上 下
304 / 418

洗脳セミナー

しおりを挟む
加藤は、歩きながら
パーキングへ向かった。


芝田は、いじめっ子と言っても
昭和の、と言う前置きがついていた。


腕力にものを言わせて、力で対決するタイプで

徒党を組んで弱いものをいじめるような
卑怯者ではなかった。


それで、子供の頃は
加藤も体が大きかったから

そんなに、力では負けなかった(笑)ので
友達で居られたのだった、



三浦たちのように、徒党を組んで
例えば派遣をいじめるような
卑怯者ではなかったのだ。



それが、変わってしまったのは
商社に、営業として勤めるように
なってからだった。


科学者になりたかった芝田。
加藤と同じ、中学では科学部で


電子回路を組み立て、無線をしたりした。


加藤は県立の進学校、芝田も県立だったが
農業高校の食品の専門過程に進み、そのまま
地元の醸造研究所に入社するつもりだったが


父親が進路に反対、どうしても大学に
進めと強要。



しかし、実業系の高校では
進める大学も少ない。


結局、私立の大学の商業過程に
なんとか入るが
それが、彼の運命を歪めた。


大学を出た年が不況、地元の醸造研究所は
経営不振で採用を控えていたので


止むなく、小さな商社に勤める。



その商社が、いわゆるブラックで
洗脳セミナーに彼を放り込んだ。


反骨で正義感のある芝田を、洗脳したのだった。



狭い部屋に詰め込んで、数人でひとりを
罵倒したり、監禁したりすると言う
単純なものだが、紳士的な抑制を
壊し、暴力的にするのが目的で

その攻撃性で、仕事をさせようと言う
危険なものである。



カルト宗教のそれと同じである。




加藤は、精神分析の知識を持っていたので
それには行くなと言ったが

芝田は、負けん気が強く


「俺はひっかからない」と言った。



ある種の催眠のようなものだが

催眠術に催眠術師がかかりやすいのと同じで
思い込むタイプの人はかかりやすいのだ。


(これは、つまり今風の攻撃的n
人達に晒されていると
自己防衛、と言う先入観で
闘争的になってしまうのと同じ
自己暗示である。

実際に闘争は無くても、常に緊張して
しまうのだ。






芝田は、それから人が変わってしまって

嫌だった残業や休日出勤も
進んでするようになった。


ライバルを蹴落とす為、と
闘争的になってしまったのだ。



人格が荒廃してしまい、それからは
友人たちをも欺くようになる、妬むようになる。



加藤が、日本一の研究所に入った時も
それで、妨害をしようと思ったりする訳で


傷んだ肉を冷凍して、贈答品のように
見せかけて加藤に送ったりした。



狂ってしまったのだ(が、三浦よりはマシだ。
催眠術なのだから。)




加藤は、それで、芝田を救ってあげたいと
思う。





芝田は、父親や母親をも憎むようになり


家を出て、ひとり暮らしをするようになった。



過剰に憎むのは、抑制の取れてしまったせいだが


両親にも責任がある。

進路を見栄で決めた父親と
結婚を見栄で破談にした母親。


どういう事か、と加藤には思えるが

実は、両親とも田舎の家風、のような
抑圧に従っていた、と言う事なので


両親ともに自己暗示にかかっているだけ、である(から、カルト集団は麻酔面接で
暗示を変え、カルトへの忠誠にすり替える)。


加藤が、芝田より優れていた訳でもなく
見栄、と言うか
失敗や、格好つけ、がないので


臆する事なくなんでもできるので、能力を
フルに使えているだけ、なのだ。


誰でも、そんなに能力って変わらないのだ。





加藤は、そんな事情を
たまたま精神科領域の知識があったので
よく解っていた。


とりあえず医学生だった、と言う偶然である(笑)。





それで、加藤は芝田を救ってあげる為に
催眠術を解いてやろう、と

そう思ったので、夢の中で語りかけるのが
一番効果があると


ルーフィに連絡したのだが


「よく考えたら、芝田の記憶は日本語だよな」(笑)。



イギリス人の魔法使いが英語で話しても
解らないだろう(笑)。




それで、方法を考えた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生してギルドの社畜になったけど、S級冒険者の女辺境伯にスカウトされたので退職して領地開拓します。今更戻って来いって言われてももう婿です

途上の土
ファンタジー
『ブラック企業の社畜」ならぬ『ブラックギルドのギル畜』 ハルトはふとしたきっかけで前世の記憶を取り戻す。  ギルドにこき使われ、碌に評価もされず、虐げられる毎日に必死に耐えていたが、憧れのS 級冒険者マリアに逆プロポーズされ、ハルトは寿退社(?)することに。  前世の記憶と鑑定チートを頼りにハルトは領地開拓に動き出す。  ハルトはただの官僚としてスカウトされただけと思っていたのに、いきなり両親に紹介されて——  一方、ハルトが抜けて彼の仕事をカバーできる者がおらず冒険者ギルドは大慌て。ハルトを脅して戻って来させようとするが——  ハルトの笑顔が人々を動かし、それが発展に繋がっていく。  色々問題はあるけれど、きっと大丈夫! だって、うちの妻、人類最強ですから! ※中世ヨーロッパの村落、都市、制度等を参考にしておりますが、当然そのまんまではないので、史実とは差異があります。ご了承ください ※カクヨムにも掲載しています。現在【異世界ファンタジー週間18位】

処理中です...