11 / 136
〜24系25形"はくつる"11列車〜 2002/11
[上野駅に過日を想う]
しおりを挟む[上野駅に過日を想う]
ふるさとの、訛りなつかし停車場の...と。
上野駅もリニューアル工事が行われ、写真のようなきれいな啄木の碑が立った。
その頃の上野は石炭の香り漂うホームだったのだろうし、啄木もふるさとの築堤を
走っていたのと同じ列車を見、そして列車から降りてくるひとびとの言葉に
郷愁を覚えていたのだろうと思う。
今、筆者が東北本線、夜行列車、などのイメージに感じるものに近いかもしれない。
583系「はくつる81号」、24系25形「はくつる」などはそのイメージの象徴であるし
故郷の原風景に似合いの列車だと言うに相応しい存在であり
上野駅も、長い歴史を持つ北への玄関口として「東北夜行」の背景には
欠かせない存在だ、とも言えよう。
上野駅らしい東北夜行の風景というと、コンクリートのホームに新聞紙を敷いて
並んで待ち、しかし整然と割り込みなどはせずにじっと待つ乗客、
乗車位置を示す金属の看板が針金で吊られている、薄暗い照明、駅弁売り
頻繁に往来する回送/出発列車...なぜか皆地味な服装で大きな荷物...等々。
現在の上野駅でこんなイメージを探すとしても、見付かるのはホームの乗車位置表示金属板、
駅員通路であるとか、使用されていない20番線の線路の路盤、くらいのものだ。
もう一方のターミナル駅だった青森駅が、佳日のイメージほぼそのままである事
の方が不思議なのであるが、現在の上野駅地平ホームに発着する列車に
当時の面影を残すものを探すのは難しい。
この24系25形「はくつる」にしても、私がその存在を知った頃では20系であった(と思う)し
どちらかというと583系電車の印象があるのは、当時は奥羽線経由であったもう一方の
上野-青森寝台特急「あけぼの」に583系の印象が薄いのと対象的だ。
[15番線にて]
さて、上野駅のホーム、15番線へそろそろ向かうとしよう。
この時も夏だったので相変わらず地平ホームは暑く、少しでも涼を求めてホーム
先端へ向かうとわずかに風が吹く、という状況だった。
夕方、札幌行きの寝台列車「北斗星」「エルム」「カシオペア」などが発車した後は
やや落ち着きを取り戻すこの地平ホームである。
発着するほとんどが電車であるから特に上野らしい雰囲気というかムードには欠ける。
つい、この間までは東北本線の普通列車も客車列車だったような気もするが
今や普通客レはどこにも走っていないのだし...
そうは思っても、東北路に湘南色の電車はいかにも不似合いな印象があるのは
筆者の持っている湘南電車、へのイメージのせいか。
もともと80系電車などへのカラーリングで、オレンジは東海道沿線の特産品みかん
のイメージで、グリーンは茶、という発想だったと当時言われたが
後にはオレンジは陽光、グリーンは山の緑、などとも言われていた。
いずれにしても明るい海辺と山のイメージであるから、平野部で、やや寒い地方には
少々ミスマッチな印象...とも思える。
現在では「湘南新宿ライン」としてもこの湘南カラーに準じたカラーリングの車両が
運用されているから、そういう印象もやがて薄れてくるのだろう。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
婚約者の浮気現場に踏み込んでみたら、大変なことになった。
和泉鷹央
恋愛
アイリスは国母候補として長年にわたる教育を受けてきた、王太子アズライルの許嫁。
自分を正室として考えてくれるなら、十歳年上の殿下の浮気にも目を瞑ろう。
だって、殿下にはすでに非公式ながら側妃ダイアナがいるのだし。
しかし、素知らぬふりをして見逃せるのも、結婚式前夜までだった。
結婚式前夜には互いに床を共にするという習慣があるのに――彼は深夜になっても戻ってこない。
炎の女神の司祭という側面を持つアイリスの怒りが、静かに爆発する‥‥‥
2021年9月2日。
完結しました。
応援、ありがとうございます。
他の投稿サイトにも掲載しています。
【完結】結婚してから三年…私は使用人扱いされました。
仰木 あん
恋愛
子爵令嬢のジュリエッタ。
彼女には兄弟がおらず、伯爵家の次男、アルフレッドと結婚して幸せに暮らしていた。
しかし、結婚から二年して、ジュリエッタの父、オリビエが亡くなると、アルフレッドは段々と本性を表して、浮気を繰り返すようになる……
そんなところから始まるお話。
フィクションです。
未亡人となった側妃は、故郷に戻ることにした
星ふくろう
恋愛
カトリーナは帝国と王国の同盟により、先代国王の側室として王国にやって来た。
帝国皇女は正式な結婚式を挙げる前に夫を失ってしまう。
その後、義理の息子になる第二王子の正妃として命じられたが、王子は彼女を嫌い浮気相手を溺愛する。
数度の恥知らずな婚約破棄を言い渡された時、カトリーナは帝国に戻ろうと決めたのだった。
他の投稿サイトでも掲載しています。
【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。
訳ありヒロインは、前世が悪役令嬢だった。王妃教育を終了していた私は皆に認められる存在に。でも復讐はするわよ?
naturalsoft
恋愛
私の前世は公爵令嬢であり、王太子殿下の婚約者だった。しかし、光魔法の使える男爵令嬢に汚名を着せられて、婚約破棄された挙げ句、処刑された。
私は最後の瞬間に一族の秘術を使い過去に戻る事に成功した。
しかし、イレギュラーが起きた。
何故か宿敵である男爵令嬢として過去に戻ってしまっていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる