科学は、如何にしてヒトを幸せにするか～ななの例～

自然

石川が自動車整備をするのは
お金の為と言うよりは、それが楽しいからだし
加藤が科学者なのは、やはりそれが楽しいから。


誰にでも、楽しみはあるのだ。

機械が直せれば楽しい。
理論に沿って、結果を得る作業で


それは、加藤が科学の研究をするのと
同じであり


加藤の方が石川より尊いと言う事もなく
むしろ、石川の方が汚れ仕事を厭わす
するだけ偉い、とも言えると

加藤は思っている。


加藤も、もちろん趣味で
自動車整備はするけれど

整備では石川の方が上手だろう。



そういうものだ。


人間の記憶は、過ごした時間だけ
積もっていくから


長く整備をしている石川の方が、それは
当然である。



それぞれに、得意な分野で
助け合って行くのが好ましい事なのだ。




伊原の事件は、名雪の知る所になる。


「不自由でしょうね。先生、治らないですか？」

と、加藤に聞く。




加藤は「治らない事もないだろうね」と言った。



加藤は、名雪の優しい気持ちに和む。



名雪自身を苦しめてきた伊原にも
優しい気持ちを持って接する事が出来るのは

素晴らしい事だ、と思う。


加藤自身は、淘汰された方がいい、とさえ

思っていたのだ。



伊原など助けるくらいなら、恵まれない
目の病気を持った人は沢山居るから


人を挑発して被害を受けた伊原には
いい薬だとさえ思っていたのだ。


ただ、伊原の場合は
それまでの人生が不幸だったので
心が歪んでしまっているから
目を治しても、心を治さないと
薬にはならないのだけれども。



それは、石川の友人
レーシングドライバーの太田と

そうではない島下（笑）の言動のように

明らかだ。




行動力を発散できる場が必要なのである。



社会が、どんどん自然に戻って行くと

誰もが、自由に行動出来るようになるから

発散できて幸せになるのである。