旅と鉄路

深町珠

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〜24系25形"はくつる"11列車〜 2002/11

[上野駅に過日を想う]

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[上野駅に過日を想う]



ふるさとの、訛りなつかし停車場の...と。

上野駅もリニューアル工事が行われ、写真のようなきれいな啄木の碑が立った。


その頃の上野は石炭の香り漂うホームだったのだろうし、啄木もふるさとの築堤を
走っていたのと同じ列車を見、そして列車から降りてくるひとびとの言葉に
郷愁を覚えていたのだろうと思う。

今、筆者が東北本線、夜行列車、などのイメージに感じるものに近いかもしれない。
583系「はくつる81号」、24系25形「はくつる」などはそのイメージの象徴であるし
故郷の原風景に似合いの列車だと言うに相応しい存在であり
上野駅も、長い歴史を持つ北への玄関口として「東北夜行」の背景には
欠かせない存在だ、とも言えよう。
上野駅らしい東北夜行の風景というと、コンクリートのホームに新聞紙を敷いて
並んで待ち、しかし整然と割り込みなどはせずにじっと待つ乗客、
乗車位置を示す金属の看板が針金で吊られている、薄暗い照明、駅弁売り
頻繁に往来する回送/出発列車...なぜか皆地味な服装で大きな荷物...等々。

現在の上野駅でこんなイメージを探すとしても、見付かるのはホームの乗車位置表示金属板、
駅員通路であるとか、使用されていない20番線の線路の路盤、くらいのものだ。
もう一方のターミナル駅だった青森駅が、佳日のイメージほぼそのままである事
の方が不思議なのであるが、現在の上野駅地平ホームに発着する列車に
当時の面影を残すものを探すのは難しい。
この24系25形「はくつる」にしても、私がその存在を知った頃では20系であった(と思う)し
どちらかというと583系電車の印象があるのは、当時は奥羽線経由であったもう一方の
上野-青森寝台特急「あけぼの」に583系の印象が薄いのと対象的だ。






[15番線にて]


さて、上野駅のホーム、15番線へそろそろ向かうとしよう。
この時も夏だったので相変わらず地平ホームは暑く、少しでも涼を求めてホーム
先端へ向かうとわずかに風が吹く、という状況だった。
夕方、札幌行きの寝台列車「北斗星」「エルム」「カシオペア」などが発車した後は
やや落ち着きを取り戻すこの地平ホームである。
発着するほとんどが電車であるから特に上野らしい雰囲気というかムードには欠ける。

つい、この間までは東北本線の普通列車も客車列車だったような気もするが
今や普通客レはどこにも走っていないのだし...
そうは思っても、東北路に湘南色の電車はいかにも不似合いな印象があるのは
筆者の持っている湘南電車、へのイメージのせいか。
もともと80系電車などへのカラーリングで、オレンジは東海道沿線の特産品みかん
のイメージで、グリーンは茶、という発想だったと当時言われたが
後にはオレンジは陽光、グリーンは山の緑、などとも言われていた。

いずれにしても明るい海辺と山のイメージであるから、平野部で、やや寒い地方には
少々ミスマッチな印象...とも思える。
現在では「湘南新宿ライン」としてもこの湘南カラーに準じたカラーリングの車両が
運用されているから、そういう印象もやがて薄れてくるのだろう。
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