこの時は列車遅れが気がかりだったのだろうと察する。

長距離を走る列車であっても運転士は普通、2時間程度で交代となるが概ね旧国鉄の
管理局境界で交代となる。その際、次の運転士に状況報告をするが、遅れを持ち越すのは
運転士としての恥であるとかつて、旧国鉄の機関士たちはそう言っていたように記憶している。
異常なく、ダイア通りの運行をするのが運転士の誇りであると。
そう思うと、この時の運転士も焦りを感じていたなどと考える事もできよう。
定刻発車の時は衝動無く発進していたのであるから....


さて、車内に目をやるとなにやらデッキの方が騒がしい。
オハネ25型の客室ドアは自動ではなく、この時は開放されたままになっていたため
デッキの話声が聞こえてきたのだ。
数人の乗客が遅れの状況、乗り継ぎ列車への連絡、回復の見込み等を車掌に問うている。
今発車したばかりで翌朝までには回復できるか、と聞かれても困るだろうと思うが
そこは乗客、鉄道運行についてさほどの知識もないひとびとである。中には、
定刻に着かないと困る、と少々こまった発言の方もいらしたようだが..
ふと目をやると、先ほど部品脱落を報告していたご婦人である。
どうやら神経のとても細かい方、のようだ。
日本の鉄道運行の正確さは世界一だといわれているが、このご婦人のように
定刻到着が当然、という感覚がそれを示している。
諸外国の鉄道技術者が日本の鉄道、例えば山手線の朝ラッシュなどを見学すると
一様に驚く、というが...
それは運行もそうであるが、乗客が整然と機械のように定時発車に協力している
という様が不思議だ、と思うのだそうだ。
もっともこの話、1980年代までの話だ、と思うが(笑)。
現在では整列乗車はおろか、入線時の触車事故防防止に駅員が声を枯らすありさまであるから...
日本人も様変わりしたのだろう。西欧化もいいが、日本の良い伝統は忘れないでほしい、と思う。


上野駅地平ホーム、15番線から再び出発した11列車は、高架線の下をくぐって本線へと登る。
多数の線路が併走しているこのあたりは日本でも有数の多重複線区間だが、確か日本一は
もうすこし東京寄りの線区ではなかったかな、と思っていると車内改札が来た。
特急寝台券、乗車券を見せる。



今回もまた周遊切符「青森・十和田ゾーン」を利用した。
ゾーン券4000円で、入り口駅までの往復運賃が2割引きになるから、盛岡-上野で
計算すると通常往復とほぼ同じ料金になり、盛岡以北は特急フリーパスだから
今回の旅には適当であると考えた。このゾーン券でほぼ、青森県内のJR線は乗車できる
のは誠に便利で、例えば盛岡から花輪線で大館、そこから奥羽本線で青森まで、
または十和田湖を経由して八甲田山を縦走し青森駅へゆくのもこの切符一枚で大丈夫だ。
4000円はお買い得だと思う。できれば5日間を周遊にフル活用すれば
さらに割安感は大きいと思う。




慌ただしい中で忘れられた感のあるセレナーデのチャイムが鳴り、再度インフォメーション。
「本日は、列車遅れまして大変ご迷惑をお掛けいたしております。この列車は東北線回り
特急寝台列車はくつる号、青森行きとなります。ただいま列車は30分ほど遅れて
運行いたしております。列車遅れまし
[故障?]

発車。定刻発車したも、緊急停車する。これは尋常ではないと皆身構えるが
車掌から放送が入り、ドア故障で停止した、との落ち着いた声に皆安堵した様子。
6号車は、ホーム先端近くで停止している。
すぐさま黄色いヘルメットに蛍光ベストの工務職員が数名。
いずれもベテランと見える50歳過ぎの男性。

厳しい表情でこの6号車のドアを見る。
どうやら、先ほどのドア開放時に脱落したビスの影響でドアが
ガイド・レールから外れ、ドア閉じランプを見て車掌が緊急停止措置をとったらしい。
車内から見るとわずかにドアが浮いているのが分かる。
車掌、工務職員鳩首会談の結果、ドアを締結して故障表示をする措置に決定した。

たかがボルト一本、とはいえその場で修理するよりは列車遅れが少ないとの判断だろう。
旧タイプの客車であればドアが走行中開放されている、なんてのはしばし見られた光景だから
筆者などは全く驚きはしないが、安全確保が徹底しているのはよい傾向だ。
さて、11列車は応急措置を済ませて、ドアにはこのような表示がなされた。
物見高いは人の常、とばかりにカメラをもって取材?の者多し。筆者もその一部だが(笑)
皆が下げているカメラ、男性はデジタルカメラが多く、女性は銀塩コンパクトがほとんど。
VTRで撮影しているのは筆者のみ。まだまだデジタルカメラは使いこなしが難しいという事だろうか。
デジタルVTRは便利だが、機材がまだ重いので一般的ではなく、古い洋画のように
女性が洒落た雰囲気で8mmフィルムムーヴィーを撮影する、などという光景は見た事がない。
そのようになればVTRも一般的なモノ、になるのであろうか。


そのまま発車すると思いきや、停止位置まで後退してから再出発との事。
ゆっくり、ゆっくり、微速で後退して停止位置に戻ると先程の工務職員が心配気にドアを見ている。
車掌は今度はホームには降りずドア扱いもせずに、直ぐEF81はゴツンと起動した。
電気機関車の発進をデリケートに行うのはとても高度な技術が必要だそうだが
モーター駆動故の事であろう。運転士もこの時は列車遅れが気がかりだったのだろうと察する。

長距離を走る列車であっても運転士は普通、2時間程度で交代となるが概ね旧国鉄の
管理局境界で交代となる。その際、次の運転士に状況報告をするが、遅れを持ち越すのは
運転士としての恥であるとかつて、旧国鉄の機関士たちはそう言っていたように記憶している。
異常なく、ダイア通りの運行をするのが運転士の誇りであると。
そう思うと、この時の運転士も焦りを感じていたなどと考える事もできよう。
定刻発車の時は衝動無く発進していたのであるから....


さて、車内に目をやるとなにやらデッキの方が騒がしい。
オハネ25型の客室ドアは自動ではなく、この時は開放されたままになっていたため
デッキの話声が聞こえてきたのだ。
数人の乗客が遅れの状況、乗り継ぎ列車への連絡、回復の見込み等を車掌に問うている。
今発車したばかりで翌朝までには回復できるか、と聞かれても困るだろうと思うが
そこは乗客、鉄道運行についてさほどの知識もないひとびとである。中には、
定刻に着かないと困る、と少々こまった発言の方もいらしたようだが..
ふと目をやると、先ほど部品脱落を報告していたご婦人である。
どうやら神経のとても細かい方、のようだ。
日本の鉄道運行の正確さは世界一だといわれているが、このご婦人のように
定刻到着が当然、という感覚がそれを示している。
諸外国の鉄道技術者が日本の鉄道、例えば山手線の朝ラッシュなどを見学すると
一様に驚く、というが...
それは運行もそうであるが、乗客が整然と機械のように定時発車に協力している
という様が不思議だ、と思うのだそうだ。
もっともこの話、1980年代までの話だ、と思うが(笑)。
現在では整列乗車はおろか、入線時の触車事故防防止に駅員が声を枯らすありさまであるから...
日本人も様変わりしたのだろう。西欧化もいいが、日本の良い伝統は忘れないでほしい、と思う。


上野駅地平ホーム、15番線から再び出発した11列車は、高架線の下をくぐって本線へと登る。
多数の線路が併走しているこのあたりは日本でも有数の多重複線区間だが、確か日本一は
もうすこし東京寄りの線区ではなかったかな、と思っていると車内改札が来た。
特急寝台券、乗車券を見せる。



今回もまた周遊切符「青森・十和田ゾーン」を利用した。
ゾーン券4000円で、入り口駅までの往復運賃が2割引きになるから、盛岡-上野で
計算すると通常往復とほぼ同じ料金になり、盛岡以北は特急フリーパスだから
今回の旅には適当であると考えた。このゾーン券でほぼ、青森県内のJR線は乗車できる
のは誠に便利で、例えば盛岡から花輪線で大館、そこから奥羽本線で青森まで、
または十和田湖を経由して八甲田山を縦走し青森駅へゆくのもこの切符一枚で大丈夫だ。
4000円はお買い得だと思う。できれば5日間を周遊にフル活用すれば
さらに割安感は大きいと思う。




慌ただしい中で忘れられた感のあるセレナーデのチャイムが鳴り、再度インフォメーション。
「本日は、列車遅れまして大変ご迷惑をお掛けいたしております。この列車は東北線回り
特急寝台列車はくつる号、青森行きとなります。ただいま列車は30分ほど遅れて
運行いたしております。列車遅れまして申し訳ありません...」


と、少々気の毒なほど列車遅れを気にしている車掌氏である。
イマドキ風に「俺のせいじゃない」などとは思わないのところが鉄道員らしく
そのような雰囲気は微塵も感じられない。
どこかほっとする感のある青森車掌区のカレチさんである。
もっともニレチさんは居なくなったから、こういう呼び方が今でも通じるかは不明だが。
て申し訳ありません...」


と、少々気の毒なほど列車遅れを気にしている車掌氏である。
イマドキ風に「俺のせいじゃない」などとは思わないのところが鉄道員らしく
そのような雰囲気は微塵も感じられない。
どこかほっとする感のある青森車掌区のカレチさんである。
もっともニレチさんは居なくなったから、こういう呼び方が今でも通じるかは不明だが。
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