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プルトニウムの雲
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その場所は、上野毛にある
ごく普通のマンションだった。
緑深い、東京でも静かなこの辺り。
落ち着いた人々が暮している。
「しかし・・・・知らないだけ、だが」
輝彦は知っている。
原発事故の直後、プルトニウムの蒸気が
上空で雲になり・・・
都心の方向へ向かった。
茨城在住のその知人は、気象庁に勤めているので
その日、上空で自衛隊の飛行機が
降雨促進剤を噴霧しているのを見た、と言う。
雲は、細かい氷の粒子なので
重くなれば落下する。
都心に落ちないように、茨城に落とす、そういう政治決定があったのだろうと
彼は言う。
だが、自然は・・・・そのような企みには乗らず。
雲は、都心に向かい、そして降雨した。
都心のあたりで高濃度の放射能が検出されたのは
報道にある通りだ。
「つまり・・・・・都心を守る為なら茨城県は汚染されていい、と言う
決定があったということだ。」
直後、中央官庁から関西方面へ転勤する官僚が増えたと言う。
「電力のふたりも、その一部だったんだろうな」と、輝彦は思う。
だが、事故の責任者なので。そのまま出国は出来ないから・・・
あの事件が起きた。
そうも考えられる。
「でも、娘まで殺す事はないのだが・・・。」
それは、ナゾのままだ。
勝又の妻も、どこかに消えて行ってしまっている。
そして、志水の妻は・・・・・。
やはり・・・不在である。
居ないことは判っているが、来てみたのだった。
「もう、重過失なしだから、帰って来ても問題はないのだが」
ある意味、電力トップの2人は被害者であるとも言える。
原発推進は国策、アメリカの意志だったからだ。
特に勝又は技術者だったのだから、危険性は熟知していた筈である。
それが、なぜ・・・・?
「まあ、黙ってついていったから国外に逃れられたのだろうけど」と。
徒労感が残る、今日の捜査である・・・・。
友里絵と由香からメールの返事があり
「おかえり」
だった。
友里絵は「おみやげはー」と。
その無邪気さに、疲れが癒される輝彦である。
ごく普通のマンションだった。
緑深い、東京でも静かなこの辺り。
落ち着いた人々が暮している。
「しかし・・・・知らないだけ、だが」
輝彦は知っている。
原発事故の直後、プルトニウムの蒸気が
上空で雲になり・・・
都心の方向へ向かった。
茨城在住のその知人は、気象庁に勤めているので
その日、上空で自衛隊の飛行機が
降雨促進剤を噴霧しているのを見た、と言う。
雲は、細かい氷の粒子なので
重くなれば落下する。
都心に落ちないように、茨城に落とす、そういう政治決定があったのだろうと
彼は言う。
だが、自然は・・・・そのような企みには乗らず。
雲は、都心に向かい、そして降雨した。
都心のあたりで高濃度の放射能が検出されたのは
報道にある通りだ。
「つまり・・・・・都心を守る為なら茨城県は汚染されていい、と言う
決定があったということだ。」
直後、中央官庁から関西方面へ転勤する官僚が増えたと言う。
「電力のふたりも、その一部だったんだろうな」と、輝彦は思う。
だが、事故の責任者なので。そのまま出国は出来ないから・・・
あの事件が起きた。
そうも考えられる。
「でも、娘まで殺す事はないのだが・・・。」
それは、ナゾのままだ。
勝又の妻も、どこかに消えて行ってしまっている。
そして、志水の妻は・・・・・。
やはり・・・不在である。
居ないことは判っているが、来てみたのだった。
「もう、重過失なしだから、帰って来ても問題はないのだが」
ある意味、電力トップの2人は被害者であるとも言える。
原発推進は国策、アメリカの意志だったからだ。
特に勝又は技術者だったのだから、危険性は熟知していた筈である。
それが、なぜ・・・・?
「まあ、黙ってついていったから国外に逃れられたのだろうけど」と。
徒労感が残る、今日の捜査である・・・・。
友里絵と由香からメールの返事があり
「おかえり」
だった。
友里絵は「おみやげはー」と。
その無邪気さに、疲れが癒される輝彦である。
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