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昔なら

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しかし、加藤は思う。

発生生物学的に見ると、胎内被曝していれば
おそらく、脳の器質的変化は
戻らない。

でも、ゆきなの苦しみは記憶によるものだ。


都市生活がなくなっていけば。

自然な暮らしの中で、ストレスも失せていくだろうけれど。


人間は、自然環境の中から
刺激を受けて
長い間暮らしてきた。


その、物理的な刺激は
一定のパターンを持っていて

有名な1/fゆらぎ、などもそうで

物理現象としては、大きな物体の振動は大きく

小さな物体のエネルギーは小さいので


風や光、音などは
物体を介して振動するので、高い周波数の
エネルギーが小さい。

それだけの事なのだが(笑)。



不自然な環境、例えば
コンクリートに囲われた部屋などだと
刺激が少ないので、つい、人間は
妄想、記憶を引き出してしまうので


ゆきなのように、怖い記憶に囚われてしまう。


都市生活をする必要はもうないのだから
自然に帰ればいいのだが。


「ゆきなちゃんは、お父さん、お母さんの
家に帰るつもりはない?」加藤は
優しく聞く。



ゆきなは、黙っていたけれども
否定的な雰囲気だった。



女の子と言うのも不自由なもので

例えば、ひとり指遊びが好きだとしても
なぜか罪だ、と思い込んでしまう。


実際、そんな事はなく

江戸時代以前であれば、15才くらいで
嫁にも行ったし


農村などでは、もっと開放的であった。
子供の親が不明確な例などは多数あったのだ。


戸籍を作って租税をする為に、婚姻と言う枠で
性に抑制を掛けたので

つまり、国の都合。

貨幣も租税もなくなった今、それらは
意味を持たない。



人間は自由になれるのである。



解剖学的に言えば、性も
単なる物理刺激のスイッチで

神経が動作するに過ぎない。

怒っているばかりの人よりよほど
ハッピーでいい、と思うのだが(笑)。





耽溺しても、何れ飽きるのだ。




尤も、婚姻をしても
ひとりで遊んでいる方がいい場合もあるし(笑)



殆どの既婚者は、ひとりになれる空間が
無いから
かえって不幸になったりする(笑)。



元々、自分自身の脳の中で快いのであるから。




加藤は、ゆきなを支えてあげながら思う。


古い、ゆきなの記憶を
治してあげたい、と。



傷つきやすい子は、元々
記憶の最初のところが、不安定な事が多いのだ。


支えて貰うのが好きなゆきなは

つまり、不安定なのだろう。記憶が。
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